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神鳴寮  作者: MASA
22/24

(大和-運×雀)=クローズマイワールド④

一方その頃大和たちは未だに落下した穴の中にいた。

幸い時間がたつにつれ、足の痛みが出てきて動くようになった事で、最悪の事態は怒っていない事に安心した大和だったが、やはり骨が折れているのか、今だにまともに動くこともできない。それに、この密室状態。熱がこもり体力の消耗も著しい。

雀も汗ばみ体力がない分、泣き疲れた上この密室空間の中では不安からくるストレスにより大和以上に消耗が激しい。

「こんな時にさ、こんなこと言うのも変だけどさ、今日ここに落ちて、良かった事があるんだ。こうして雀にずっと触ってられる。」

「こんな時に、何馬鹿なこと言ってるんですか!」

冗談ではない、カッコつける事の出来ない大和の本心だ。

冗談めかして言っているがそれは大和自身も不安だからだ。本当にこのまま死んでしまうかもしれないない。そう感じている。痛みがある事は神経がつながっているという事だが、それでも痛みは尋常ではなく、この時間経過がもう助からないという不安ばかりを大きくしていた。だからだ、その不安から、大和の心もまた限界に近かった。だからこその本音。

飾り立てる酔う事も出来ず、どうしても言わずにはいられない事。

先があるとは限らないそこまで深刻に大和は考え、言葉を口にしている。

「馬鹿な事じゃないよ。こうして雀に触っているとこういう状況でも安心する。」

「やまと君、、、」

「ねぇ、雀。」

「はい?」

「俺、雀の事がどうしようもないくらい好きで好きでしょうがないんだ。

今まで、ずっと我慢してたけど、こうして雀にずっと触れて、分かったんだ。今の俺の気持ちを、抑えたところで、どうしようもないって。俺、雀の事を愛してる。

君の事が可愛くて、君の事が大好きで、君の事だけをいつだって考えるんだ。」

突然の言葉に雀は驚きを隠せない、大和がそんなことを言ったこと自体信じられない。

「なんで突然そんな事を、、」

「今日は僕の運が極限まで運が落ちてる、それは本当に命にかかわることかもしれない。ここは大分前から人が立ち入ってないようだし、このまま本当に見つからない可能性だってある。今日起こったことは明日以降の強運で元に戻れるかもわからない。

そう考えたら、僕が好きだって伝えることで、雀の負担になりかもしれないって思ったけど、最後になるかもしれないって思ったらどうしても言っておかなくちゃって。」

「そんな最後だなんて言わないでください。」

「もちろん僕だってそのつもりだよ。絶対に諦めない。雀に、それに上の子猫たちのことだってある。絶対に助けるよ。

それにさ、吊り橋効果って知ってる、

極限状態にある男女は異性を好きになりやすいって、あれを狙ったんだけどね。」

「そういうのって、言ったら効果ないですよ。それに私もそれは知っています。そんな事で無意味です。」

「あれ、そうなんだ。残念だな。」

和ませようとしていった大和の声が震えている。不安からか、それとも

「だって、そんなのなくても、私はずっと前からやまと君の事好きですから、」

「雀、、、」

「私、やまと君が思うほど鈍くないですよ。ちゃんとやまと君の気持ちわかってますよ。

ただそれでも、私なんかって思うと、どうしても気づいていないふりしちゃいました。

本当に私なんかでいいんですか、私本気でやまと君の事、好きになっていいんですか。」

「いい!いいに決まってる。むしろ俺の方が聞きたい。それは僕に気をつかったりとかじゃなくて雀の本当の気持ちだって思っていいの?」

雀は大和の手を取り自分の胸にあてる

「私の本当の気持ちです。やまと君に好きだって言われてすごくドキドキしてます。」

「本当にホントに?」

「疑うんですか?」

「だって、すごく大切な事で、俺たぶんそうなるときっと自分で自分の気持ちを抑えられない確信があるから。もし、少しでも可能性があるのなら、男として俺の事を好きだって思ってくれたのなら、雀が後悔しても、俺、絶対に雀を好きになるのを諦められなくなる」

「それじゃ、、、改めて言うのなんかちょっと恥ずかしいな、、、、それじゃ行きますよ。

私はやまと君の事が世界で一番大好きです。やまと君と一緒にいたい、いつかみんな大人になってバラバラになって、私は最後までやまと君の傍にいたいです。

やまと君、好きです。愛しています。」

「俺もだよ雀、雀さえいてくれれば俺は他に何もいらない。あの日あの時、君の手を取った時から、僕の心は君に囚われている。僕は君の笑顔がどうしようもないほど大好きで、その小さな体で一生懸命頑張る努力家なところも、すぐに人の事を優先しちゃうところも、誰かの為に泣ける優しさも、全部全部大好きだ。」

「私、やまと君みたいに長生きできないかもしれませんよ。」

「そうだとしても俺は最後まで雀と一緒がいい。」

「本当に後悔しませんか?私なんかで、私、恋人としても、女としてもやまと君の期待に応えられないかもしれませんよ。あとどれだけ生きられるか分からない、こうして健康で生きられるのだってどれだけなのか分かりませんよ。

そうなった時、私やまと君に迷惑かけるかもしれませんよ。」

「それがなんなんだよ。馬鹿だな俺、最初から好きだって言えればよかったのに、こんなに我慢して馬鹿みたいだ。こんなに時間を無駄にして、1年以上も雀を、、」

大和は痛みに耐え体を少し起こし、雀を抱きしめる

「もし、雀の体が今のままでいられなくなっても、雀の心がどんなに変わっても、そんなの迷惑でもなんでもないよ。もしそうなったとしてもそれがなんだよ。僕はそんな事で雀に気に病んでほしくない。そうならないように二人で考えよう、未来が決まったわけじゃないだろ、俺が雀を助けて見せる。俺はずっと雀と一緒にいたいんだ。」

「やまと君、、、、」

「雀、、、」

言葉に発せなくても意思の疎通は出来た、雀は目を閉じ大和にゆだねる。それに応える為、大和は気を落ち着かせ、この距離だ、息がかからないようにと上を向いて深呼吸した瞬間

「どうする?邪魔ならあとから出直すが」

真上にはゆっくり障害物をどけた銀が、頭の上に猫が飛び乗っている

大和は驚き、反射的に雀を遠ざける。その異変に雀も気づき、銀を見上げ、顔を赤くする。

「ち、違う、っ痛!!」

「銀さん!やまと君怪我してるかもしれないんです。」

「了解した、まずはそこから上がれるものを探してくる、少し待っていろ」

銀は、30秒ほどでどこかから脚立をもって戻り、それを見事にこの狭い隙間の中で瓦礫の上で安定させる。

そしてまずは雀を上にあげる

「残念だったな、雀が今日スカートでそこが明るかったら下着見えたかもな」

「あんたは状況分かっていってんですか?」

「せっかく和ませてやろうと思ったのに、待ってろ、今降りる。」

今度は銀が下り大和の状況を確認する。

「念のために背骨痛めている可能性がある以上、迂闊に動かさない方がいい。救急車を呼んだから、そのままにしていろ」

そう言って銀はみんなに二人の無事を伝えながら脚立を上り、上から見下すように大和の見下ろす。

「どうしてここが分かったんですか」

「お前の幸運が神の与えたもうた奇跡なら、この不運もまた神の奇跡。奇跡の一つや二つ、俺の知略で、捻じ伏せてやるさ。」

「銀さん、かっこいい」

「、、、てのは冗談で、今回は大貴のおかげだ。あいつが助言してくれなかったら俺はお前らを探しに神鳴島に行くところだった。それに、後はこの子だ。」

「あ、子猫さん!!元気になっている!」

「この子が防音壁の外から俺を呼んでここまで連れてきてくれた。主を思う犬の話なら聞いた事があるが、ここまで義に熱い猫は初めて見たぞ。」

大和がちゃんと閉めなかった扉の隙間から、出て、この猫はまともに鳴くこともなきないのに、必死に鳴いて助けを求めていた。

銀は猫を見てこの建物に入った理由を理解した。

そして脚立を探す際に建物の奥でペットっショップで買った荷物を見て状況も理解した。

「あの、銀さんお願いが、、」

子猫を抱き、銀がいる状況で安心したのか、雀が口を開く。

「却下だ、、、と普通の俺ならいう所だが、今回はそういう訳には行かないだろう。仕方がない。でもま、今日は先にこの下にいる大きいのの面倒を見らんといけないし、学校に行っている間に世話してくれる人も見つけないといけない。

今日はとりあえず、ペットを預かってくれるショップを探してそこに預けるしかないだろ、

まぁ、こんなな小さな子猫だ。嫌がられるだろうが事情を話せば一日くらいなんとかしてくれるだろう。とりあえずはそれで明日でも病院に見せに行って来よう。

さて、それじゃ俺は外まで救急車を迎えに行ってくる。

いつ来るか分からないからいちゃつくのはほどほどにな」

2人は何も反論できず、そして気まずい空気が二人を襲う。

先ほどまでの極限状態とは違い、安心した状態で、二人はそれぞれ自分の発言や舞い上がったテンションを思い出す。

「あのさ、雀、、」

「あ、そうだ。他の猫さん、大丈夫か見に行かないと」

恥ずかしさに雀は逃げ出してしまう。

「でも、ま、これも前進、雀の本当の気持ちが分かったんだそれだけでも今日は十分ハッピーな一日だったな。」

「意味不明な言葉を話すな。すみません。これです、お願いします。」

大和は救急隊員に運び出される。

太助が来て安心した雀は、子猫を預けると、大和に同行し救急車に乗り込む。

銀も子猫を預けた後、事後処理もあるから病院に向かうと伝え、ちょうどそのタイミングで合流した千里と、大貴と一緒に2人を見送る。

最初は子猫を預かってくれる場所を探す予定であったが、千里がクラスメイトの家が動物病院の生徒に連絡を取り、数日預かってもらえる約束をして、大貴と一緒に子猫を連れて行った。


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