表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神鳴寮  作者: MASA
21/24

(大和-運×雀)=クローズマイワールド③


一方その頃、銀は普段見せないような、神経な表情で、原付の免許を持つ千里に電話で怒鳴るように指示しながら、二人を探してた。

電話の向こうでの大和の声と、その直後、電話が切れ、折り返してもつながらない状況に普通ではないと判断し、大和、雀共に部屋を確認する。

扉に鍵はかかっているが、窓は空いている。事情を知らない銀は、その状況から二人がデートで抜け出したのではなく、連れ去らわれたと決めつけていた。。

今日は大和の運が低下する日、その日がある事を知ることが出来、且つ大和と雀を両方拉致する必要のある人間。銀は神鳴島の人間しかいないと考えていた。

神鳴島は神の憑代である雀を失い。すでに異変が起き始めている事は聞き及んでいる。

それが偶然と言い捨てる事の出来る程度の出来事だが、神鳴島の住民からすれば、それは全ては雀がいなくなったことが原因だと信じて疑わない。

事実、半年ほど前にも、潤の両親が、実の娘を利用し、雀を連れ帰ろうとした。

その時は銀と大和により恐怖と圧倒的次元の違いを見せつける事で阻止に成功したが、

その事で潤は両親から失望され、連絡すらままならない絶縁状態になってしまっている。

今回も2人を連れ出す可能性があるのは神鳴島の住民だ。

もし大和だけであれば、それ以外、大和の力を利用しようとするものの可能性も十分にありうるが、二人を必要とするのは彼らだけだ。

一つは神前での約束を破ってでも、雀を取り戻す事。

そしてもう一つは狂言である大和への復讐。

それに大和を失えば雀の所有権は失われ、彼らの理屈であれば、

雀はまた神社の所有物となる。一挙両得、しかしそれをするためには、

大和の力が邪魔この上ない。しかし大和には絶対強運があり、その力が発揮されるその最たるものが、彼の生死に係る場面だ。

彼は寿命以外では決して死ぬ事がない。運の有無ではなく、意図的に彼を殺そうとする場合、その実行者に意図としか思えないほどの不幸が降り注ぎ、実行には及ばない。

要は未来の意志に基づく行動の可能性さえですら、無条件に潰せるのだ。

それ故、彼らは大和に手出しができない。それを嫌というほど思い知った。

しかし、今日この日のみはその例外だ。

だから銀は今回の犯行が神鳴島の人間によるものだと断定し、二人を探していた。

だが、捜索を始めて、当然いない犯人を見つける事は出来ず、

そして二人の居場所を掴む事すらできていない。

珍しく苛立つ銀、あんな奴らが自分を出し抜いた。

当然、今日は警戒すべきだった、侮るべきじゃなかった。これは己の怠慢が招いた事態だ。

自分が無能で力及ばずであれば彼は納得する。

だが、彼自身の心の怠慢で招いた事態そうである事が許せなかった。

銀は大和の電話が静かな場所から電話をかけて、最後は物音と共に電話が切れその後電源が切れた。物音の反響具合からどこか比較的広く、静かな場所に監禁されている。

そして焦りからか、大声で話し、その時は余裕があったが、直後に雀の命が危ないような事態になったそう推察していた。

故に銀は神鳴島の人間の拠点になる可能性のある湊の倉庫を回り、

また神鳴島の息がかかっている可能性のある建物をしらみつぶしに潰していった。

だが、それでも手がかりすらつかめず、もはやどうしていいか分からない。

そして日も暮れ、状況を整理するため一旦神鳴寮に戻ってきていた。

銀は家に残っていた潤と湊の前で八つ当たりするように、目の前で思いっきり家の柱を殴り、家自体を揺らし、誰に向けたわけでもない、怒りの感情を言葉にする。

銀に落ち着いてと声をかけようとしてた二人も、銀のあまりの豹変ぶりに声をかける事が出来ない。

「千里か、大貴からの連絡は?

潤に怒っているように聞こえる口調と目つきで銀が尋ねる

「あの、まだ何も、ありません、、、」

その銀のあまりの気迫に押され思わず、潤が敬語で話す。

「今回は何も知らないんだな。」

「え?」

「今回は裏切っていなのかと聞いているんだ。」

銀は潤にその責を問うかのように念の押しする。

その銀の言葉は潤にとってどんな言葉よりもつらい言葉、その言葉を銀から言われた事で、

蜂須賀を紹介してもらったことで縮まったと思っていた銀との心の距離が一瞬で離れた。

いや、自分は仲良くなれた、そうだともっていたのに、銀はなんとも思っていなかった。そう突きつけられたようで、潤は銀に対して恐怖を感じていた。

「銀さん!」

「なんだ?今回はお前もグルか」

「あんたねぇ、見損なったわ。」

「今はそんな事はどうでもいい、答えろ」

「あの、私、雀ちゃんを裏切るような事をしてません、本当です。それに、湊だって、絶対絶対に裏切ってなんかいません。あの時は私にとってお父さんとお母さんが大切で、

言い訳にはなりけど、お父さんの事は絶対で、でも、今はそんな二人にも愛想を尽かされて、私にとっては雀ちゃんは大切な家族です、そんな子を裏切るなんてできません。」

「どうだか、その大切な両親も、雀と大和を引き渡せば、喜ぶんじゃないのか?

さっき確認したが、裏口が空いていた、あれは内側からじゃないと開けられない。つまりは誰かが開けた、そういう事じゃないのか。」

「ち、違う、私じゃない。私は本当に雀ちゃんを裏切ってなんかいません!!!」

涙目で潤は必死に訴えるが、潤を無視して、銀はまるで機械のように冷酷に、お前の言葉は信用できないと決めつけ、潤を役立たずの加害者一味であるかのように、潤の必死の訴えをただの騒音として無視し大貴に進捗確認のための電話をかける。

それでも潤は何度も泣きながら必死に否定し、信じてくれと繰り返す。

「あんた、よくも潤を泣かしたわね!!!」

銀に対してかつてないほどの怒りの感情に未知湊が銀を叩こうとするが、

銀は当たり前のように、何一つ問題ないとその腕をつかむ。

「無駄だ、暴力に任せて責任の所在曖昧に出来ると思うな。」

湊は、何の問題もないと言わんばかりの銀の顔につばを吐きかける

「触るな、この下種!あんたに触られると寒気がするわ。気持ち悪い。あんたの事嫌いだったけど、ここまで最低な男だったとは思わなかったわよ。そんなに自分の名誉が大事?」

「なんだと?大貴少し待っててくれ」

電話の向こうで銀に呼びかける大貴に待つように指示し、湊に向かい合う。

湊はいくら銀が怖かろうが、潤を泣かされた以上少しも怯まない。

「当ててあげましょうか、今あなたは雀たちの事を心配してるんじゃない。

その小さなプライドがあなたの大嫌いな大人に出し抜かれたことが気に入らないだけ、

そういう小さい人間だって言ってんのよ。

まったくほんと呆れるほど自己中でつまんない男ね。

やっぱりあなたは一生かかっても大和君にも、大貴君にも、セン君にだって勝てはしない。

貴方は一人でそうしてればいいわ、私たちは大和君たちを探す。

これ以上私たちを巻き込まないで。」

「なんだと」

「脅しても無駄よ、ここで手を出した時点であなたの負け、殴るなら殴りなさいよ。

力の弱い女相手に、暴力でしか対抗できない負け犬さん。」

「銀さん、銀さん!」

電話の向こうから大貴が大声で呼びかける

「呼んでるわよ、出なさい。」

銀は言われるがままに、電話に出るしかなかった。

「なんだ?立て込んでいる、後からかけなおす。」

「そっちからかけといて後からかけるじゃないでしょ。それに何この状況、よく分かんないけど、銀さん今、マジ切れしてたでしょ。駄目だよ、銀さんがそんなんじゃ。」

「別に俺は切れてなんかいない。」

「いつもの銀さんなら、自分の感情もまるで他人事のように言う人だよ。バレバレの感情を否定する時点で、銀さんは普通じゃないよ。銀さん、少し電話機離して、」

銀は言われるがままに電話機を話す

「しっかりしろ銀!お前がそんなんだから見つかるものも見つからないだろ!

銀は感情のままに物を考える人間じゃないだろ!どこまでも論理的に、どこまでも冷酷に、感情を排し、先入観を排し、悪魔のように、狡猾に相手を手玉に取るのが銀だろ、それがなんだよ、さっきから、感情のままに僕にもセンにも、それどころか湊さんや潤さんにまで、まるで相手に責任を押し付けるような物言いは!

湊さんも潤さんも俺の大切な友達だ!これ以上傷つけてみろ、相手が銀さんでも、俺は絶対に許さない。その身が無事で済むと思うな!

それにアンタがそんなんじゃ、俺たちは誰に頼ればいいんだよ。」

普段の大貴とは思えない強い口調、思わず、銀は驚いてしまう。

「あ、もう戻してもらっていいよ。やっぱり、普段怒り慣れてないから、いやだね。それにやっぱり結構注目されちゃったったな、みんなこっち見てるよ。どう少しは引いた」

「あ、あぁ、かなり驚いている。」

「そうそれは良かった。少しは頭冷えた?」

「あぁ、悪かったな。やっぱりお前は怒ると怖いな。それだけの感情をこめてなお、平常心を保てている、流石は大貴、お前は誰よりも大人だな。俺とは違うな」

銀は湊と潤の方を見て自分の犯した痴態を改めて理解する。

「銀さん、僕ずっと考えているんだ、本当に、今回の件、僕たちの島が犯人なのかなって、もし、僕たちを利用しないのならそれは僕たちがみんな家にいる状況で、わざわざ実行するとは思えない。それこそ、半年前の時みたいに、今度は僕やセンを利用するし、そうでなくても僕たちからそれとなく情報を引き出すはずだ。それに大和君がここに残るって言ったのも一昨日の事なんだよね。そんな事をどうやって島の人間が知ったのさ。」

「それは、」

「もちろん、大和の実家に裏切り者が入れば話は別だけど、その可能性は低いし、僕たちは今日まで大和の運が落ちる日がある事だってことも知らなかった。

そうして当然銀さんでもない。つまり大和君がいる事自体不測の事態だよ。にも関わらず、島の人間は、わざわざ大和君がここにいる可能性にかけ、綿密に計画を練り、僕たちや銀さんの目を潜り抜け、音も立てずに二人も連れ出したって事になる。

でも、そんな事をした人たちが二人を連れ去った後に二人に電話をかけられるような余裕を与えるような事をしている。二人同時に連れ去っている以上複数人いるはずだ、その状況でそんなことが出来る真似はしない。」

銀は大貴の言う事に納得するしかできない。

「僕はね。銀さん。

今回の件、島の人間は関係ないし、誰からもつれされてもいないと思っているんだ。

だから大和君は何かの用事で銀さんに電話をかけた。

でもその時、大和君の不幸の力で雀さんに何かが起きた。

大和君は幸運に比例するかのように不運が大きくなっている可能性が高い。そう言っていたね。だったら大和君にとって最大の不幸はなんだい?死ぬ事?違う、雀さんに何かがある事だよ。だから、あの時電話の向こうで雀さんに何かがあったんじゃないかな?」

銀は何かを思い出したかのように、二人を残し、自室に戻る

「何か閃いたの?」

「監視カメラだ。テストを終えていたから忘れていたが、監視カメラ自体は生きている。俺は裏口から二人が連れ去れたと思っていた。だが、もし大貴の言うように、何らかの理由で二人が俺たちに見つからないように窓から抜け出したなら、、いた、映っている。

二人が、時間は朝9時4分二人で出かけている。これは何だ?弁当か、、それにこの格好、、、汚れてもいいようにトレッキングか何かか?でも雀の体力で?」

銀は思考をめぐらす、そして、今度はもう一度大和の部屋、台所を探す。

そして最後に雀の部屋でPCの電源を入れ閲覧履歴を確認する。

攫われたのではなく、自分達でどこかに行った。特に雀は台所の形跡から自分で弁当を作っていたの、つまりは事前に準備してだ。携帯を持っていない雀だが、PCは銀のお古を上げている。何かを調べるならこれで、履歴の消し方も知らない。

「あった、市内の動物園だ。」

銀は大貴に礼を言い、湊と潤に初めてといっていいほど必死に心から謝罪すると、

二人を探し、動物園に向かう。

そして同時に機動力のある千里に動物園内を見てくるように依頼する。

だが、銀にとって動物園は本命ではない

弁当を作って持って行っている以上、お昼頃には動物園についているはずだ。

途中で寄り道をしたとは考えにくい。だが、動物園内であればどんな場所であっても、

2人の身に危険の及ぶ何かが起これば、休日だ、周りで誰かが気付くはず。

そうではない場所で、しかも最後には大きな音がして電話が途切れた。

園内でそう言う音がして気づかない可能性は皆無だろう。

という事はその過程で何かがあった。銀はそう考えていた。

そして銀はまるで見ていたかのように本来の最短ではない大和たちが向かったルートにあたりをつける。そしてバスの中で思考をさらにめぐらし二人を探す。

その車内で、千里からの連絡を受け、二人が動物園にいない事を確認すると、

次に大貴に最短ルートで、二人がいないか捜索を依頼する。

だが、それでも3人が再び、動物園に集結するまでに二人を見つけることが出来ない。

「やっぱり駄目だったか?」

「動物園内の係員さんほとんどに聞いたんすけど、二人は見てないって事っす。

ゲート係人は人の顔を覚えるのが得意で、写真見せたんですけど、2人みたいに身長さのある目立つカップルが来ていたら、まず間違いなく覚えているそうです。」

「こっちもダメみたい。というより、たぶん、バスで直通だから実際は大通りとバス。後は営業所でその時間に運転していた可能性のある人たちが戻ってきたから聞いたけどやっぱり記憶にないって。」

「そうか、、、」

「これも推察違いが、俺は動物園につく前に何かあったと思っていたんだが、」

「もう少し範囲を広げて探してみるっすか」

「それより、もうそろそろ警察に連絡してた方がいいんじゃないかな、何かあってたら連絡が入るはずだし。でも、銀さん、銀さん起きた道、結構長いから、まだ探す余地があるんじゃないの?」

「いや、俺のルートだと、人通りは多いし、この時間までどこもかしこもうるさい場所ばかりだ。静かなのは、この動物園の裏口側につながる数キロだけだ。」

「静かな場所にいるはずなの?」

「あぁ、大和の電話越しには周囲の音が聞こえなかった。もし町中からかけていれば、もっと周りの音が入るはずだし、どこかの店の中じゃ目撃者やもっと騒ぎが起きているはずだ。それにあれだけの音目立つだろ」

「そうか、だったら、やっぱり、俺はもう少し、探す範囲を広げてみるっす、」

「、、、悪い、二人とも」

「?」

「勝手にテンパって、八つ当たりをした。すまない。」

「まさか銀さんから謝られる日が来るとは。」

「銀さんは自分の間違えは認めても、謝る事はないし、もしそうだとしても、自分がなぜそう考えたのか、永遠と語る人だと思ってたから、こう素直に謝られるとね。」

「傷口を広げたのは俺だ。自分のいら立ち皆に八つ当たりなどと下らぬことを。」

「まぁ、俺らは二人が無事なら、それでいいし。」

「そうだね、ただ、何となく、電話の感じだと、潤さん達は、ちゃんと謝ってた方がいいよ。あれたぶんマジ泣きしてたでしょ」

「あぁ、分かっている。」

銀は再び捜索範囲を広げながら、思考を巡らし二人の状況を考えようとして走り出そうとした瞬間、大貴が声をかける

「あぁ、あのさ、銀さん。確かだけどさ、大和の携帯、かなり性能のいいノイズキャンセラーがついてなかったっけ?」

「ノイズキャンセラーって、あの騒音とか聞こえなくするやつか?」

「そう、一定の周波数以上と以下の音を切って、人の声を大きくクリアにするやつだよ。もし銀さんが大和君が静かな場所だって思っている理由がそれなら、もしかしたらそれのせいで静かに聞こえていたんじゃないかって。」

それを聞いた瞬間大和が大声で話そうとしていた理由が慌てていたのではなく、周りがうるさく、それで大声で話していたと理解できた。そしてそうする必要があり、大きな音がする事故が起こる可能性があり、それに誰も気づかない。状況

「そうか、流石だ大貴、その通りだ。俺がここに来る前に工事中の場所は結構あった。そのどこかだ、今日は日曜日、すでにどの工事現場も工事は終わっているが、元々昼間も休みの所も多かったはず。そのどこかに二人がいる。悪いもう一つ頼まれてくれ、」

「あぁ、分かった。とりあえず、工事現場をしらみつぶしに探していけばいいんだな」

「あぁ、だがまずはどの工事現場にも、通行人に分かる位置に工期日程の記載がある、そこで日曜日が休みとなっている場所から探してくれ、そうでもしないとかなりの数があったからな。特に何かが崩れるような音がしていたから、おそらく道路工事ではなく、建物だ。」

了解、3人は手分けして工事現場を探すことにした。

原付のある千里が駅側から、大貴が動物園側から、銀がその中間地点を探すことにした。

既に大和の電話があってから、6時間以上経過している。

本当に最悪のケースも想定しなければならない。

それでもまずは二人を探し出すことが最優先だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ