(大和-運×雀)=クローズマイワールド①
「大和いるか」
あの夜、唐突に部屋を勝手に開けた後に、銀が部屋の主の在室の有無を確認する
「なんですか、というか合鍵つかって静かに開けた後に確認するの辞めてください。」
「、、、、いや、箪笥の下から二番目に隠してあるエロ本読んでる現場に遭遇できれば、それはそれで面白いかなって。」
「あんたマジで殺しますよ、何屋探ししてるんですか。」
ここ数日の銀の大和に対する挑発の中でも、なかなかヘビーなものが飛んできた
「このデジタル社会にアナログなもの持ってる方が悪いんだろ。
見つかりたくなかったらその手のものはデータにしとけ。
大体いかにもお前趣味そうな本、どれだけ吟味して買ってんだよ。
あれか遠くの本屋に行けばいいとでも思ってんのか?
どうせそわそわしながらいたり来たりしながら、ちら見して選んで人がいなくなったら、裏表紙までチェックしてんだろ。そういうの監視カメラに残ってるから余計怪しいから、堂々としてる方が目立たないからな。」
「あんたは見てたのか、なんだ、やっぱり殺されたいのか?殺されたいんだろ」
「別に、ただそういう面白い現場が見たいだけだ。で、本題だ。」
「この状況で違う話するつもりかよ。」
「あぁ、ただの嫌がらせだ聞き流せ、あとついでに言うとお前の部屋なんて家探ししたことねぇよ。なんで俺がお前の部屋に興味を持たないといけないんだよ。
お前の事だ、ベットの下はなくてこの部屋の状況で隠すなら、その箪笥だ。
それにお前は服はいちいち箪笥にはしまわない。この間の雀との逢引の時の服もクリーニングに出してそこにかけてあるし、下着だって畳んで置きっぱなしだ。
そこが開くのは衣替えの頃だけだろ。
それなのに、下から二番目は綺麗に閉じてない。
先日お前の部屋に来た時は綺麗にしまっていた、それが開けた形跡がある。
服をしまわないお前が、箪笥を開ける理由はいそれは何でしょう。
ということでお前の行動パターンから推察できることを口にしてみました以上です。
で、本題だが、、、」
図星だ。だが、銀が見ていないという事はまだ救われる大和は自分の傷口を広げないようにしようとするがここでどうしても気になる事がある。
「銀は偉そうに言ってるけどどうなんだよ。お前だって年頃なんだ、一、二冊くらいは持ってるだろ。」
「あ、持ってねぇよ。お前と一緒にすんな。もちろんデータでもだ。なんなら好きなだけ調べてみるか?最も、暴力的な意味R18でどん引き系のは見つかると思うがな」
「だったら、どうやって、、、その処理してんだよ。」
「別に、そこらへんにいる女の人に適当に声かけてだけど、どれがどうした」
「!!!!!!!!」
「冗談だ、んなわけねぇだろ。おいマジで本題に入るぞ。
さっきお前のウチから連絡が入った。わかってると思うが、今週日曜には、待ちに待ったお前の年に一度の不運デー。実家に帰って物忌みしてろ、だとさ」
絶対強運を持つ大和だが、一年に一度、そのバランスを取るかのように、運に見放される日がある。それは毎年、決まった日ではなく、星の流れを読む専属の占星術師により決まり、その日は家にこもって何もしないのが遠野家の伝統行事だ。
特に大和の場合、その幸運が他の家族とも桁が違う為、その反作用も命にかかわるかもしれないものではないかとされている。
実際は家にこもり何もしなければ、運の絡む要素はなく、何か起こるわけではなく例年、
そうしている為、何かが起こった事はない。
「そんなのダメだ!」
デートの約束がある大和は実家に帰る事を断固拒絶する。
「どうした何かあるのか?」
雀とのデートだが言えば邪魔される。
「別にそういう訳じゃないけど、ただ俺ももう高校2年だ、いちいち実家に帰るなんて」
「普段から結構帰ってんじゃねぇか、マザコンファザコンシスコン野郎が」
「とにかく、実家には俺から連絡するから、銀は気にしないでください。
それから折角、一日中部屋にいるんだ。集中して中間テストの勉強もしたいですよ。」
「テスト?テストはまだ再来週だろ?」
「銀と違って、俺は努力しないといい点取れないんです。」
「いつも、自分で言ってるじゃねぇか、テストは普段の自分の努力の結果だ。
だから試験前に勉強するようなまねはしたくないって、」
「それは、そうですが、、」
まずい、銀が疑っている、何か疑いをそむける理由を探す大和
「それとも、何だ。このあいだの浮かれ様からすると、雀と野中が進展して、学年トップでも取って雀から凄いとでも思われたいのか」
「そうですよ。悪いですか?」
大和は内心恥ずかしがりながらも、疑問を持たれないように断言する。
「、、、、いや、別に、ただ否定しないんだなとは思ってるだけだ。」
「このあいだのデートの件で分かりました、俺が雀の事を隠した所で、みんなは気付いているし、」
「そりゃそうだろ、今まで気づかれていないと思ってたのか?」
「、、、、それに後2カ月もすれば夏休みです。高校2年の夏休みは一生に一度だけです。
後悔はしたくない。その為にも、俺は雀との仲を進展させる必要があります。
いけませんか?」
「、、、いや、悪かった。それなら俺は何も言わない、頑張ってくれ。
お前が最初からそうしてれば雀が、不安がる事もないし、
俺が雀に助言してやる必要もないんだよ。」
「何の話ですか?」
銀は大和に近寄り、軽く腹を度付く
「なんでもない、ま、ガンバレや。」
そう言って銀は大和の部屋から出て行った。
なんとかデートをしたいがためだけについた嘘だが、
大和は顔を真っ赤にし、自分の発言にもだえ苦しむ。
だが、これであの銀を騙せた。後はたした問題ではない。大和はさっそく、実家に電話をかけ、あれやこれや理由をつけ、実家に帰らない旨を伝える。
大和はなんだかんだでよくできた『いい子ども』であるため、
両親からも、遠野家に使える世話係からも信頼は厚い。
それ故、目論み通り実家に帰らずこの神鳴寮にとどまる事承認を得た。
後は如何にバレないように、この家を出ていくだけだ。
そして日曜日、デートの朝を迎えた。
銀はわざわざ普段は姿を見せない朝食の場で、大和に大人しくしておくように念押しする。
大和は深刻そうな顔をし、おとなしくそれに従い、鍵をかけ自室にこもる。
この日のために準備していた銀は、なくなっていても疑問に思われにくい普段使わない靴を机の下の袋から出すと、窓から外へ出ていく。
そして時同じく、雀も一生懸命窓から抜け出し、居間からの死角の場所で待つ大和の元へ、ただ雀からすれば、窓から地面まではかなり高かったようで、飛び下りていないにしても着地に失敗したのか、ズボンが土で汚れてしまっている。
「雀大丈夫?」
「はい、お弁当は無傷です。」
そう言って嬉しそうに大きなバスケットをかざす。
「いや、そうじゃなくて。雀が大丈夫かだよ、それにお弁当なんていつの間に、、、」
「実は昨日の夜、こっそり作ってました。なんだかバレないかドキドキで、使った後の隠蔽工作も完璧です。今もなんだか探偵みたいで楽しいですね」
あぁ、そうだ楽しい、二人だけの秘密のデート
「そんなことまでしなくていのに、それじゃ、見つかる前に行こうか」
このシチュエーションだ。大和もそれほど恥ずかしがるわけもなく雀に手を差し出す。
まぁ最も手を握る事に関しては普段からエスコートという意味では当たり前のこととしてする男だが、この雀に差し出した手はそれとは彼の中での意味が違う。
「お弁当もとうか?」
「いえ、これは私が死守します。そういえばやまと君、この間みたいな恰好はしてないんですね。それに私にもズボンとスニーカーで、って」
「あぁ、動物園は外だからね、汚れてもいい格好。それに意外とあそこの動物園は坂道とか多いから、スニーカーじゃないと靴ずれ起こす可能性があるからね。」
「すごいです。やまと君、そんな事HPには書いてなかったのになんでも知ってるんですね。ひょっとして行った事があるんですか?」
「行ったことはないよ。雀と同じ、だから楽しみだよ。あ、前見て危ないよ。」
大和は雀の手を少し道路側に寄せ、壁際を走ってくるからくる、小学生の自転車を避ける。
「危なかったです。ぶつかる所でした。」
一つの事をやりだすと周りが見えなくなり庇護欲を駆り立てられたやまとがうっとしいほど雀に気を使いながら、やっと辿り着いた最寄りのバス停からバスに乗り動物園に向かう。
本来であれば一旦大通りに出てから、直通のバスに乗るのが一番早くて近いが、それに乗ってしまうとほぼ100%学校の他の生徒に見つかってしまう。
帰りであれば時間帯もあり、それを利用するつもりだが、行きは仕方がないと、知り合いに会う可能性を避けたい二人は、最寄りの住宅街のバス停から、比較的動物園に近い場所で降り、そこから歩いて向かう事にしていた。
二人は誰にも見つかることなく、10時半には目的地のバス停につき、そこから約30分、街中を抜け動物園に向かう。街にはそれなりに人が見受けられ、街の様子もそれなりに寂れているとはいえ、それでも神鳴寮よりは大分都会だ。ここから動物園へのバスが出ていてもおかしくなさそうだが、この隣の駅が最寄駅の為、直通のバスはなく。
動物園に近づくためのバスは40分待ち、歩いて行った方が早い。
そしておよそ20分ほど経った頃か、目的地まで半分を過ぎた頃、
再開発が盛んにおこなわれている騒音激しい街中で突然雀が立ち止まる。




