銀×雀=籠の中の鳥、檻の外の獅子②
デートから4日後、珍しく、学校が終わると同時に雀は一人で寮に帰ってきた。
「ただいま、あれ?珍しいですね。銀さんが居間にいるなんて、というより早いですね。いつもだったら木曜日なのでお買い物したりしてくるのに」
「珍しいのは雀の方だよ。一人で帰ってくるなんて、俺の方が今日から3年は勉強合宿。俺はここの管理があるってバックれてるから、来週の月曜まで学校に行く必要なし」
「そんなのがあるならいってくれればいいのに、私たち銀さんなしでも大丈夫ですよ。」
「違うめんどくさいだけだ。なんでわざわざ合宿して勉強なんだよ。馬鹿なのか、あぁ、そうか馬鹿だから勉強する必要があるのか。俺はわざわざ環境を作ってもらわなくても自分でできる人間だ。何の問題もない。」
「でもそういうのって、皆と一緒に共同生活できるから楽しいんじゃないですか?
私とか今から修学旅行とか楽しみですよ」
「それなら不要な上に間に合っている。ここは毎日にがそんなんだろう。」
「あぁ、そういえばそうですね。私とかここと神社しか、いたことないから、常に誰かがいて当たり前でしたから普通の環境ってわからないんですよね。よいしょっと」
雀はカバンを置き制服のまま、新聞紙の上で、買ってきた食材の加工をする銀を眺めている。横には牛蒡をさきがきにし、水に浸したものと、むかれたグリーンピース殻が大量に集められている籠に盛られている。
今は煮干しの頭と内臓を一つずつ外していく。
「何してるんですかそれ?」
「煮干しの頭と内臓は苦味になるから取ってる。こういう事はこう言う時しかできないからな。特に俺は煮干しはミキサーにかけて粉にして使うから余計に雑味が出やすい。」
「その頭とかはどうするんですか?」
「ん?こっちは俺用、」
「苦いんじゃなかったんですか?」
「それでも食べ物だ、粗末にはできない。それに俺はうまいまずいなんか関係ないからな。」
「銀さんって料理上手ですよね。今度教えてください。」
「なんだ、大和にでも作ってあげるつもりか」
「みんなにですよ。何で大和さん限定なんですか。」
雀はTVをつけて何が見るものがないかを探すが、特にないようですぐに電源を消す。
「手伝ってもいいですか?」
「その前に着替えてきたらどうだ。というか、なぜここにいる。
一人で帰ってきたところを見ると、まだほかのメンツはしばらくかかるのだろう、それに夕飯は別これをやった所で夕飯が早くなるわけじゃない。」
「別にお腹が空いてるわけじゃないです。ただ何となくです。でも、確かに、着替えてきますね。」
そういって雀は一旦部屋に戻り、着替えて再び今に戻ってくる。
「お待たせしました。」
「別に待ってはいない。」
「まぁ、そう言わずに、で、何を手伝えばいいですか」
「そうだな、ちょっと待ってろ」
銀は台所から葱を大量に持ってくる。
「すごい量ですね。今日はどうしたんですか?」
「今日は朝から休みだったから少し遠出して、野菜の直売場に行ってきた。
安いから沢山買ってきた。で、雀にやってもらうのは、その葱を細かくみじん切りにしてもらう。葱は普通に冷凍で保存がきくから使いやすいように細かく切って」
「いつも味噌汁に入っているやつですね」
「そう、できるか?」
「大丈夫です、でもなんですかこの包丁、おもちゃですか」
「刃に触るな!それはセラミック包丁、見かけはポップだが、よく切れるから気をつけろ。」
「ピンク、、、」
「それが通販で処分価格だった、色は何でもいいからな。」
「銀さんの包丁と違う。」
「和包丁の事か、あれは俺の持ち物の中でもトップクラスに高いんだ。あれは俺専用だ。
キレ味と使いやすさならそれもかなりお勧めだ。俺もトマトとか潰れやすいものを着る時はそれだ。固いものは力の入れ方を間違えるとかける事があるが、それは十分使えるぞ。
気をつけろよ、見かけに惑わされるとバッサリ行くぞ」
銀の脅しが聞いたのか雀は恐る恐る包丁を入れていく。
そして30分後、銀が1時間前かはじめていた気の遠くなるような煮干しの頭取りを終える頃、雀も何とかねぎのみじん切りを終えていた。
「初めてにしては上手じゃないか。性格でるな、丁寧に同じ長さで。」
「銀さんみたいにたたたたって早くできませんでした。」
「まぁ、そこら辺は馴れだな。本当に料理を勉強する気があるなら教えるぞ。」
「そうですね。時間がある時にお願いします。あの銀さんのお仕事はこれで終わりですか?」
「なんだ何か用事があったのか?だったら先に言えばよかったのに、何だ、いいぞ。」
「あの、銀さんの顔を見てて思い出したんですけど、銀さんにお願いがあってですね。」
雀は正座し直し、申し訳なさそうに銀に向き合う。
「少し長くなりそうかな、だったらちょっと待ってろ、片づけだけ済ませるから。
銀は手際よく、後片付けすると、雀にいちいちかしこまらなくていいと足を崩させる。
「で、用件は?」
雀は今まで、お小遣いから必要経費を出していたことを話、今後、そういうものを請求していいかを、銀に尋ねる。すると銀はあからさまに不快な顔をする。
「あの、無理なら、やっぱりいいです。」
「違う、俺が気に入らないのは最初からそうするように言っていたのにそれを自分で出していた事だ。確かに俺も気を回せなかったのが悪いが、俺は最初に言っただろ、必要なものがあれば言うように、欲しいものがあれば検討するから打診するようにと」
「はい、ごめんなさい。」
「いいか、あのお金は雀が遊ぶためのお金だ。それをなんでそういう事にばかり使っていた。というか、逆に今までどうしてたんだ。」
「その、銀さんにもらったお年玉とか、私がこっちに来た時に銀さんから預かった貯金から、後は必要なものはもらったサンプルとか、潤ちゃんが分けてくれたりとか。」
「そういうする必要ない努力をする必要はない!
あの貯金通帳は預けたのではない返したんだ!
あのお金は、君の母親が君の将来のために残してくれたお金だ!そういう事に使うな!」
「ごめんなさい」
本気で銀が怒るので、雀はおびえてしまっている
「まったく、流石にそれはいくら雀でも許せない話だ。で、今までどれくらいかかった」
「えっと、、、」
「正直に言え、虚偽の報告は許可しない。」
「貯金からは3万円くらいです。」
「という事はその感じから言うと月5000円のほとんども生活費に回してたな。
お年玉は確か1万円あげてたようなとすると約10万か、とりあず、先にそれだけ返そう。」
「あの、今までの分はいいです。私がお願いしたいのはこれからの分で、それにみんなと遊ぶ為に使ったお金もありますし、」
「うるさい、一切却下だ。」
「でも、、」
「拒否権はない、俺のプライドをこれ以上傷つけるつもりなら温厚な俺とて容赦はせんぞ。」
銀はそういうと携帯をいじりだす。
「とりあえず、雀の口座に5万戻しておいた俺はネット口座は一つしか持っていないし、上限額が5万だ、残りは明日振り込んでおく。」
「本当にすみません。」
「、、俺はそんなに頼りにならないか?」
「いえ!そんな事は、」
「だったら気を使うな、気を使われることが何より不快だ。」
「ごめんなさい、」
「本当にそう思うんなら、最初から隠すな。そして今後はちゃんと報告しろいいな。」
「はい」
「、、、怒られたくらいで泣くな。わるが俺は一切謝る気はないからな。」
「はい、ごめんなさい。」
「雀は、今回の件を甘く見ている気があるな。お金と俺に対する気遣いと天秤にかけて気遣いの方が勝つ、それ即ち、金というものの価値を過小評価しているという事だ。
金が有り余っていたり、生活が保障されている身ならまだしも、俺の両親が身元引受人になっているとは言え、そんなもの何の後ろ盾にもならん。
君は他の誰よりも自立して自分で生きていけるようにならなくてはいけない。
そんな君はお金の価値を軽んじる事は許されない。」
銀は正座し直し、真剣な表情で雀に話を続ける。




