英雄「雨も止まないし掃除でもするかな」
前作「あんた勇者なんだしそろそろ旅立ちなさいよ」シリーズがございます。
英雄「雨も止まないし掃除でもするかな」
英雄「とは言っても掃除するほど散らかってもいないんだよな」
英雄「私は早く仙人を探しに行きたいんだが・・・」
英雄「仙人・・・あなたが去ってから雨は一度も止みません」
英雄「私を置いてどこに行ってしまわれたのですか・・・」
メイド「あら、英雄様 お部屋の片付けならわたし共にお任せ下さい」
執事「英雄様、翁様がお呼びです 我々が掃除を済ませる間、しばし翁様のお部屋へ」
英雄「ああ、ありがとうございます それではお任せします」
パタン
英雄「慣れないな・・・いつになっても」
英雄「翁さん、入りますよ」
翁「おお、英雄殿 呼び出してしまい申し訳ない」
英雄「いえ、それより、仙人の手がかりはつかめましたでしょうか?」
翁「うむ、今日呼び出したのは他でもない 確実に仙人のいる場所へとたどり着くことができる方法を見つけ出しましたぞよ」
英雄「おお!! それはいったい・・・?」
翁「わしはこれから海を渡り、ある少年を連れて参る その少年こそが、仙人へと導いてくれることじゃろう」
翁「その少年の導く先に、仙人はいるはずじゃ」
英雄「その少年は・・・仙人の知り合いなのですか?」
翁「いや、その少年は仙人を知らぬ 無意識のうちに、そなたを導くことになろう」
英雄「・・・どういうことですか?」
翁「英雄殿、深い事情はわしにもわからぬ だが、前にも言ったようにわしの勘はよく当たる 信じてくれい」
英雄「はあ・・・わかりました 私が英雄になったのも、そもそもはあなたのおかげですから」
翁「・・・・・・・」
<街にて>
街全体を大きな屋根が覆っている
「嫌だねえ、雨が屋根を打つ音で不安になっちまうよ」
「雨が止まなくなってからもう7年が経ったな」
「漁師の話では、海の向こうは晴れてたそうだ この大陸だけ雨が降りっぱなしだそうだぞ」
「おい、英雄様がいらっしゃったぞ!!」
ザワザワ
英雄「街の皆さんが不安になる気持ちはよくわかる この街だけでなく、大陸中の人々がこの雨に悩まされているだろう 早く仙人をお探ししなくては」
「きゃー英雄様ぁ!!」
「南北の戦争を和解させ、大陸を渡り歩き人々を勇気付け、モンスターの退治もなさってる偉大なお方だ」
「まだお若いのに、立派だなぁ 丘の上の大きな屋敷に住まれているが、最後まで遠慮なされたそうだぞ」
「この雨についても、解決のために奔走されているようだ まさに英雄にふさわしいお方だな」
英雄「私は・・・街の皆さんが思っているような大人物ではないのに・・・」
数週間後
<港にて>
英雄「翁さんからはここで待つように言われていたけど・・・」
英雄「あ、あの船だな」
英雄「ん・・・? 海面に影が・・・」
ザパァァァァァァアァァァァア
鯨モンスターが現れた!
英雄「危ない!!!」
英雄「船が沈められてしまう!!」
英雄「魔法剣・雷装備! おぉおおおおおお!!!」
グワァアアアアアアアアアアアアアアアア
剣から放たれた雷が海を割る! 鯨モンスターは倒れた!
英雄「よかった・・・」
「英雄様がお助けくださった!」
「ありがとうございます!」
翁「うむ そなたのおかげで船が沈まずにすんだわい」
英雄「いえ、間に合ってよかったです ん?この子たちが・・・」
翁「そなたに付いて旅をするよう伝えてある」
悪ガキ「よーし、冒険開始だ!!! 雨なんかへっちゃらだぜぃ!」
翁「英雄殿、しばしよいか」
英雄「はい、なんでしょうか・・・?」
翁「あの少年、4人の先頭にたって歩くあの少年がそなたを導いてくれるじゃろう だが・・・」
翁「そのことはあの少年に言わないでくれまいか あの少年に自覚があるわけではないからの」
英雄「はい、わかりました」
翁「それと・・・あの少年たちを追ってくるものがあろう そなたが守ってやってくれぬか」
英雄「・・・わかりました」
翁「それでは、わしはしばらく用事があるのでな 屋敷を留守にする」
悪ガキ「おーい兄ちゃん 早く行こうぜ!」
秀才「悪ガキくん、この方は僕たちを守ってくれるんだ 敬意を持って接しないと」
太っちょ「ねえねえ、おいら腹減っちゃったよ 御飯食べさせてくれ」
幼女「あ、あの・・よろしくお願いします・・」
英雄「よろしくね 君たちの回りには、安全のために結界を張らせてもらうよ」
翁「少年よ・・・そなたはまだ知らぬじゃろう この旅で終わりではない その小さな肩に、この世界の運命を託されているのじゃよ」
英雄「この国は常に雨が降っている このコートを羽織れば雨を弾くから」
秀才「防水の魔法がかけられたコートなんですね」
悪ガキ「なあなあ、兄ちゃん まずはどこに行くんだ?」
英雄「そうだな・・・君が行きたい所・・かな」
秀才「え、悪ガキくんに任せていいんですか?」
太っちょ「こいつ方向音痴だよw まずは美味しいものがある場所がいいな」
幼女「・・・くしゅんっ」
英雄「あ、とりあえず建物の中に入ろうか」
<港の休息所にて>
英雄「幼女ちゃん、これ羽織っておきな」
幼女「あ・・ありがとうございます」ペコリッ
太っちょ「立派なマントだなぁ」
悪ガキ「でも兄ちゃん、着てる服全部真っ白とかセンスねえなwww」
秀才「悪ガキくん! なんてこと言うんですか!」
英雄「あははw たしかにそうだよねw 英雄なんだからって言われるままに着てたんだけど、やっぱりおかしいよねw」
秀才「英雄さんのことは、船で翁さんに聞きました なんでも、戦争を仲裁し、近頃この大陸に現れたモンスターを退治しているとか」
英雄「うん、まあそうなんだけど・・・ 戦争は私だけの力で止めたわけではないし、モンスター討伐も、倒せる者が私しかいないからやっているだけで・・・」
太っちょ「でも、さっきのでっかいモンスター倒したとき、かっこよかったよ」
幼女「すごかったですよ・・」
英雄「そうかな・・・」
悪ガキ「兄ちゃん自信もてよw」
<英雄の街にて>
英雄「この街に私の家があるんだ」
悪ガキ「でっけー屋根!」
秀才「街全体をドーム状の屋根が覆っているんですね」
英雄「こう毎日雨が降られては、住人の生活にも支障が出てしまうからね」
太っちょ「なんでもいいから・・・腹が減った」
幼女「太っちょくん、お腹なでなで」サスサス
<英雄の屋敷>
英雄「みんな、くつろいでね」
悪ガキ「でけー家! 天上高けー!」
秀才「丘の上で見晴らしもいいですね」
太っちょ「くんくん・・・美味そうな匂いだ!」
幼女「あぅ。。 あったかくて眠くなってきちゃった・・」
執事「皆様、お食事の準備が整いました」
太っちょ「きたーーーー!!」
悪ガキ「高級そうな料理ばっかりだな・・・」
秀才「いや、きっと本当に高級な料理なんでしょうね」
幼女「ねぇねぇ太っちょくん、これなんていう料理?」
太っちょ「見たこともない料理だな・・・食材も見慣れないものばっかりだ」
英雄「こっちの大陸でしか取れないものばかりだよ 美味しさは私が保証する」
メイド「食後にはデザートもお持ちいたします」
太っちょ「わーい♪」
悪ガキ「それにしても、英雄って金持ちなんだな」
秀才「それはそうですよ、英雄さんはそれだけのことをなさったんですから」
太っちょ「もとから金持ちだったりしてw」
英雄「いや、そんなことはないよ 街の皆さんから、英雄なのに他の人間と同じような暮らしをするわけにはいかないだろうって言われて・・・」
英雄「私は、むしろこんな立派な屋敷とは無縁の環境で育ったんだ 今でもこの生活に慣れないよ」
幼女「はむはむ・・・おいちい」
英雄「君たちは翁さんに連れてこられたんだろう? この屋敷は翁さんが建てたものなんだ 英雄が英雄らしくあるようにって」
英雄「それが民衆の望みなんだからって だから、この屋敷は私のものというより翁さんのものなんだよね」
英雄「執事さんも、メイドさんも翁さんが連れてきてくれた 私のお世話をしてくれてるんだけど、正直、私の方が気を使ってしまってね やはりこれも慣れないんだ」
悪ガキ「贅沢な悩みだなぁw」
英雄「そうだ、君たちの話も聞かせてくれないか」
悪ガキ「そうだなー、年齢は7歳 魔法の勉強はさっぱりだけど、剣は得意だぜ!」
悪ガキ「ちなみに母ちゃんは俺らの大陸の大司教だぜ! 父ちゃんは・・・引きこもってゲームばっかしてるけどw」
秀才「僕は、将来は医者になりたくて回復魔法の勉強をしています よろしくお願いします」
太っちょ「美味いもん大好き! ここでしか食えないものいっぱい食べて帰りたいと思うんだ」
幼女「あの・・ ママが魔法の先生でちょっとだけ魔法使えます・・よろしくです」ペコリ
英雄「なるほどなるほど 君たちはみんな同級生なのかな?」
悪ガキ「そうだぜ、みんな毎日一緒にいるんだ 昨日も俺んちでみんなで遊んでたら・・・」
秀才「翁さんがいらっしゃって、僕たちに頼みごとがあると」
太っちょ「腹いっぱいになったら思い出した! あのじいさん、俺たちが英雄さんを手助けしてくれって言ってたよね」
幼女「わたし・・・足でまといですよね」しょぼん
英雄「そんなことないよ、君たちには本当に期待しているよ 明日から旅立つことになるけど、みんなよろしく頼むね」
悪ガキ「おう、任せとけ! 楽しみだなぁ冒険!」
秀才「僕も、旅の中で実践を積みながら回復魔法の勉強をしたいんです」
太っちょ「食べ歩き♪ 食べ歩き♪」
幼女「・・・・・・にゃむ」zzz
英雄「それじゃあ、明日に備えて今日はゆっくり休んでね」
<寝室にて>
英雄「あの子たちの周りには追っ手に気配を悟られない結界を貼ったけど」
英雄「いったい誰に追われているんだろう」
英雄「それに翁さんの用事・・・これまでにもお一人で出かけられたこともあるけど」
英雄「みんな私のための用事だったよな 戦争の時もそうだった 仙人の情報を集めてもくれた 今回もきっと何かお考えがあるのだろう」
英雄「仙人が私の前から去ったのにも理由があるのだろうか」
英雄「あの少年・・・仙人と何の関係があるのだろうか・・・」
翌朝
<フィールドにて>
英雄「まず、みんなモンスターとの戦いに慣れないといけないね 武器は屋敷からみんなに合いそうなものを持ってきたよ」
悪ガキ「おい、あそこに弱そうなモンスターがいるぞ!」
太っちょ「よぉしやっつけてやる!」
幼女「あ、あの・・」
秀才「二人とも勝手な行動はやめたまえ」
モンスターの攻撃!
悪ガキはひらりと身をかわした!
悪ガキの攻撃! バシュッ
モンスターを倒した!
悪ガキ「へっどんなもんだい!w」
英雄「すごいな、君本当に戦うのは初めてかい?」
太っちょ「学校では戦いの練習もしてたしね 幼女のお父さんが教えてくれるんだ」
英雄「そうなんだ、頼りになるなぁ」
幼女「パパ・・会いそびれちゃった」しょぼん
秀才「幼女さんのお父さんは、1週間山の麓の村に用事で出かけていたんです」
悪ガキ「そういや、俺の父ちゃんと飲みに行ってたんだよな」
英雄「そ、それじゃあお父さん方に何も言わずここに来てしまったのかい?」
悪ガキ「一応父ちゃんにメモは残しておいたぜ!」
太っちょ「俺と秀才の親は別の街にいるしね」
秀才「僕たちは悪ガキくんの家に居候しているんです」
英雄「そうなんだ・・・ご両親と離れて暮らして、寂しくないかい?」
秀才「いえ、僕たちの街には魔法や剣の先生がいなくて 勉強がしたかったら隣街に住むしかないんですよ」
太っちょ「俺の家は料理屋なんだけどね 親が今は勉強しないと料理屋も出来ないって俺のこと学校に放り込んだんだ」
悪ガキ「幼女もよく俺んちに来るし、俺んちはたまり場になってるんだw 父ちゃんも一緒にゲームしたりしてw」
幼女「ママが言ってた・・悪ガキくんのお父さんにちゃんと外出るように言ってって
・・」
英雄「そうなんだ・・・私も幼い時に・・おっと、モンスターが現れたよ!」
悪ガキ「よぉしやってやるー!」
太っちょ「今度は俺にやらせてよー」
英雄「・・・・・・・・」
<森の中の村にて>
英雄「君たちがあまりにも優秀だったから、予定より早く着いたよ」
悪ガキ「本当に俺が行きたい方角で進んできたけど・・・これでよかったのか?w」
英雄「うん、君が進む道が、私たちの進むべき道なんだ」
秀才「確かに、方向音痴の悪ガキくんが先頭で、村に辿り着いたなんて奇跡としか言い様がありません」
太っちょ「たまたまだったりしてw」
幼女「あ、あの・・・村から誰かでてきましたよ」
村人「英雄様がこのような場所にいらしてくれるなど感激です 前もって言って頂ければ、もてなしの準備をいたしましたのに」
英雄「いや、いいんです 気の向くままに旅をしておりますので 村の皆さんはいつも通りにされてください」
太っちょ「くんくん・・・肉が焼ける匂いだ!!」
秀才「太っちょくんは本当に鼻がききますね・・・」
悪ガキ「俺も腹減ったぞ! 早く村に入ろうぜ!」
太っちょ「くんくん・・・この辺から匂いが・・あ!」
悪ガキ「おお! バーベキューだ!」
村人「この村は週末になると村人どうしで集まってバーベキューをするんですよ 雨が降りだしてからも変わらず、このように屋根を設けて行っています」
秀才「この肉は・・・シマシマ牛でしょうか」
英雄「いや、ハンテン牛だよ そうか、君たちの大陸とは牛の種類も違うんだよね」
太っちょ「なんでもいいや、いっただきまーす! 肉! 魚! 芋!」
幼女「おいも・・・」はむっ
村人「英雄様、村のはずれにある川のことなのですが・・・」
英雄「はい、各地の川や湖で氾濫防止のダムを建設しているようですね」
村人「そのダムのことで・・・この村の住民は開発に伴って移転することが決まっております」
英雄「そんな・・・なんとかならないのでしょうか」
村人「いえいえ、もう我々も納得して決めたことですので 我々の決断が多くの命を救うことになると思えば、気分も楽になります」
英雄「・・・そうですか・・・」
英雄(仙人・・・私は無力です・・あなたが・・あなたの力が必要なのです・・・)
<フィールドにて>
英雄「この森を抜けると山道になる みんな大丈夫かな?」
太っちょ「えぇぇ・・・山道か・・・」
悪ガキ「そ、そんなのへっちゃらだよ・・・!」
秀才「そうです、僕たちが足でまといになってはいけませんから・・・はぁはぁ」
幼女「足痛いぃ。。。」
英雄「うん、少し休憩しよう」
悪ガキ「たしかに俺はこっちに行きたいって思ったんだけどな・・・」
太っちょ「なんで山なんて登りたいんだよ」
悪ガキ「そんなの知るかよ、なんとなくこっちに行きたいなって感じたんだ」
秀才「そのなんとなくに、僕たちだけじゃなく英雄さんまで付き合ってくださっているんですよ」
英雄「まあまあ、でも私もこの山の上に行きたい所があるんだ 悪ガキくんの選んだ道は正しいんだよ」
秀才「そうだ、幼女さん 足を見せてください」
幼女「ふぇ?」
秀才「小回復魔法!」
幼女「・・・わぁぁ治った」にっこり
英雄「凄いなぁ たいしたものだ」
英雄「君たちの大陸では、小さいうちから魔法や剣を習いたいと思えば習えるんだね」
悪ガキ「まあ、先生がいる街では当たり前だよ 先生がいなくても、近くの街に習いに来ればいいんだ 秀才や太っちょみたいに」
秀才「こちらの大陸ではそうではないのですか?」
英雄「うん、まず魔法なんてものが一般に浸透していない 特別な人にしか使えないものだって認識があるんだ」
英雄「戦闘技術も、戦争がおこる前までは、長いあいだ平和だった国だからね 今ではモンスターに対して武装する街もでてきたけれど」
太っちょ「俺たちの国では、戦争もモンスターもないけど戦いの練習はしてるよ?」
秀才「それは、僕たちの国の歴史を考えればわかるでしょう 花無き時代と呼ばれる十数年間は、モンスターや魔物に支配されていたんですから」
幼女「パパ言ってた・・またそういうことが起きたら、ちゃんと自分を守れるようにしないとって」
悪ガキ「よーし、登るぞぉぉ!!」
英雄「もう大丈夫なのかい?」
太っちょ「もうちょっと休もうよ・・・」
秀才「太っちょくん、山に登りきらないと晩御飯がないとしたらどうします?」
太っちょ「よし登ろう」
幼女「えへへ」クスクス
<山頂にて>
英雄「みんな大丈夫かい?
悪ガキ「はぁ・・はぁ・・・大丈夫だぜ・・」
秀才「頂上・・・ですか?」
幼女「あぅ。。 コートが破れちゃった。。。」
英雄「さあ、みんなこの小屋に入って 中に替えの雨よけコートもあるから あれ?太っちょくんは?」
太っちょ「・・・・・・・・ひぃひぃ」
英雄「みんなお疲れ! この山は大人でも登るのが大変なんだけど、みんなよく頑張ったね」
英雄「ここは私が幼い頃を過ごした小屋なんだ」
英雄「少し休んでいてくれ、今からごはんを作るから」
英雄「・・・・みんな一度眠ったほうがいい 回復睡眠魔法」
英雄「本当にお疲れ様」
英雄「さて、随分長いことここにはきてなかったからな 掃除でもしようかな」
英雄「掃除・・・久しぶりだな なんだか懐かしい」
英雄「仙人に怒られながら雑巾がけしたなぁ・・・」
英雄「掃除が終わったら、私も一度眠っておこう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
よく晴れた朝
「小僧、早く起きんか 寝ぼすけが」
「だって・・・仙人 昨日はよく眠れなかったんだもん・・・」
「ふむ ようし、今日は魔法を教えてやろう さ、早く起きるんじゃ」
「魔法!? やった、ついに教えてくれるんだね!」
「仙人みたいに天気変えられる?」
「馬鹿もん そうやすやすと天気を変えられてたまるものか それに天気はよほどのことがない限り、人の手で変えてはならん」
「でも、仙人、この前雨を降らせたじゃないか」
「日照りが続いておったからの」
「いいじゃん、晴れてる方が僕は好きだよ!」
「ああ、小僧は雨が嫌いじゃったな じゃが、雨が降らねば消える命だってあるのじゃよ」
「ふーん・・・」
あれ?
「小僧、大変じゃ、早く起きんか!」
「どうしたんですか・・・仙人?」
「小僧、何があってもこの小屋から出るんじゃないぞ」
「え? いったい何があったのですか?」
ドゴォォォォォォッォオオオン
目の前が真っ赤な光に覆われて・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
英雄「はっ・・・・」ハァハァ
英雄「夢か・・・」
英雄「雨・・・嫌だな」
英雄「雨は大切な人を奪っていく・・・」
悪ガキ「おーい兄ちゃん、太っちょが腹減ったって」
英雄「よし、できたよ 保存食で作った料理だけど、意外と美味しいんだこれが」
太っちょ「なんでもいい・・・何か食いたい・・・」
幼女「お腹なでなで」
秀才「今日は僕も腹ペコです 英雄さん、いただきます」
英雄「そういえば、君たちの大陸にはこの世で一番大きな山があるんでしょ?」
悪ガキ「ああ、あのでっかい山に比べたら、この山は子供みたいなもんさw」
幼女「パパはその山の麓にいってたんです・・荷物を運ぶ用事で・・」
秀才「僕たちがいた街から見ても、その大きさがとてつもないことがわかるんです」
太っちょ「俺は一生登ることはないだろうね」
悪ガキ「そういえば、俺の父ちゃん、あの山に登ったことがあるらしいぜ 嘘くさいけどw」
英雄「ほら、ここがバルコニーになってるんだ 晴れてたときはここから星を見たりしてたんだけどね」
秀才「一体・・・この雨が止まない原因は何なのでしょう」
英雄「さっぱりわからないんだ もう7年間も降りっぱなしなんだよ」
太っちょ「7年も!?」
悪ガキ「別に強い雨ってわけじゃないけど、そんなにずっと降ってたら大変だよな」
英雄「仙人・・・私のお師匠様は仙人だったんだけど、その人は天候を変えることができたんだ だから・・・」
悪ガキ「じゃあその人に頼めばいいじゃん」
英雄「それが・・・いなくなってしまったんだ ある日突然」
秀才「そんな・・・」
太っちょ「仙人の話、聞きたいな」
悪ガキ「ついでに兄ちゃんの話ももっと聞かせてくれよ」
英雄「・・・いいとも」
英雄「私は、幼い頃に両親を亡くしたんだ 父は漁師で、毎朝海に繰り出していた」
英雄「その日は朝は晴れていたんだけど、昼頃から急に大雨になった 嵐が来たんだ」
英雄「父は翌朝になっても帰ってこなかった まもなく、父の乗っていた船が見つかったけど、乗組員は全員死んでいたそうだ」
英雄「母はそれからまもなく亡くなった もともと病気がちで体が弱い人だったんだ それに加えて、父と一緒に船に乗っていた人たちが悲しみを母にぶつけたんだ」
英雄「父はその船の船長だったからね 父の判断がもっと早ければ、嵐が来る前に港に戻って来れただろうって」
英雄「もうその街には居られなくなった 母は病態に鞭打って、私を連れて街を出た」
英雄「広い草原を歩いていたときだった 母は倒れ、物も言わずに息を引き取った」
英雄「私は、まだ幼かったけど母がもう動かないことはわかったんだ 大声で泣いていた」
英雄「そうしたら、後ろから抱きしめられたんだ 一緒に来い、小僧は一人じゃないぞって」
英雄「それが仙人だったんだ 仙人は旅をしていたようだけど、この山の頂上に私を連れてきて一緒にこの山小屋を建てた それからは常に私のそばにいてくれた」
英雄「仙人は、今から思うと本当に凄い人だった 天候を変えるなんて、今の私でも到底無理なことだしね そんな人が、私に一から魔法を教えてくれたんだ」
英雄「この剣も、仙人がくれたものなんだ 私は剣に魔力を込めて戦うのが得意だったからね」
英雄「それから、仙人は友達が多かった 翁さんもその一人さ 他にネズミに鳥に牛に、でも人間の友達は翁さんしか見たことがないなぁ」
英雄「そうそう、一度は大きな白いドラゴンが訪ねて来たこともあった」
悪ガキ「ド、ドラゴン!?」
秀才「しーっ 悪ガキくん、お話の途中ですよ!」
英雄「ふふ、ドラゴンさ 私もとても驚いたよ 丁度、君たちと同じくらいの歳の頃だったかな ある日、仙人と私が稽古をしていると、あたりが白い霧で覆われたんだ」
英雄「そしたら、ほら、あそこに崖があるだろう あの辺にドラゴンが現れたんだ」
英雄「ドラゴンは仙人と何事か話していた 内容はよくわからなかったが、仙人は難しい顔をしていたなぁ」
英雄「でも確か仙人が、そちらは無事に平穏が戻ったようでよかったって言ってたのは覚えてるよ」
英雄「それから何年か経って、私も一通りのことを仙人から学び取った そんな時、仙人は突然姿を消した」
太っちょ「え・・・」
英雄「その日は朝から雨が降っていて、仙人も私も早めに寝ることにしたんだ そして次の日の朝、目が覚めたら仙人は消えていた」
英雄「代わりに翁さんがやってきた 仙人に私のことを頼まれたと言っていた 翁さんは仙人の友達だということで、これからの暮らしは自分を頼れと言ってくれた」
英雄「思えばその日から、雨は止まなくなった そしてその頃からモンスターが現れだした この大陸の人々は、突然訪れたモンスター達に恐怖した」
英雄「私は、仙人に教わった魔法を駆使してモンスターを退治して歩いた」
英雄「それから、人間同士の戦いも勃発してしまった」
英雄「ある日、もともと雨に対する対策が万全だった南の地域と、そうでなかった北の地域が戦争を起こしたと聞いた」
英雄「もともと北の地域は雨が少なく、いきなり降り続けだした雨に困ってしまったんだ 逆に南の国は普段から雨が多く、迅速な対応が出来たんだ」
英雄「翁さんのアドバイスもあって、私は南の地域から雨に対する対策を教わり、北の地域に広めた」
英雄「それぞれの地域の指導者同士で、何やら対立もあったようだが、お互いの地域の兵が衝突する前になんとかなだめることができた」
英雄「それがきっかけで、私は英雄と呼ばれるようになってしまった」
英雄「長くなってしまったね 退屈だったろう」
秀才「とんでもないです 貴重なお話を聞くことができて嬉しいです」
悪ガキ「とりあえず、その仙人を探したらこの雨のことも解決するんだろ?」
英雄「そうだね それには君たちの・・・特に悪ガキくんの協力が必要なんだ」
悪ガキ「お、俺?」
英雄「翁さんは、君が仙人を探し出す鍵だと言っていた だから、君の進みたい道を行くんだ」
悪ガキ「えぇぇ・・・ 俺、仙人と会ったこともなんだぜ?」
英雄「とにかく、信じてみたいんだ」
太っちょ「」zzz
幼女「ねーねーてるてる坊主作ったぁ」
翌朝
<フィールドにて>
悪ガキ「うーん、なんとなくこっちに進みたい気がするぜ」
英雄「では、そうしよう」
秀才「悪ガキくんの選んだ道を進むなんて不安でしかたないですけど・・・仕方ありませんね」
太っちょ「なあ悪ガキ、美味いもんがある所に連れてってくれよw」
幼女「悪ガキくん・・がんばれー」
?「おい、あいつだ」
?「周りにガキがいるな 一緒に処分してしまおう」
<湿地にて>
悪ガキ「なんか、でっかい水たまりがいっぱいだな」
英雄「この湿地帯を抜けたら、岩場に出るんだ 岩場には洞窟もいくつかあるから、今日はそこで休もう」
太っちょ「うへぇ・・・まだ歩くのかよぉ・・・」
秀才「さあ、文句言わずに・・・うわぁぁ!!!」
バシュゥゥゥゥゥゥ 秀才の体を逸れて光が飛んでいく
英雄「魔法弾!?」
幼女「ふぇ・・!? なになに・・?」
英雄「みんな、走って!」
悪ガキ「俺も戦うぞ!」
英雄「だめだ! 悪ガキくん、みんなを連れて逃げてくれ!」
秀才「さあ、行きますよ!悪ガキくん!」
悪ガキ「くそぉ 絶対やられるんじゃないぞ!」
英雄「あの子達の結界を保ったまま戦えるだろうか・・・」
武装団A「英雄・・・だな」
武装団B「お前の抹殺を言い渡されている」
英雄「南の地域の人間だね 誰の命令だ?」
武装団A「今から死ぬ人間が知ってどうする?」
バシュゥゥゥゥッゥ
英雄「くっ 魔法剣・炎装備! なるべくなら傷つけたくないのだが」
ゴォォォォォォォオッ
武装団B「へっ 結界盾だ」
武装団A「魔法が使えない者も、戦闘の心得がない者も、我が国は戦うことができるのさ」
武装団B「戦争をきっかけに武器が作られた 戦争がきっかけであらゆる発明が生まれた 科学力の乏しい北の人間が、俺たちに逆らおうってのがおかしい話なのさw」
英雄「っく・・・一度結界を解くか やむを得ない」
英雄「結界解除 魔法剣・豪炎装備!」
グワァァァァァァァァァアァアァアァァアア
武装団B「くそっ盾が!!!」
武装団A「なんだこの威力は!!」
突如上空に黒い球体が浮かび上がる
武装団A「な・・なに!? うわぁぁっぁああぁぁ」
武装団B「ぎゃぁぁっぁぁぁぁぁ」
武装団は球体に吸い込まれ・・・消えた
翁「英雄殿、少年たちの結界を張り直しなされ」
英雄「・・・翁さん」
悪ガキ「おーい、兄ちゃん!」
秀才「いったい、さっきの奴らは・・・?」
太っちょ「ひぃひぃひぃ・・・走って息が・・・」
幼女「あぅ。。。 怖かった・・」
英雄「大丈夫かい、君たち?」
翁「南の地域の武装グループでしょうな 彼らは、英雄殿が戦争を止めたことを心良く思わなかった者の命令で動いておる」
翁「そもそも南の地域の権力者は、この雨に乗じて、雨に対する対策を北に教える代わりに大量の見返りを求めておったのじゃ」
翁「北はそんな見返りは用意することができないと突っぱねた 互いにどうにも引けなくなり、とうとう戦争に発展しようというところであったのじゃ」
秀才「それを仲裁されたのが英雄さんなのですね?」
翁「その通りじゃ じゃが・・南の国の権力者の一部は、それを良く思わなかったようじゃの」
英雄「翁さん、本当に助かりました この子たちの結界も張り直しました」
翁「うむうむ 先ほどのような者は実際に肉眼で捉えた者しか追えぬが、遠くから気配を感じて追う者に対して、その結界は非常に有効じゃ」
翁「しかし・・・相変わらず人間どもは吾輩の計画を邪魔しますねぇ おっと、いけないいけない わしは翁、仙人の友人 ふふふ」
<岩場にて>
英雄「みんな、岩が濡れて滑りやすいから気をつけてね」
翁「もう間もなく夜になろう 洞穴を見つけて休まぬか」
英雄「ええ、そうしましょう」
太っちょ「腹減ったぁ・・・・」
秀才「悪ガキくん、なんの根拠があってこんな所にきたんですか」
悪ガキ「なんかよくわかんないけど・・・この岩場に来てから誰かに呼ばれてるみたいな感じなんだよな」
幼女「・・誰に?」
悪ガキ「それがわかんないんだよなー」
英雄「よし、今日はこの洞穴で寝よう」
太っちょ「ちょっと待ってよ 飯は? 腹が減って眠れないよ」
翁「ここにたんまりと・・・ほれ、干し肉にパンにソーセージじゃよ」
悪ガキ「じいさん気が利くなぁw」
秀才「では火をおこしましょう」
幼女「あ・・わたしできます 炎魔法小!」ボッ
悪ガキ「ふー食ったら眠くなってきたぜ」
英雄「うん、ゆっくりおやすみ」
太っちょ「」zzz
秀才「はい、おやすみなさい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ?
「どうしたんですか・・・仙人?」
「小僧、何があってもこの小屋から出るんじゃないぞ」
「え? いったい何があったのですか?」
ドゴォォォォォォッォオオオン
「う・・・・仙人? 仙人!?」
「小僧・・・見るな・・・わしは・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
英雄「はっ・・・またあの夢・・・ ん? 悪ガキくんは・・」
英雄「洞穴の外に出たのかな?」
英雄「おーい、悪ガキくん どこだい?」
英雄「ん? あ、あれは!?」
その場所だけは、雨が降っていなかった
その場所だけは、月の雫が溢れていた
ぽっかりと空いたその穴は
月の雫を 呑み込んでいた
英雄「悪ガキくん・・・?」
悪ガキ「なんか、この中に入れって・・誰かに言われてる気がするんだ」
英雄「ここ、何度も通ったことがあるのに、こんな穴を見つけたのは初めてだ・・・」
秀才「悪ガキくーん どこですかー? っこれは!?」
太っちょ「すげー・・・」
幼女「きれい・・」
翁「ほう・・・中に、入るかの?」
穴は短く、すぐに最深部へと辿りついた。
秀才「石の・・・台座ですかね」
太っちょ「台座の上には・・・」
悪ガキ「宝石・・・か?」
蒼く輝く石が台座に埋め込まれていた
ふと、石が輝きだし、あたりを蒼く包み込んだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雨の草原
少年が倒れた母親にすがって泣いている
「ふむ・・・」
少年「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「小僧・・・一緒に来い お前は一人じゃない」
少年「・・・うぅぅ・・・」コクッ
「さあ、お母さんを運ぼう もっと安らかに眠れるところにな」
ここは・・・仙人の記憶のなか・・・?
「ほれ、小僧 もっと集中をせねばならん そんなものでは魔法は身に付かんぞ」
少年「だって、毎日座禅ばっかりじゃないか・・・いつになったら魔法を教えてくれるんだよ」
「ふむ・・・ほれ」ゴォォォォッォォォ
少年「す、すげえ・・・仙人の周りから火が出てきた!」
「集中力を高めることが、すなわち魔力を高めることじゃ 小僧も精進すればこれくらいできるようになる」
少年「わかったよ、仙人!」
純白のドラゴンが霧の中から仙人に語りかけている
白龍「センニン・・・ワタシのクニ・・ヘイワモドッタ・・・ コクリュウ・・・スクワレタ・・・」
「そうか、よかったのう じゃが・・・どうやらこれで終わりではないようじゃの」
白龍「ゲンキョウ・・・タタナイト・・・シンのヘイワ・・コナイ ゲンキョウ・・ハジマリのシマ・・・」
「うむ エイゴーラルからよからぬ風を感じる じゃがとりあえず、お主の島は平穏が戻りよかったの」
白龍「コノシマ・・・ジキにマノテにソマル・・・アイスルモノ・・コロサレタトキのニクシミ・・・アクのミナモト・・」
白龍「ダレデモ・・アイスルモノをコロサレタトキ・・ニクシミ・・ウマレル・・」
白龍「ツヨキモノのニクシミ・・・グゲンカスル・・センニン・・キヲツケロ・・・」
白いドラゴンが飛び立つと、霧はすっと晴れていった
「小僧、大変じゃ、早く起きんか!」
青年「どうしたんですか・・・仙人?」
「小僧、何があってもこの小屋から出るんじゃないぞ」
青年「え? いったい何があったのですか?」
?「探しましたよ、仙人 あなたの愛する者はこの青年ですね」
黒いマントに身を包んだ男が迫る
「ならぬ 小僧を殺させはせんぞ!」
?「でも・・・もう間に合わない」
ドゴォォォォォォッォオオオン
真っ赤な光が青年に迫る
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
青年「仙人! 仙人! しっかり!」
?「あなたに死んでもらうわけにはいかないのですよ 魔王になるのはあなたなのですから」
青年「くっ 下がれ、私が相手だ!」
?「ふふふ、仙人の愛する者よ 死ぬがよい・・・ぐはぁぁっ」グワァァァァァァx
「はぁ・・・はぁ・・」
青年「う・・・・仙人? 仙人!?」
「小僧・・・見るな・・・わしは・・」
青年「仙人!!!!!!!」
青年「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
青年のから邪悪なものが吹き出した
?「・・・・ほう、嬉しい誤算ですね お前のような若造が魔王となりえるなんて」
青年「ぐわぁぁぁっぁぁっぁぁぁ」
「よかった・・・死を受け入れる準備をしていて・・・本当によかった・・・姿は残さぬぞ・・小僧、お主の記憶、わしが持っていく」
糸が切れたように青年が倒れこむ
と同時に、仙人の体が蒼く光り、一筋の光となって空に舞い上がった
「全ての元凶を断つものよ 光と闇を分けることのできるそなたに、この記憶を残す」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふっと蒼い光は消える
翁「そう、魔王となった自覚がなければ使い物にならないのじゃよ」
翁「英雄殿、そなたが魔王となってくれたことは誠に嬉しい誤算ではあったが、記憶を持っていかれるとはこれまた誤算じゃった」
悪ガキ「お、お前が・・・」
秀才「そんな、だって、あの男と姿が全く違う!」
翁「そうじゃのう・・・この姿も気に入っておったのじゃが・・・やはり吾輩は元の姿にもどるべきですかね?」
太っちょ「あ、あのマントの男だ!!」
幼女「あぅ・・・」ぶるぶる
マントの男「吾輩は全ての始まりの地、エイゴーラルより参じた者 コクゴドル、そしてこのスウガ・クーナを魔の力で支配するために」
マントの男「コクゴドルでは欲深い男をそそのかし、黒きドラゴンの愛する女を殺させました」
マントの男「だが、かの地は失敗に終わってしまいました もう少しのところであったのですが しかし、この地を支配した後、またやり直せばいいだけのことです」
マントの男「この地では、この男は英雄です それもそのはず、この地始まって以来の戦争を止めたのですから」
マントの男「戦争は武器を始め科学の力を育ててしまう 魔王に対抗する力は早いうちに摘んでおかねばなりませんからね この男に知恵を貸して止めましたよ」
マントの男「おかげで、この地で英雄に敵う者はいなくなりました 魔王の力を身につければ、もう誰にも止めることができないでしょう」
マントの男「さて、英雄殿 そろそろお時間ですよ」
英雄「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴォォォォッォオォォオオ
悪ガキ「てめぇぇ!! 英雄を元に戻せ!!」がしっ
マントの男「う・・・・・・ くっ そうか、お前は危険だな」
マントの男「少年よ、お前はまだ知らない お前はこの世界の運命を握っている 危険な芽は早く摘んでおかねばな ここで殺させてもらう」
秀才「そうはさせませんよ!」
太っちょ「悪ガキがなにを握ってるか知らないけど、お前なんかに殺させるもんか!」
幼女「あ・・うぅ・・」ぶるぶる
英雄「グアァッァアアァァァッァァァ」
ドゴォォッォオォッォォォオォォォォォォォォx
マントの男「なかなか派手に暴れてくれますね こうなれば、吾輩が直接手を下すまでもなく、魔王が片付けてくれることでしょう」
グワァァァァァアァアァァアッ
悪ガキ「うわぁぁぁっ!!!!!」
物凄い勢いで弾き飛ばされる悪ガキたち
悪ガキ「・・・みんな、大丈夫か・・・?」
秀才「なんとか・・・」
太っちょ「・・おい! 幼女が!!!」
英雄は剣を振り上げ、幼女に向かって振り下ろした!
ガキィィィイイイイイイイン
?「コポォォォォォwwwwww 幼女タソはパパがお守りいたすぅwwwwwwww」
幼女「・・・パパ・・・?」
突如空を何かが遮った
純白のドラゴンが上空を旋回している
そのドラゴンの背から、一人の男が舞い降りてきた
マントの男「くっ 少年たちの周りに張っていた結界が消えてしまったか」
マントの男「あとは頼みますよ、“英雄殿”」
マントの男を黒い影が包み込み・・・跡形もなく消し去った
?「まったく、メモ書きしか残さないで、よくこんな所まで来たもんだな」
悪ガキ「・・・・・・・父ちゃん・・・?」
ぽんっ
?「心配したぞ・・・」
その日、7年ぶりに雨が止んだ
民衆は歓喜した
太陽は地上を優しく照らし、その光はまるで地上を労わるかのようだった
やがて太陽は空を焼き、沈んだ
真紅に 橙に紫に
まるで、明日もきっと地上を照らすからと、約束するかのようだった




