19話 脅迫状
長らく放置してすいません
今後も、遅いですが続けてまいりますのでどうかよろしくお願いします。
次の日。
キョウヤが屋上に行くと、昨日と同じ、刹那が居たが何か手紙を読んでいて、キョウヤに気付いてない。 なので、キョウヤは普通に刹那の方に歩いて近付いた。
「・・・おい」
「ん?」
キョウヤが声を掛けると刹那は気付いた様でキョウヤの方を向いた。
「おはよう、キョウヤ君」
「ああ」
刹那はキョウヤに挨拶すると、手紙を折りたたみ、ポケットにしまった。
「よし、行こう!」
刹那はキョウヤに挨拶するやいなや、そう言い、出入り口に向かった。
「・・・・・・・・」
キョウヤはそれを呆然と見ていた。
すると、刹那がキョウヤの方に振り返った。
「ちょっと、キョウヤ君、何してるの?。早く、早く!」
「・・・・・・何が?」
「何が・・・・・・って、捜査だよ、捜査」
「・・・・・・昨日のか?」
「うん」
刹那は頷く。
捜査と言えば確か進展が無く、今の所は中断しているのでは無かったか?
キョウヤはそう思ったので、聞いてみる事にした。
「・・・・・・何か手掛かりでもあったのか?」
「無いよ」
「・・・・・・」
「無くても調べる。それが、探偵魂!」
(何言ってんだコイツ? )
キョウヤは心底そう思った。
しかし、キョウヤは同時にあることを思い出した。
自分達を見ている視線を感じた事を。
何故、自分達を見ていたのか。もしかしたら、あれは誰かが自分達を監視しているのではないのか?
監視しているのが、自分ならいいのだが。
もし、監視しているのが――
(・・・・・・・・)
こんな事なら、あの時に力を使っておけばよかったと思う。
「キョウヤ君?」
そんな事を思ってると、刹那が不思議そうに声を掛けてきた。
「何だ?」
「どうかした? 茫然としてたけど・・・・・・」
「・・・・・・寝不足なだけだ」
キョウヤは言い、立ち上がる。
「捜査・・・・・・するんだろ?」
「えっ・・・・・・う、うん」
「なら、行くぞ」
キョウヤは屋上を出て行き、刹那もキョウヤの後に続いて屋上を出た。
その後、キョウヤと刹那は昨日、調べてない所を調べるが特に何も分からなかった。
「何も無いな」
「・・・・・・うん」
キョウヤと刹那は一旦、屋上に戻った。
しかし、戻っても何も無い限り進展するはずが無い。
「・・・・・・どうする?」
「・・・・・・」
「他に調べてない所はあるか?」
「・・・・・・」
「それか何か見落としてる事とか無いか?」
「・・・・・・」
キョウヤが刹那に話し掛けるが返答がない。キョウヤが刹那の方を向くと、刹那は何やら茫然としていた。
「・・・・・・おい」
「ん?」
「どうした?」
「ううん。何でもない・・・・・・」
刹那は言うが、何時もの元気が無い。
「・・・・・・体調でも悪いのか?」
「悪くないよ、大丈夫」
キョウヤの気遣う言葉に笑顔で答えるが、その笑顔も何時もの笑顔では無かった。
「・・・・・・何かあったのか?」
「本当に大丈夫だから、心配しないで」
それでも刹那は、キョウヤを安心させようとしているのか無理矢理に笑顔を作っていた。
そして、その時に刹那の後ろに紙が落ちた。
「・・・・・・何か、後ろに落ちたぞ」
「えっ?」
刹那は視線を下に移すと、紙の存在に気が付いた様だった。
「やばっ・・・・・・」
見た瞬間、明らかに刹那の表情が変わった。そして、急いで落ちている紙を拾おうとして刹那の手が本の少しという所で風が吹いた。無情にも吹いた風はそんな強くはなく、数センチ動いたぐらいで止まった。 キョウヤの足元に。
当然、拾うのが当たり前だろう。キョウヤも、そう思ったのか自分の前にある紙を拾った。
「・・・・・・あ?」
そして、紙に書いてある内容を見た――見てしまった。
暫くそれを見ていたキョウヤだったが、紙から視線を上げて刹那を見た。
「・・・・・・」
対する刹那は視線を下にずらして、俯いた。
少し刹那を見た後、キョウヤが口を開いた。
「何時、来た――この脅迫状は?」
と、刹那に問いただした。
「き、今日の・・・・・・朝」
(・・・・・・くそっ)
キョウヤは心の中で悪態を付いた。
もし、キョウヤの推測なら脅迫状の差出人は間違いなく自分達を監視していた奴である。だが、脅迫状を送ったのが刹那という事は犯人の狙いは――刹那の可能性が高いという事だ。
キョウヤはもう一度、紙に目を向けた。そこには、こう書かれていた。
『明日のステージを辞退しろ。もし、辞退しなければ命の保証は無い』
明らかに襲撃すると言っている文だった。
「けど、大丈夫だよ!」
三度、視線を上げると刹那が笑顔だった。だが、それはあまりにも不自然で、無理矢理の笑顔であった。
「悪戯で、こういう脅迫状は、結構来るけど何も起きた試しがないし、今回だって悪戯――」
「なら何故、悪戯だと分かってるのにそんな顔をする?」
そう、悪戯だと思っているなら無理矢理に笑顔を作るなどしない。
「お前は悪戯だと感じ無いんだろ? 本当に起こると思ってるんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
キョウヤの言葉でまたしても、刹那は黙った。しかし、暫くすると表情を暗くし小さく「うん」と言いながら、頷いた。
「何時もはそれ程感じないんだけど、『ファイアボール』の件があるから・・・・・・」
「・・・・・・そうか」
「それでも、普通にやるんだって」
「・・・・・・普通?」
「祭関係者がこれを悪戯だと思ってるから、何も対策なんてしてないんだよ
「『ファイアボール』の件があるのにか?」
「それも、悪戯みたいに処理されてるよ」
馬鹿げた話だ、とキョウヤは凄く思う。
あの一件は下手すれば刹那は重傷になっていたのだ。そんな事を悪戯で済ませる事が何故出来るのか。
「・・・・・・出なければいいんじゃないか?」
「・・・・・・そうしたいけど、絶対出ないといけないんだよ」
刹那の表情は先程よりも不安そうにしている。
「・・・・・・」
キョウヤは無言でそんな刹那を見つめていた。
そして、
「なら――俺がお前を警備する」