一人
かなり期間を空けてしまいましたが、また連載を再開しようと思います。
変えた所は余りありません。
更新速度は前よりは下がりますのでご了承下さい。
「ゴメンね・・・・ほんとにゴメンね」
それが、目の前の人が自分を抱きしめながら言った言葉だった。
別に変わったことなど無かった。
いつも通りに起きて。
いつも通りに遊んで。
いつも通りにご飯を食べて。
いつも通りに寝た。
別に変わったことなんて無かった。
だけど、嫌な予感はした。
目の前の人が朝から遠く感じた。
凄く不思議だった。
でも、自分にはこの感じが何なのか分からなかった。
だから、いつも通りに過ごした。
いつも通りに過ごせばこの人が側にいてくれると思ったから。
だけど、いつも通りに過ごせば過ごすほどその人が遠くに感じた。
だから、
「・・・・行かないで」
自分はたまらずその人に言った。
すると、その人は
「行かないよ。何処にも」
自分の頭を撫でながら笑顔でそう言ってくれた。
だけど、この気持ちは消えなかった。
だからずっと側にいた。
その人もずっと側にいてくれた。
寝るときもずっと側にいてくれた。
だから寝ることができた。
だけど、夜中起きたらその人はいなかった。
気付けば自分は外に飛び出していた。
なぜだか分からないけどその人がいると思った。
そして、その人を見つけた。
だけど、その人はボロボロだった。
服装はボロボロで、その人のいつも綺麗な顔と黒い長髪も汚れていた。そして色んな所から出血していた。
その人はそんな状態でこちらに歩いてきていた。
そして、その人と目が合った。
その人は、自分の状態もお構いなしに走ってきた。
そして、自分を抱きしめて、
「ゴメンね・・・・ほんとにゴメンね」
と泣きながら言ってきた。
何度も、何度もその人は同じ言葉を繰り返していた。
自分には分からなかった。
何で泣いてるのか。
何でボロボロなのか。
他にも疑問はいっぱいあった。
けど、そんなのはどうでもよかった。
この人が側にいてくれればよかった。
だから何も言わなかった。
少しすると周りが明るくなった。
自分の目の前にいる人――大切な人が光に包まれている。
包まれたと思ったら次の瞬間には身体が透けていた。
徐々に徐々に身体が透けていた。
その時、ある言葉が浮かんだ。
何故この言葉が浮かんだのか分からなかった。
だけど、言わなかったら後悔すると思った。
だから
「 」
後悔しないために言った。
そしたら、その人は急に静かになった。
そして自分を抱きしめるのを止めると両手で自分の顔を包んできた。
その時、その人の顔は泪が流れてたけど笑顔だった。
そして
「 」
最後に一言だけ言って
その人は光となって消えた。