13話 現れる王道
屋上を後にしたキョウヤはそのまま帰らずに校舎内を歩いていた。
多くの生徒がキョウヤを恐怖の念や蔑んだ視線を向けているがキョウヤはそれを無視して歩いた。
(・・・どうやって渡すか)
キョウヤは校舎を歩きながら考えていた。先程、屋上でハンカチを拾って名前があったので、面倒だがそれを届ける事にしたまでは、よかったのだが肝心のフィオナ=ノールにどうやって渡すかについて考えていた。
(・・・直接渡す手もあるが)
自分がフィオナ=ノールに直接渡すのが一番手っ取り早いのだが、自分の印象は最悪なのは分かりきっている事なので、
(・・・無理があるか)
自分が直接渡した場合、相手が受けとってくれない可能性もある。
(・・・刹那に頼むしかないか?)
遠回りだが、間接的に刹那に頼んで渡してもらう方がいいかもしれないと考えて、
「・・・頼むか」
刹那に頼んで渡してもらうことにした。なら、刹那に会わないといけないと思い、刹那のところに行こうとしてキョウヤはあることに気づいた。
「・・・何処にいるんだ?」
学校には毎日登校しているものの屋上を行ったりきたりしかしてないので何処が何処なのかすらもまったく分かっていない。現に自分が今居る場所も何処なのかすら分かっていない。
「・・・・・・」
キョウヤは少しだけ考えて、
「・・・自分で渡すか」
刹那を捜して頼むより、自分で直接渡す方が早いと思い、自分で渡す事にした。 と、いってもフィオナ=ノールが誰なのかすら分からないので誰かに聞く必要があるので、キョウヤは近くにいる生徒に声を掛けた。
「おい」
「な、何ですか!?」
「フィオナ=ノールって奴を捜してるんだが、何処に居る?」
「し、知りません!!」
「・・・そうか。悪いな」
と、一言言うとその生徒は走って何処かに行ってしまった。
「・・・・・・」
その生徒の後ろ姿を暫く見て、再度聞き込みを始めた。
そして、フィオナ=ノールが1-Aに居ることを知ったのはその三十分後の事であった。
その後、キョウヤは一年の階に辿り着いた。(全ての階を訪れている)
やはり、此処でも恐怖の念が伝わってくるが、先程よりもそれが強かった。しかし、今の用件は、フィオナ=ノールにハンカチを渡す事なので何時も通り無視した。
歩きながら教室の名札を確認していった。確認しながら歩き、六クラス目でAに辿り着いた。
「・・・此処か」
と、キョウヤは呟くと教室のドアを開けた。
ドアを開けると、半分以上の人数の生徒が一斉にこちらを向いてきた。色々と小声で何か聞こえてくるが、無視して、
「フィオナ=ノールは居るか?」
と、キョウヤは言った。
「フィオナちゃん?」
「何の用だろう?」 また小声が聞こえてくるが、聞きたいのはそんな事ではないので、
「居るのか居ないのか――」
「私に何か用ですか?」
どっちだ、とキョウヤは言おうとしたが、途中で、後ろから声が聞こえた。後ろを向くとそこには紫色の髪の少女がいた。
「私がフィオナ=ノールですが、何の用でしょうか?」
紫色の髪の少女――フィオナ=ノールはそう答えた。
キョウヤはフィオナ=ノールの方に向き直り、目の前の少女の顔を見た。
少女は、にっこりとした表情でキョウヤを見ているが、どこかぎこちなく、取り繕った感じがした。
「普通にしろ」
キョウヤはフィオナ=ノールにそう言うと、
「じゃ、そうします」
フィオナ=ノールは直ぐに、キョウヤを蔑んだ冷たい目で見た。やはり、そこにも若干だが恐怖の念がこめられていた。
「それが、本性か?」
「貴方よりは幾分か良いと自負しています」
「・・・・・・」
「それよりも、私に用が有るんじゃないですか?貴方にかまっている暇は無いんですけど?」
フィオナ=ノールがそう言うのを無視してキョウヤはハンカチを入れたポケットに手を入れようとした所で、フィオナ=ノールは、突然、「そうそう」と言い、
「それにしても・・・東條さんもよく貴方と関わろうとしますね」
その言葉にキョウヤはポケットに入れようとした手を止めた。
「普通、貴方みたいな暴力を振るう人と関わりたく無いと思うんですけど?」
「・・・・・・」
「それなのに東條さんからなのかは、知りませんが、よく貴方に関わろうとしますね」
「・・・・・・」
「ま、昔から東條さんは落ちこぼれや変人など、色んな人と関わろうとしていますからあまり疑問には感じ・・・」
「・・・おい」
フィオナ=ノールの言葉をキョウヤは遮って、
「何が言いたい?」
と、言うと、フィオナ=ノールは、
「東條さんは自分の振る舞いをもう少し考えた方がいいって事ですよ」
フィオナ=ノールは淡々とそうキョウヤに言った。 しかし、キョウヤの表情が何時にもなく冷たくなり、吐き捨てる様に
「調子乗んな、屑」
と、言った。
「なっ!?」
フィオナ=ノールは驚愕の表情を浮かべていた。直ぐさまキョウヤを睨みつけ、
「貴方、今何て言いましたか?」
「何度も言わせるな、屑」
キョウヤがそう言うと、フィオナ=ノールは顔を俯かせ身体をわらわらと震えさせていた。
「貴方に言われたくありません!!」
フィオナ=ノールはそう言うと右手をキョウヤに向けて翳したが、キョウヤは左手で自分に向けられたフィオナ=ノールの右手首を掴んだ。
「は、離して下さい!!」
「・・・・・・」
フィオナ=ノールは振りほどこうと必死になりながら言うがキョウヤは離さない。いや、離せないの方が正しい。
キョウヤがフィオナ=ノールの手を掴んだのはフィオナ=ノールが右手を翳してきたからである。「手を翳す」この行為は魔法を放つと言っても過言ではない。なので、今、手を離したら間違いなく攻撃されるので離せないのである。
「あれ、やばくないか?」
「まずいだろ!?」
と、そんな事を周りの生徒が気付くはずもなく口々に声が出てくる。やばいとかまずいとか思うなら助けに行けばいいだけの話なのだが、誰もがキョウヤの「強さ」をいやと言うほど知っているので、むやみやたらに行っても返り討ちに遭うだけである。
もし、この状況で何か言ってくる人物がいれば大抵その人物は、主人公である。
「おい、その手を離せ!!」
と、周りの生徒達を掻き分けて一人の男子生徒が出て来た。
次はキョウヤVS王道主人公ですが、主人公と言っても王道的な主人公像のキャラクターですので、物語の主人公ではなくライバルと思って下さい。




