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エグジスの極夜  作者: 素だと口が悪い人間
第一章 一部 孤高の少年と救われない少女
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8話 少年の名前

「・・・助けた?」


少年は刹那が言った言葉を聞き返した。


「そう。ネックラー君でしょ?ファイアボールから私を守ってくれたのは」


「・・・・・・」


「そうでしょ?」


「・・・証拠は?」


「証拠?」


「あぁ」


少年は立ち上がり刹那を見ながら


「俺がお前を助けた証拠はあるのか?」


言った。

そして、続けて


「第一、俺がお前にファイアボールを放った可能性だって・・・」


「ないよ」


少年の言葉を遮って刹那は言った。

そして、刹那も立ち上がり、少年の目を見た。そこには強い意思が篭っている。


「それはないよ」


と、もう一度言うと、踵を返して先程、外の景色を見ていた所まで歩きながら


「ネックラー君の言う通り確かにネックラー君が私を助けた証拠はないよ」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「だけど――」


「――ネックラー君がファイアボールを放ってない証拠はあるよ」


「・・・その証拠は?」


刹那は、手摺りの上に手を置いて外を見ながら語り始めた。


「『ファイアボール』ううん、『ボール』と名が付く魔法は直線、まっすぐ進む事しか出来ない」


「・・・・・・」


「そして、問題の『ファイアボール』は私と同じ水平線上で私に向かって来た」


「だが、ジャンプしながら放った可能性もあるだろ?」


「祭で人が大勢いるんだよ?そんな事したらあの場でとっくに捕まってると思うけど?」


「・・・・・・」


「これがネックラー君が『ファイアボール』を放ってない証拠だよ。異議ある?」


「・・・・・・」


少年は何も言わなかった。

 刹那は少年が何も言わないのを確認すると


 「それじゃ、次はネックラー君が私を助けた証拠・・・・と言っても唯の憶測だけどね」


 「・・・・・・」


 「ネックラー君はどうやって『ファイアボール』が消えたか覚えてるでしょ?」


 「あぁ、風が消したんだろ?」


 「そう、まぁ・・・風と言ってもあれは、暴風だけどね」 


「・・・それがどうした?」


「じゃあ、なんで暴風は吹いたの?」


「・・・・・・は?」


少年は先程と同じ、何言ってんだコイツ?という顔になった。


「たまたま吹いただけだと思うが?」


「ないよ」


刹那は直ぐにそれを否定したが、先程と違い声に力がなく顔も俯いている。


「たまたま、何て都合の良いことある訳無いじゃん」


刹那は吐き捨てる様にそう言った。言って暫くすると、


「ゴメン、ゴメン。話しの途中だったね」


「・・・・・・で、暴風がなんだ?」


「あれほどの暴風が吹くのってさ、おかしいと思わない?」


「・・・おかしい?」


「うん」


「・・・・・・」


「話しがややこしくなっちゃうから質問変えるよ。誰が暴風を起こしたと思う?」


刹那の質問に少年は直ぐ


「誰って広場に居た誰かじゃないのか?」


答えた。


「本当にそうなのかな?」


「・・・・・・どういう意味だ?」


「もしネックラー君の言う通り広場に居た誰かが暴風――いや、強力な『風属性』の魔法――を放ったとするよ。そしたら、どうなると思う?」


「・・・・・・」


「そんな魔法放ったら近くに居る大勢の人が怪我するよ。実際怪我した人はいないからね」

「・・・・・・」


「なら、どうすれば大勢の人を怪我させずに魔法を使えるでしょうか?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・何か言ってよ」


「何を?」


「何をって、どうすれば怪我させずに魔法を使えばいいのか分かる?」


「知らん」


「・・・・・・・・・」


そんなやり取りをして刹那は思い切り溜息をしながら


「周りに誰もいなければ良いだけなんだけどね・・・」


「・・・・・・そうなのか?」


「・・・・・・普通にそうだと思うけど」


「知らん」


「・・・・・・」


 そんな少年の返答にまたもや溜息をついたが、直ぐに持ち直し


 「それで、広場でそんな魔法を使うことが出来ると思う?」


 と、少年に言った。

 対する少年は少しだけ考えて


 「・・・無理だな」


 一言だけ答えると続けて、


 「・・・・・・なら、あの暴風はどう説明する?」


 と質問した。

 街全体を通して開かれている祭りは、数えるのも恐ろしい数の人がいた。そんな場所で魔法を使えば当然かなりの確立で誰かが怪我をするだろう。

 なら、あの暴風は何なのか?そういう疑問が出てくるのは当然である。

 しかし、刹那は少年の質問に「簡単だよ」と言うと、


 「誰かが魔法を使ったんだよ」


 と、答えた。

  

 「・・・・・・は?」


 対する少年の反応は当然と言えば当然だろう。刹那は少年の『広場で誰かが魔法を使った』という意見を否定したのだから。

 刹那も少年がそんな反応をするのを分かっていたようで、


「ま、言いたいことは分かるけど暫く話を聞いてくれるかな?」



「・・・・・・分かった」


少年の肯定の返事を聞くと刹那は話しを始めた。


「確かに私は『広場で誰かが魔法を使った』ということは否定したよ。だけど、それは『広場で』という場所を否定しただけなんだよ」


「・・・・・・なら、何処で?」


「人がいない場所で」


「・・・・・・」


「だけど、そんな場所は無い・・・って、ネックラー君は思うでしょ?」


「・・・・・・・・・・・・あぁ」


「でも、一つだけあるんだよ。人がいない場所が、ね」


「・・・・・・何処だ?」


「それはね――」


「・・・・・・」


「――知りたい?」


「良いから教えろ」


少年の口調が少しだけ変化しているのに気が付いたのか、


「いや、教えるから、さ、怒らないでよ」


刹那がそう言うと少年は目を閉じて溜息を付き、


「・・・で、何処だ?」


「屋根の上」


と、刹那はただ、一言そう答えた。


「屋根の上なら可能だと思うよ」


「・・・成る程」


少年は納得した。

そして少年が納得したのを見て刹那は笑顔で、


「私の推理凄いでしょ?今から私を褒めたたえ、刹那様と呼びなさい!!」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・すみませんでした。何か言って下さい」


「何を?」


「何をって私の推理の感想をぜひ」


「俺は中々良いと思う」


「本当!?」


「あぁ」


少年がそう言うと刹那は笑顔で


「じゃあ、ネックラー君が・・・」


「だが、俺が助けた証拠にはならないな」


少年はそう言うと続けて、


「お前が言っているのは何処でなら暴風を起こせるか、だけだろ?それだけなら俺が助けた証拠にはならない」


「・・・・・・」


少年がそう言うと刹那はじっと少年の顔を見ていたが、やがてバツが悪い表情になり、


「やっぱり、気付くと思ったよ、ネックラー君なら」


と、言うと


「ネックラー君がボロを出さないか、期待したんだけどやっぱり無理かー」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「でも、よく分かったね。何で分かったの?」


「・・・お前は一番最初に証拠が無いって言ったよな?」


少年の問い掛けに対し刹那は


「そうだっけ?」


「・・・・・・」


そんな発言をする刹那を少年は冷めた眼差しで見つめる。(元々が無表情だから余り変わってはない)


「いや、ゴメン。嘘だから!!本当に嘘だから!!、その眼差し勘弁して下さい!!」


刹那は叫ぶ様に少年に謝った。少年は特に何も言わず目を閉じた。

そして、刹那は小さく「私、言ったっけ?」と繰り返し呟いているが、「ま、気にしない、気にしない」と言って呟くのを止めた。


「このまま話しても多分何も無いし、ここで終わりにしよう、ネックラー君」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


刹那の提案に少年は何も言わなかった。

そんな少年に刹那は、


「どうかしたの?」

心配そうに声を掛ける。

そして、


「最初から気になってたんだが・・・」


「何?」


少し間を置き


「ネックラー君って何だ?」


「ネックラー君の呼び方だよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


そして少年の質問を即答した刹那が「だって」と言うと、


「私、一週間学校行けなかったネックラー君の事は友達から聞いたけど、誰とも話さない・暴力的・問題児・イケメンしか言ってなかったから名前聞いたら知らないって言うから・・・」


「・・・・・・」


「勝手に付けてみました!!」


「・・・・・・・・・」


「別にネックラー君が嫌なら他にもあるよ・・・ホラー君とか銀髪君とか暴君とかネクラ君とかシルバーマンとかクー君とか


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「黒君とかムー君とか他にも候補は有るけど、それか、ネックラー君が言ってもらいたい名前とか有るならそれ言うけど・・・何かある?」


「・・・・・・・・・」


訳が分からなそうに今の言葉を聞いた少年は、


「俺の名前でいい」


と、言った。

少年の返答に刹那は、少し困った様に、


「名前を呼ぶのは構わないけど、私はネックラー君の名前知らないよ?」


と、少年に言った。


「さっきも言った通り、私、一週間学校行ってないし、友達も教えてくれなかったから本当に知らないよ?」


刹那は、そう言った後、笑いながら「いやー面目ない」と言うと、


「キョウヤ」


少年が一言だけ言った。


「ん?」


そして、続けて


「キョウヤ=ゼイナロト・・・それが――」


先程より長い間を空け






「――俺の名前だ」

受験が終わったのでとりあえず投稿しました。

かなり時間を掛けすぎているので出来れば今年には三部まで行けたらいいなと思っております。

更新スピードを早く出来る様にしますのでご了承下さい

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