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婚約破棄された公爵令嬢に真実の愛に反対した罪で死刑判決を出した貧乏伯爵家令息の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/03/25

 真実の愛なんて誰も幸せになれない。何故なら大抵真実の~とつくとまがい物だからだ。


「公爵令嬢マルガリッタよ!真実の愛を邪魔した。よって、婚約破棄を宣言する!」


 ゲオルド殿下の隣には平民学生のデイジがいる。

 ここは学園だ。公爵令嬢が皆の前で婚約破棄をされた。


 公爵令嬢は・・・・


「ウグ、痛い・・」

「まあ、反真実の愛マルガリッタ、デイジ様は罵倒されてこれよりも心が痛かったのよ」

「これぐらいで音をあげてはいけませんわ」



 昨日まで仕えていたメイド達に腰を90度、折り曲げられている・・・

 あのメイド達は貴族出身だ。自分も貴族なのにという鬱屈した感情をぶちまけている。


 平民メイドはマルガリッタ様に反発していない。マルガリッタ様は優しい方なのか?


 俺はリヒター・ブッカー。

 貧乏伯爵家の子息だ。


 俺には関係ない。嵐が去るのを待つだけだ。


 と言いつつ。

 殿下に接近した。



「殿下とデイジ様の真実の愛に感動しました。どうか、私も真実の愛委員会に入れて下さい!」


「・・・貴殿は伯爵家だったな。ほう、法学部で序列13位か。まあ、良い」


 俺は真実の愛委員会に入った。

 やはり軒並み高位貴族は拘束されたか逃げだしたか、あまり見ない。もしかして王統派と貴族派の争いか?


 マルガリッタ様は寮住まいだったな。


 で、裁判が始まった。


「リヒター殿、裁判官に任じる。見事、あの女を処刑して見せよ」

「はい、殿下!」



 裁判と言っても公開のリンチだ。


 大勢が集まる中でつるし上げをしなければならない。

 マルガリッタ様は90度、腰を曲げられた状態で連れてこられた。


「ウグ、ハグ・・・」


「ギャハハハハ、いい気味だ」

「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」


 嘲笑が漏れる。

 だから・・・・


「私は殿下から全権の委任を受けた裁判官である!何故、反逆者マルガリッタは我の目をみないのか?」


「裁判官殿、これは飛龍の姿勢です。反省の姿勢ですわ」

「そうですわ。この女は飛龍に乗り贅沢にふけっていました。その戒めです」


 メイドが口答えをした。


【馬鹿者!我に反逆をするのか?反真実の愛分子ではなかろうな?】


 何とか姿勢をまっすぐにさせた。


「裁判を始める。デイジ様に婚約者がいるから近づくなと言ったそうだな」

「はい・・・」


 自分でも変な事を言っていると分かっている。


「噴水に押したそうだな」

「違いますわ・・・」


 何故、公爵令嬢が直々にやるのか?


「階段から突き落としたそうだな」

「そのようなこと、彼女がいきなり転びましたわ」


 実はこれ全て証言だ。

 多分、嘘だろうな。


 と思っていたら、観衆の中から、死刑コールが巻き上がった。


「「「「マルガリッタは死刑!」」」」

「死刑だ!」


 どーしようか。

 だから、俺は・・・・一番前で叫んでいる奴を指名した。


「死刑だ!死刑だ!それ以外にありえねえ!」


「良く言った。貴殿は正に真実の愛の守護騎士だ。名前は?」

「はい、ヨハン・ルーデスです」


 やはり男爵家か・・・王統派と貴族派の争いに巻き込まれたな。


「ヨハンは大変感心である。賛同する者は?」

「「「「はい!はい!はい!」」」


 観衆の半分くらい手をあげる。その他は渋い顔をしているもの。興味なさげの者。

 そうか、三割の声が大きいのだな。

 だから、死刑判決を出した。



「ようし、マルガリッタは死刑に処す。しかし・・・ここは学園だ。死刑道具がない」


「首つりで良いでしょう」


「ヨハン!君に栄光ある任務を授ける!王国軍の駐屯地に行き。処刑道具を調達せよ」


「えっ・・・!」


「今、手をあげた者もヨハンに続け!真実の愛は絶対だ!諸君は真実の愛の守護騎士である!」


「や、やるぞ・・・」

「そうだ。出来る。出来る・・」


「「「「やるぞ!」」」


「うむ。その間、マルガリッタは我が家門のタウンハウスに止める。拷問をするから覚悟せよ」


「は・・・はい」





 ☆☆☆王国軍駐屯地



「隊長!学園生たちがこちらに大勢来ました。処刑道具を寄越せとの事です」


「・・・・はっ?処刑道具は処刑人一族が持っている。あっても渡せるわけないだろう。軍は様子見だ。陛下の指示は?」

「ございません」

「隊長、塀をよじ登ってきました」


「し、仕方ない。武器を奪われても厄介だ。棍棒で打ち据えよ!」

「了解であります」




 ☆☆☆ブッカー家



「わーい、お姫様だ!」

「これ、ニーナ失礼だよ」


 親父とお袋は目を見開いている。

 マルガリッタ様をお連れしたのだ。


 さあ、拷問をしなければな。


「マルガリッタ様、栗を煮て下さい」

「は・・・はい」


「マルガリッタ様、お願いです。栗の皮を剥いて下さい」

「えっ・・・・はい」


「それをこねて下さい」

「はい・・・」


「それをケーキの上に飾るように盛り付けをして下さい」

「はい」


「ケーキです。ニーナを呼んできて下さい」

「はい」


「ニーナ様、おやつですよ」

「ワーイ!ケーキだ。ケーキだ」



「さあ、一緒に食べましょう。私がお茶を入れる。食べながらで結構なので妹にマナーを教えて下さい」

「は、はい」


 厳しく拷問をした。

 これは苦痛だろう。

 王太子に報告した。



「殿下、マルガリッタはまるで下女のように料理をさせ。うるさい親族にあれやこれ言われました」


「うむ。公爵令嬢なら屈辱だろ。なあ、デイジ」



 ☆回想


『キャー、お姫様、綺麗な食べ方、教えて、教えて、ニーナもレディになるぅ』

『ニーナ様・・・』

『ねえ。兄上とはどうして知り合ったの?』

『それは言いにくいと言うか』


 マルガリッタ様はニーナの質問攻めにあった。




「ふ~ん。・・・殿下、私、マルガリッタ様がいたら心配で夜も眠れませんわ」


 この平民女、勘がするどいのか?


「もうすぐ処刑道具が届くでしょう。それまでの辛抱です」



 だが、処刑道具調達隊のヨハンは死亡した。

 だから。


「グスン、ヨハンは英雄的死を遂げた!皆の者、ヨハンに続け!」


 と言ったが、それ以降、処刑道具の話はなくなった。


 ヤバいな。平民女は勘がするどい。


 何故、陛下は黙認なのだろうか。王子を使って公爵家を失脚させるつもりなのか?



 王宮役人の友人に聞いて見た。


「どうしてだと思う。ケブラー」

「知るかよ。でも、陛下は力のある諸候の力をそぎたいみたいだぜ。それに王女殿下はイマイチだ。マルガリッタ様が公女で活躍していたからな」


「それ、本当にどうでも良いわ」


 それからも裁判を始めた。


「ロゼッタ、貴様はマルガリッタのメイドでありながら真実の愛を邪魔する主人を諫めなかった。よって、我が屋敷で拷問をする!」


「ヒィ、そんな・・・」


 このメイドは平民出身だ。

 身の回りをするメイドが欲しかった。

 他にも何人か拷問をすると称して屋敷に引き取った。



「「「お嬢様」」」

「ロゼッタ、リリー、ケリー」


「さあ、拷問だ。焼き菓子を作ってもらおうか・・・」


「「「はい!」」」


 さて、どうする?


 あの平民女、処刑道具を作る指示を出しているとの情報が入った。


 どうする。


 だから情報を流した。


「やあ、ギリー殿、感心だな。だが、貴殿の真実の愛、先天性説にオルト殿が異議を唱えていたぞ。真実の愛は後天的でもある。運命じゃないってさ」


「何だって」


「ここだけの話だ」


 ここだけの話と言ってここだけの話であるはずもなく。


 内ゲバが始まった。



「真実の愛、運命こそが真実だ」

「いや、真実の愛は女神様が決められている」

「一目惚れ説だね」

「違う。番説だ。人族にだって番がある」


 よく分からん説が出てきて勝手に抗争を続けてくれた。

 さあ、黒幕よ。

 お前の縄張りをグチャグチャにしたぞ!


 どうでる・・・・



 と思っていたら、処刑道具が出来上がったと報告が上がった。

 これはヒモを引くと刃が落ちるタイプだ。


「リヒターよ。さあ、マルガリッタを連れてこい」

「そうよ。私がヒモを引くわ」



 ・・・・ああ、潮時か。処刑道具の製造は国家の許可がなければいけない。やっぱり陛下がらみか。

 ニーナよ。マルガリッタ様よ。親父、お袋よ。使用人たちよ。

 ありがとうな。


「いや~、マルガリッタは逃げてしまいました」


 そうだ。領地に逃がした。

 今からどう考えても救援は来ない。


「な、何だと!」

「リヒター、貴方を処刑するわ。殿下、良いでしょう」




 ってなわけで俺は大勢に囲まれて校庭で処刑されるのだ。

 廃嫡届けは出してある。


 俺が死ねばいいのだ。


「せっかく取り立ててやったのに、何か言うことはあるか?」

「ないです」


「全く、どこから反逆の芽が出てくるか分からないな。デイジよ。ヒモを引くが良い」

「はい、殿下」


 そうだ。殿下は疑心暗鬼になるであろう。

 これから真実の愛派は空中分解を始める。


「あの目隠しをお願いします」

「情けないな。自分で閉じよ」

「はい・・・」


 目を閉じた。やはり死ぬのは怖い。ヒモを引くカウントダウンが始まる。


「「「1、2の・・・【照射!】」


 何だ。高温を感じる。

 そして悲鳴があがる。



 目をあけるとドラゴンだ。無数の竜騎兵が校庭におりている。


「ブッカー殿、確保!」

「リヒター様!」

「マルガリッタ様・・・」


 マルガリッタ様は竜騎兵の鎧を着ておられる。そうだった。マルガリッタ様は女竜騎兵でもあるのだ。

 横に黒焦げの物体がある。もしかして、デイジ?


「間に合いましたわ」

「どうして・・・」


「お父様に言って、竜騎兵を出して頂きましたの」

「そうですか。有難う・・・」

「屋敷に来て頂きたいですわ。恩賞を渡したいとお父様が言っておりますの」


「いや、俺、平民になったから・・・貴族の屋敷にあがれない・・です」


 何か嫌な予感がする。

 マルガリッタ様は手を組み微笑む。


「フフフフ、なら、なおさら屋敷に来ていただけなければ、ブッカー伯爵夫妻、ニーナ様も王都郊外の本営で保護されていますの」


 その後、王国軍は動かなかった。つまり。陛下の失脚だ。

 そして、公爵閣下に謁見をした。


「ニーナ嬢には婿を取らせてブッカー家を継がせるが良い。良き婿を紹介しよう」

「はい、どうもです」

「マルガリッタは女王になる。貴殿は王『キャア、お父様、まだ早いですわ』


 何だか、もう、流れに乗るしかないような気がする。

 真実の愛、結局何か分からない。

 しかし、真実の~とつくものには要注意だ。俺の人生訓に深く刻み込まれた。




最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
王家のやり方が雑すぎる・・・。 そんなんだから、力が低下するんだよ。
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