2024/11/19
25歳大学生シングルマザーのノンフィクション
朝の7時
昨晩から怒涛のやり取りをした、元彼氏とのラインの画面を開いて、文字を打ち込む。
ーブロックするね、ばいばい
浮気癖は一生治らないから、自分がもっと賢くなってバレないようにするか、
そういう相手見つけて自分が浮気されても、お互い許せるような器身につけなね
さよなら―
案外あっけない終わりだったと思う。
別に一生一緒にいるなんて思ってた訳じゃない。
ただ、自分がひたすら辛い時期を抜けた先に出会ったのが彼だったから、もしかしたら今までの辛い経験は彼と出会う為だったんじゃないかって、自分の中で勝手に物語を作って、勝手に盛り上がってしまっただけだったんだと思う。
浮気の一つや二つ、許すのは案外簡単な事だ。
だけど、それでも私が彼を許せなかった理由は、おそらく二つあって。
一つ目は、私は自分が思っていた以上に傲慢な女だったということ。
私は彼を失いたくなくて、ひたすら良い彼女で居続けたけれど、きっとそれは、私がこれだけ尽くしとけば私の事大切にするだろっていう、どこか傲慢で押しつけがましいような気持ちで無意識に彼に優しくして、そしてそんな表面的なものにしか気が付かない彼の事を、心の中ではいつも見下していたような気がする。
だからこそ、許すことが出来なかった。
二つ目は、彼が浮気をした時期は、ちょうど私が本当に苦しかった時期と被っていたということ。
今年の7月、私の元旦那が、包丁を持って私の家に押しかけてくるという事件があった。
このストーカー事件については、また後日説明するとして。
あの頃の私は、ただでさえ多忙な日常生活に加え、警察の事情聴取や、刑事裁判のための検察との打ち合わせ、さらに言うまでもないが、自分の元旦那が自分を本気で殺そうとした事実に精神的に疲弊しきっていた。
だからこそ、そんな、支えて欲しい時期に、職場の人妻と不倫旅行に行った彼の事を、どうしても許す気になれなかった。
昨晩のトーク履歴を見ると、彼が浮気を認めるやりとりがある。
相手の女のことは、とっくの昔に特定していた。
丁度昨日、インスタのフォローリクエストの承認をもらったところだ。
相手の女は、自分の浮気相手の元彼女だなんて、夢にも思わないだろう。
彼とのトーク履歴をスクリーンショットする。
電話じゃなくて、文章で浮気を認めさせられて良かった。
相手の女に、スクリーンショットしたトーク履歴を送る。
次いで、相手の女のフォロワーの中から、相手の女の旦那のアカウントを見つけ、同様にトーク履歴を送信した。
我ながら、えげつないことをしている自覚はある。
だけど、こうでもしないと、7月の私があまりにも不憫で、耐えられなかった。
両者、既読はすぐについた。
結論から言うと、女からは後にも先にも連絡が来ることはなかった。
女の旦那とは数通やり取りした。
その人は、ぶっちゃけ嫁が浮気していようが自分はどっちでも良い、とのことだった。
その言葉は、夫婦関係が冷め切っているが故の言葉なのか、浮気されても関係ないくらい愛しているが故の言葉なのか、私には判断出来なかったが、
もしも後者なら、私は自分の事がとても恥ずかしくなったし、そういう男を裏切ったあの女の心理は全く理解出来ないし、そしてあまりにも浅はかで考えなしな元彼氏のことを今一度軽蔑した。
その後、どうなったのかは知らない。
何事もなかったように過ごしているのかもしれないし、未だに元彼氏と女の関係が続いているなら、さすがに向こうの旦那もいつまでも黙っているとも思えないし。
だけどもう、どっちでも良いな。
最後の最後に良い彼女で終われなかったのは、少し悔しい気もするけれど、元々私はそんなに良い女でもなければ、器も広くない訳だし。
私は今の等身大の自分で、見栄なんか張らずに、無駄に良い彼女として取り繕うとしなくても、一緒にいるだけで満たされる相手を探そう。