第7章 — メイシン (1)
馬車で都で一番美しいドレスを探しに行くのに、かなり時間がかかって、私は都の外に出ることになった。太陽がほとんど落ち、私は、私は田舎道にいて、私はあまり出たことのないところだった。
私は滅多に、家から出ないので、こうして景色を楽しむのは、いつも新鮮だった。でも、今は、黄昏色に染まった田畑と森を見ても、私の憂鬱は和らぐことはなかった。私の心は、ただ同じことを、何度も繰り返し考えるしかない。私の運命。ソンジンジ王子と会うこと。そして、私が決めたことに。
私は、無理矢理に結婚を決められ、憎んでいたけど、父には、私にはどうしようもなかった。
私は頭の中で、結婚の利点ばかりを数えていた。でも、私は自分の望みを、本当は信じていなかった。私の唯一の希望は、ソンジンジ王子の保護とステータスに、恩恵をあずかることだった。でも、最終的には、私は自分を売っているのと同じことだった。
私はため息を吐くと、誰か、私を守ってくれる人がいないだろうかと思った。信頼できる人……そして、もしかしたら、愛情が芽生えるような、そんな人……。
ソンジンジ王子に、いつしか愛情が湧くというのは、あるんだろうか……
突然、私の馬車は停止した。
外で、声が聞こえてきた。
私はカーテンを上げ、護衛の兵に話しかけた。「何かあったんですか?」
「道がふさがれているようです」彼は言った。「心配ありません、お嬢様、我々は無理やり、道を開けます」
私は視線を前方にむけて、数人の男たちが、若い少女を集団で殴っているのを発見し、驚いた。
彼らは取り囲み、彼女には逃げるすべもなく、彼女が、身を守るために両腕を上げているあいだ、彼らの罵声を聞いていた。
彼女の顔は、あざだらけになっていて、服は引き裂かれて、彼女からは、ひどい悲鳴が聞こえてきた。
そのうちの一人が、彼女の髪をつかんで、彼女は苦しそうな叫び声を上げた。「助けてくれ!」彼女は私に、手を伸ばした。「殺される! お願い、助けて!」
絶望と恐怖に、彼女の目が見開かれた。
彼女は別の男の手を振りほどき、這って、私に近寄ってきた。「助けて……」と彼女は、私に訴えた。「殺されるんです!」
私の護衛たちは、自分たちの武器を触っていた。「助けて下さい!」
彼女の顔には、絶望と恐怖が浮かんでいた。「お願いします、助けてください!」
私は見過ごすわけにはいかなかった。
私は剣を持ってきていないし、相手はたくさんいたけれど、私たちは幸運にも、この若い女を一緒に連れて行くことができたかもしれない。
私は絹のカーテンをすべて開けて、馬車から降り、外の男に言った。「彼女を通りさせて」
「危険です」私の護衛が言った。「あなたが戻るのが一番ですよ」
「そんな女をここに放置できません」
私はこの世で、男たちが女の頬を打つところを、どうしても見過ごすことはできなかった。
彼女を通りさせて、彼女は私のそばに来ると、すぐに身を隠した。
彼女の顔は、汚れの中でも青ざめていた。「おんなさま、私を売ろうとしています」と、彼女は泣いた。
「心配いりません。もう誰もあなたを傷つけることはできません」私は言った。「道を切り開けます」
「また、増えたな」男は笑った。「今は、もう一匹も手に入る」
彼の笑い方は下品で、私は気分が悪くなった。「俺たちには、今、二人分の買い物になるとよ」
私たちは慌てて、馬車に向かおうとした。ここに長居していては、それは不吉だ。彼らは武器を持っていて、私たちを一撃で倒すことができるだろう。私たちの護衛は少なすぎる。
私は、若い女を馬車に連れていくと、その一瞬の隙に、私は隙を見せてしまった。
彼女が私を引っ張ったとき、私の護衛が叫んだ。「お嬢様を守りなさい!」
私が振り返ると、男たちが走ってくるのが見えた。
その一瞬で、私は失ってしまった。
若い女は私を引っ張ると、彼女は流れるような、柔軟な動きで、私を彼女のほうに押しつけ、自分のナイフで、私の喉をつかみ、叫んだ。「誰も動くな! 息をするな!」
私は、事態の変化に、唖然とした。
全ては、罠だったのだ。
彼らは、私の馬車を止め、私に同情させて、主導権を握った。
「お金を持っています」私は平静な口調で言った。「私にあげることができます」
若い女は、ナイフを、私ののどに押しつけながら、笑った。「お金には、興味はありません」
そして、私の護衛に向かって、彼女は言った。「武器を捨てろ」
彼女の声は、さっきまでの怯えた少女とは、まったく違って、きっぱりとしたものだった。「私が言っていること、全部、聞き分け良く、やっておくんだな」
私の護衛たちは、混乱した様子で、彼女たちとの視線を行ったり来たりしていた。
彼らの意識が逸れている間に、彼女は、刃を、私ののどに食い込ませ、少しの血を流させた。「やらないと、今すぐ、この女ののどを切り裂くよ」
彼らは戸惑った。
「彼女に従え」私は言った。「誰も、怪我をしなくても、済むんだ」
「その通り」若い女は言った。「でないと、私はこいつを殺してしまう」
一つずつ、私の護衛は、武器を投げ捨てた。そして、後ろでは、若い女が、この状況に、歓喜した。「いい子だね。そのまま、いい子にしているんだよ」
彼女は、私たちをさらって行くのに、喜んでいるようだった。
彼女がお金には、興味がないとすれば、私たちは、たださらわれようとしているのだった。金のためではなく。彼女たちが攫おうとしているのは、私一人じゃない。これは、偶然の事故ではない。
おそらく、彼らが私の父のかんばせを見たか、あるいは、待ち伏せをしていたのか。
なんにしても、私には、悪い予感しか湧かなかった。