第1章 — ソンジンジ
こんにちは、私は ShinyAnRo、ヨーロッパに住んでいて、皆さんに物語を共有したいのです!
あなたが恋愛、愛、そして歴史小説で熱い王子に恋するなら、私の小説をぜひ読んでみましょう!
私は、階下からの帝都のざわめきを見上げていた。
馬の蹄と車輪の音を聞き、人々の会話や議論の声を聞きとる。
熱気のただよう、埃っぽいなかには、香の匂いと料理の匂いが重なって、とても暑苦しい。
だが、この騒乱の中にかぎられる、一種の「正しい」感じ。
私はここにいるべきだった。これは中心であり、帝国の中心でもある。
そして、私にはそれが「与えられている」。
かつて皇帝の地位を簒奪した暴君の末子たる私──ソンジンジ──の居場所はここにあるのだ。
父を弑して皇位を奪還した戦いは、激しい攻防の果てにようやく勝ち取った勝利だった。
だが、そこで問題がひとつ。
現皇帝の太陽性禅に、帝位を継承させることは、未だ宮廷の反対にあった。
我々は日々、説得に務めている。
それは確かに急いでいるようで、李亮はまっすぐ私のほうへと近づいてくると、深くおじきをした。
李亮は宮内省の長官であり、また梁氏という歴史ある名家の一員でもあった。
「王子、御呼び立ておしまいましては」
私は扇をひらひらと扇ぎながら、こう言った。「急いだと聞いている。何事か?」
彼は私を鋭くねぎらる。 「緊急性があるように感じられた。一体何の話であろうか」
私は微笑んだ。李亮とはまだじかに会う機会はなかったものの、私は直情径行で好感が持てる。
まったくもってよい。
「提案がある」私は李亮に言った。「君にとっても、非常に……有益なものになるはずだ」
彼は眉根を寄せ、ひどく困惑していた。「有益?どちらのためにも?」
「我々両方にだ」まっすぐ彼を見つめながら、こう続けた。「君の娘をいただきたい」
大臣は私を見て、頭がおかしくなったのかと思ったに違いない。「結婚?俺の娘と?」
「そう」
「だが……王子であるあなた様は、ロンヤン国における最も強い力と力を持つ御方。誰とでも結婚できると思うのだが。なぜ、メイワン姫と結婚する気でいらっしゃるのかが、俺には理解に苦しむ」
「なぜではないか?」
彼は腕を組んだまま、私を見ている。「意味が分からない」
私は欄干に寄りかかりながら、彼をじっと見ていた。
歳をとっても、李亮は美しい男であり、黒い髪に黒い瞳で、かなりの威厳と自信を感じさせた。私も彼がここまで強い男だということが分かる。
これは実に面白い。
「いったいなぜ、メイワン姫をいただきたいのか?」李亮は私にもう一度訊いた。「しかもなぜ、俺が彼女に与えようかと思うのかが、俺には理解できない」
「私に娶られるのは、ちょうど良いからだ。そして、君が誰なのかを知っているから、私は誰と結婚しても良い。もちろん、私も……名声があるからな」
彼は目を細めた。「その『冷酷無情』という評判が、あなたも兄たちも変わらないと思っているが?」
「私と兄たちは、父とは違う。だが、今はまだ、誰も私を信じてくれない」
「なぜ、俺があなたの支援を受け入れると思うのだ?」
私は肩をすくめた。「君の後ろ盾になってくれれば、私は支持を得ることができ、君も隠したものを表に出すことができる。それは、君に取って良いことのはずだ」
「なぜ、俺がこれを受け容れると思うのかが、俺には理解できない」
「それをねぎらえている」私は机に戻って、紙を一枚持ち、李亮へ渡した。「これが欲しくてやまないものが、ここに隠されている。私がこれを外に出すと、君の立場が危うくなるだろう」
「なぜ、メイワン姫を渡せないんだ?」私は李亮に訊いた。「なぜ、彼女に与えることができないんだ?」
「俺は、娘があなたに嫁げるわけがない」
「なぜ?」
「俺は、俺の……その情報をあなたに渡すわけにはいかない。それがなければ、俺は……困ることになる」
私は彼の手に握られた紙を見つめた。「私は、この情報を外に出したくないだけだ。それに、私は……彼女と婚姻すれば、兄上を帝位に就けるだけの支持が得られる。そして、君を困らせたいわけじゃない。だが、私はこのことを、君が隠す情報に代えることはできない」
彼はためらったあと、まだ紙を見つめた。「俺は、彼女をあなたにと渡せない」
「なぜ?」
李亮はためらって、まだ紙を見つめていた。「メイワン姫は、ずっと弱々しい。だから……渡せない」
私はため息をついた。「彼女は決して傷つけない。俺は約束する」
「あなたは、王子という名誉がございます。でも、あなたは……」彼は私を懇願するような視線で見てくる。「ええ、俺たちは……合意が成りました」
「取引に応じるつもりか?」
彼はうなずいた。「そうです、王子。だが、ひとつ願いがある」
私は片方の眉を上げた。「どんなお願いだ?」
「娘に伝えるのは、俺にやらせてほしい」李亮はそう言った。「メイワンは……繊細だから。いきなりこれを言われると……きっと」
私は彼を見、そしてうなずいた。「分かった。好きにしてくれ」
彼はおじきをして、「ありがとうございます、王子」と言った。
私は微笑み、扇をひらひらと扇ぎながら言った。「よかった。話はまとまった」
彼は「はい」と言った。「俺が失礼を……」
「出ていくといい」
私が欄端に身を預けていると、李亮はまたおじきをして、部屋から出て行った。
扉を閉じた後、私は満足した気持ちになった。
問題の解決と、兄への最も安定的な支持を勝ち取った。
あとは、若い娘を娶って、帝位の継承を確実にするだけ。簡単なことだ。
私はまた欄端に立ち、眼下に見える帝都の雑踏を見下ろした。
人々の喧騒が、私の耳に届く。
私は上を向くと、向かいの都を見下ろして、笑みを浮かべながらじっと見つめた。
世界は我が家によって掌握される。
そして、私によって奪取されるのだ。