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〜散策と依頼〜

 次の日を迎え,俺達は街を散策しに行った。

 するとどうだろか,とても活気のある街だった。


 街のあちこちでスカーレットの誕生日を祝うような事が行われていた。

 「クルクル姉ちゃんって皆に好かれてるんだな」

 「そうみたいじゃの」

 「領民にこんなに愛される貴族ってのは珍しいんじゃないのか?」


 「そうじゃの〜」

 街の様子や観光を兼ねて色々と見て回ろうとしたが,沢山のマルガレータ家のいい評判を聞く事になった。


 「なんか逆に誕生日会不安になってきたな」

 「なんじゃカナデ大丈夫じゃよ。余に任せるのじゃ」

 「大丈夫だって気軽に行こうぜ」


 「街の冒険者ギルド行こうと思うんだがどう?」

 「おう行こうかの〜」

 「なんだ? カナデ冒険者だったのか?」


 「一応そうだよ! ロイは冒険者登録出来るのか?」

 「行ってみれば分かるじゃろ」

 「まあとりあえず行ってみるか」


 チェスターのギルドは港街だからか青を基調とした外壁と内装をしていた。

 「ちょっと聞きたいんですけど,子供でも冒険者の登録って出来るんですか?」

 「出来ますよ。登録されるんですか?」

 「はい。この子の登録をお願いします」


 「お姉ちゃんよろしく頼むよ」


 血を一滴垂らし,ロイが冒険者として登録が完了した。

 「おお! これがオイラのプレートか!」


 「ついでなんですが,何か俺達でも出来そうな依頼はありますか?」

 「そうですねぇ〜こちらはいかがでしょうか?」

 見せられたのはビッグクラブという魔物の討伐だった。

 見た感じ俺達のランクでやるような依頼じゃない気がするのだが……

 「何故これを??」

 「ロックリザードの大群を倒したとの事なので,実力があるのでしたら,領主様からの緊急の依頼がありましてやって頂けないかと」


 「え? マルガレータ子爵様からの依頼ですか?」

 「そうです。娘さんの誕生会の食事の時に出したいとの事で依頼が出ているんです」


 「難しい依頼なんですか?」


 「そうですね中々難しい依頼です。海の上での戦闘になりますし,ビッククラブは元々は温厚で臆病な性格でまず人を襲う事もないですし,人々の生活に害をもたらす魔物ではないので討伐依頼なんてほとんどないんです。こういった特別の時しか討伐しないんですが,一度攻撃されて戦闘態勢に入ると,ビッククラブはとても獰猛どうもうになり強いんです。なので討伐は難しいんです」


 「ですが,食材としてのビッククラブは超高級食材でとても美味しいと聞いた事があります。新鮮じゃないと食べる事も中々出来ない為に貴族の方々には大変喜ばれるといいます」


 「なるほど」

 「なんと,余はそんな魔物食べたことないぞ。美味そうじゃな」

 「おいカナデ! オイラもそのビッククラブ食べたいぞ」

 二人共生き生きとした表情をしている。


 「よし。余達に任せろその依頼!! 余が片付けてくれようぞ」

 「おい勝手に決めるなよ。危ないって話じゃないか」

 「大丈夫じゃよ。余がそんな魔物に後れを取る訳なかろう」


 「そうだとは思うけども……」

 この流れはもう受けるしかなさそうだ。


 「分かった分かった受けるよ。受ければいいんだろ? クロエ本当に頼むぜ」

 「任せるのじゃ」


 「じゃあ……この依頼受けます」

 俺は渋々依頼を受ける。


 「ありがとうございます! 船はギルドで用意してありますので,そちらを使って下さい」

 「わかりました。それでは行ってきます」

 「気をつけていってらっしゃいませ」

 俺達は指定された場所に行くと,船と何人かの船員と共に出発する。


 沖の方まで出る。俺は心地よい潮風を感じてはいなかった。


 「おえ〜〜〜〜〜」

 俺は船酔いでそれどころじゃなかった。


 「おいカナデ大丈夫か?」

 「だらしないの〜〜」


 「二人はだいじょ――おえ〜〜〜〜」


 「そろそろビッククラブの生息地に着きます。よろしくお願いします」

 「クロエ頼んだぞ……」

 「カナデはそこでゆっくりしておるのじゃ」


 「オイラも戦うぞ!!」


 船員がビッククラブの大好物だという餌を海に投げ入れる。

 すると海から突然大きなカニが現れた。


 「で,で,デッケーーーー!!」

 ロイが大きな声で騒ぎ立てる。



 「ほう! これがビッククラブか。余に任せろ!」

 人差し指を天に向けて立てたクロエが人差し指を振り下ろすと,空から雷鳴が轟いた。


 一瞬にしてビッククラブが倒れた。

 「おおおお! クロエすげ〜〜〜!」

 「そうじゃろそうじゃろロイよ!!」


 「もう一回! もう一回!」

 「しょうがないの〜。もっとビッククラブを呼び寄せてくれ」

 船員が餌を巻いて,ビッククラブを呼び寄せる。


 次は複数体現れた。


 クロエが開いた両手を空にかざし振り下ろす。

 目の前が真っ白になるほどの稲妻が走り,後から地面が揺れるほどの音が響く。


 気付くとビッククラブが全て倒れていた。

 「す,すげーーーー!!」


 「お〜〜〜い……早く回収して戻ろうぜ」

 「そうじゃの。そうするかの」

 俺は帰りの船旅でもずっと吐き続けた。


 やっとの思いで陸地に到着した。

 「カナデ何もしてないのに,苦しそうだな」

 「船酔いがしんど過ぎた……早くギルドに報告して帰ろうぜ」


 ギルドに報告しに行く。

 「あれ? もう帰ってきたんですか? やっぱ難しかったですか?」

 「いや……もう終わったんです……六体程討伐してきたましたよ」

 「え!?」


 「本当じゃぞ」

 クロエがアイテムボックスからビッククラブを出す。

 「た,た,確かにビッククラブですね……」

 「全て買い取らせて頂きますね」


 「お願いします」

 「今回の報酬がこちら三百万コルトになります」

 「うひょーーー凄い大金だな!」


 「ありがとうございます……それじゃあお姉さんまた」

 俺は金額なんかよりも早く休みたかった。

 ギルドを後にし,屋敷へと戻ろうしたが……


 「なあカナデ何か屋台でここの街の食べ物食べて行こうぜ」

 「え!?」

 「ええの〜カナデ行くぞ! 酒も飲まんとな」


 「え〜〜〜行きたたくないよ〜〜〜」

 俺は二人に連れ回されて,屋台をあちこち周り,何軒もハシゴする羽目になった。


 「オイラはもう満足だせ」

 「余も満足じゃ」

 「じゃあ本当に帰るぞ」

 俺は気持ち悪くてほとんど見てるだけだった。やっと屋敷に戻る事が出来る。



 屋敷に戻るとすぐに誕生日会の一切を任せられている執事長の所に会いに行き,俺達が誕生日会でやりたい事を伝える。

 「それはそれは……となると,色々と変更しないといけませんな」

 「いいんでしょうか?」

 「ええ。それににわかに信じがたい事をカナデ様は言ってますが,本当ならとても素晴らしい誕生日会になると」


 「任せるのじゃ!!」

 その日から誕生日会の準備に追われる事となった。俺はライムに演奏を教える。クロエは毎日酒浸りで,ロイは貴族飯を思う存分堪能しているようだった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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