1. 幼女好きな幼女悪魔の幼女化魔法で幼女になった
「嘘だ。なんでこんなことに!?」
私は今目の前の光景をあまり信じたくない。これは絶対夢だよね。そんなことってあるわけがない。
「ロリョーネ、なぜ君はこんなに大きくなった?」
「いや、違うよ。ユリョッチー。あなたこそ体が縮んで……」
「え? そういえばボクの声はなんか変……何これ!? この髪の毛が!? 服が大きい!?」
ユリョッチーは魔道士でいつも一緒にいる私の大事なパートナーだ。かっこよくて、魔法の実力も本物で、そんなユリョッチーは剣士の私と組めばすごく完璧なパーティーになった。私たちは一緒に冒険に出て今最早1年になる。すごく頑張ってきて冒険者としてAランクまで辿り着いた。すごいでしょう。
いや、そんなことは今もうどうでもいいよ。一番問題なのは、彼は私の同い年で16歳。綺麗な銀髪で、小柄な体で女の子っぽい外見だったけど、性別は紛れもなく男性……だったはずなのに……。
「嘘だ。ユリョッチーは小さい女の子になってしまった!」
彼は……ううん、今は彼女か? いや、そんなのどうでもいい。名前で行こうか。
ユリョッチーは元々私より少し背が高かったのに、今私を見上げるくらい小さい子供になっている。多分8歳くらい。元々彼は私と同い年で16歳だったはずなのに、まさか歳は半減するなんて……。綺麗な銀髪の髪は今までよりも艶やかで長くて腰まで伸びてきた。
私は自分の背中の真ん中まで伸びる水色の髪の毛を触ってその銀髪の髪と比べてみた。悔しいけど、やっぱり今のユリョッチーの髪の方が私よりも長いし、私の髪よりキラキラ美しく見える。
こんな姿はどう見ても可愛らしい幼女だ。でもさっきまで着ていた魔道士の緋色のローブは今ダボダボになって、しかもローブの下に履いたズボンは地面に落ちている。
「ない! ボクのアレがない!」
ユリョッチーは慌てて自分の体のあっちこっちを詳しく調べたら、すごくショックを受けたようだ。それ無理はないよね。いきなりこんなことになるはね。下半身のアレもなくなったようだ。やっぱり本当に女の子に? ちなみに、『アレ』って何のことなのか言わなくてもわかるでしょう。
「貴様、何をやらかした!?」
私は剣を構えて、今の異常の元凶であるあいつに向けながら憎らしく睥睨している。間違いなく、これはあいつのさっきかけた変な呪文の所為だ。
「あら、随分可愛くなったわね。やっぱり幼女は最高ね。あたくしの好みだわ」
この台詞を言っているあいつ本人も可愛らしい金髪幼女だ。小さく幼くて、多分今のユリョッチーと同じ、8歳くらいかな? いや、でもこれはただの外見でしかない。こいつは幼女の姿をしている悪魔だ。実年齢は100歳を超えているらしい。魔族なので元から私たち人間よりずっと寿命は長い。今の幼女の姿も実は本来のこいつの姿ではなく、自分の好みの通りに作られた体だそうだ。
「うるさい! このクソ幼女悪魔目! てめえ何をしでかしたと訊いている!」
そもそも私とユリョッチーはここに来たのは冒険者ギルドの依頼だ。彼女を……この『ヨージョッスキー』という悪魔を討伐するためにこのダンジョンに突入して最奥まで攻略してやってきた。やっとあいつを見つけて戦い合うことができた。
それなのに上手くいかなくて、私たちは散々やられた。しかもなぜかユリョッチーは幼女になった。
「ただ『幼女化呪文』をかけただけよ」
「幼女化って……そんな魔法、あるのか?」
そんなの聞いたことない。少なくとも人間のできない芸当だ。
「驚いただろう? あたくしみたいな天才魔族だけの使える上級の魔法よ。お気に入ってくれるかしら?」
「巫山戯るな! 早く元に戻して!」
「やだな。この魔法は一度使うためにどれくらい苦労したかわかるか?」
「知るか!」
こいつ、こんな馬鹿なことをするためにわざわざ莫大な魔力を使ったとでも言いたいのか? 確かに人の身体を変えるくらいの力は簡単にできるはずがない。たとえ魔族でも何かの儀式を行って相当魔力を消費するはずだ。
「じゃ、貴様をぶっ殺してやる」
私はこのクソ幼女悪魔の方へ走って剣を振るったが、見事に避けられた。
でもなんかさっきより動き遅い気もする。やっぱりあの幼女化の呪文を使ったことでこいつは魔力も体力も結構消耗したようだね。それでもまだ随分余裕があるみたい。
「本気であたくしを殺す気なのかい? 言っておくけど、あたくしが死んでしまったら元に戻す方法がなくなるわよ」
「……っ!」
しまった! やられたな。このままでは私たちはこいつに手を出すことがでけないということになるよね。狡いよ。そもそも私一人でこいつを相手にするのはきつい。ユリョッチーもこうなってしまったから戦力になれないだろう。状況更に難しくなってきた。今私たちは不利すぎる。このままでは全滅……。
「やっぱり逃げようよ!」
「ロリョーネ? 何を!?」
私は、幼女になったユリョッチーの体を両手でお姫様抱っこして、ダンジョンの出入り口の方へ走り出した。
「ちょ、ちょっと……! わかったけど、ボクは自分で走るから……」
「こんな体じゃ無理だよ。私に任せなさい」
それにしてもやっぱり今のユリョッチーの体は小さくてすごく軽い。私の腕なら簡単に持ち上げて運べる。
「あら、お姫様抱っこおねロリ、素晴らしいわ。百合カップル最高」
「うるさい!」
こいつ、まだこんな戯言を……。今の私たちを見て楽しんでいるっていうの?
「お前さんたち、もう戦う気はないのね?」
「いつか覚えてろ! このクソ変態幼女悪魔野郎!」
悔しいけど、今すぐこいつをぶっ殺したいけど、ユリョッチーのことが心配だ。私はすごく怒っているけど、正気を失うわけにはいかない。このまま今絶望的であまり勝ち目はないということくらいは言われなくても理解している。
それにあいつはきっと幼女化されたユリョッチーを狙っている。絶対渡さない! 逃げ足なら私は自信がある。
こういうことになったらもう仕方なく、今のところはひとまず逃げないとね。でもこのまま終わりってわけじゃない。もっといい作戦を考えてからまたここに戻ってこの幼女悪魔と再戦してぶっ倒してやる。
これは幼女好きの「萌え死に」で終わるまでの話です。
ちなみに登場キャラ3人の名前:
・ロリョーネ(ヒロイン、青髪)
・ユリョッチー(TSロリ、銀髪)
・ヨージョッスキー(幼女悪魔、金髪)
名前の由来は言わなくても多分すぐ察したでしょう。