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008


駅から降りてすぐの場所に、目的の芸能事務所のビルが建っていた。

中に入ると受付が有ったので、そこに声を掛けるみたいだ。

受付まで行くと、そこに座っていた女性が立ち上がって、挨拶をしてきた。



「いらっしゃいませ。

 失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「斉藤 梓です。新しくこちらに所属することになった千秋のマネージャーをさせて頂いてます。

 今日は、吉田様への挨拶のためにお伺いさせて頂きました。」


「失礼ですが、お約束は頂いておりますでしょうか?」


「はい。」


「少々お待ちくださいませ。」



女性は、電話を操作して何処かに電話を掛けているみたいだ。



「受付の照沼です。お世話様です。

 斎藤様が吉田様宛てにいらしたのですが……はい……はい、そうですか、わかりました。」



女性が電話を切ると、こちを向いた。



「吉田様の確認が取れました。あちらのエレベータで12階までお進みください。

 担当者が下りた先で待っているとのことなので、そちらの指示に従って下さい。」


「はい。」


「何かご不明な点がありましたら、私、照沼までお問い合わせください。」



照沼さんがそう言うと、頭を下げたので、言われたとおりに行ってみることにした。

エレベータに乗り込んで12階まで登る。エレベータを降りると1人の女性が立っていた。

あれ? この人何処かで……あぁ! 喫茶店の前で声をかけてきた人か!



「千秋さんですね。お待ちしておりました。

 私、吉田 翔のマネージャーをしている武内と言います。宜しくお願いします。」


「あ、はい。こちらこそ宜しくお願いします。」



俺はペコリと頭を下げるのだった。



「では、案内しますね。こちらへどうぞ。」


「は、はい。」



武内さんについて行くと、案内された先は小会議室だった。

武内さんが扉をノックする。



「武内です。斉藤様をお連れしました。」


『どうぞ。』


「失礼します。」



扉を開けて部屋の中に入ると、そこに吉田さんの他に、男性2人が居た。多分、雰囲気的にもお偉いさんだろう。

最初に真ん中に立っていた男性が話しかけてきた。



「私が、この芸能事務所の社長、『立原 修』だ。歓迎するよ。」


「長女の梓です。こちらが次女の千歳と三女の沙月で、そして四女の千秋です。」


「「「宜しくお願いします。」」」



思わず四女のところでツッコミを入れそうになったが、耐えた俺、偉い!



「俺は千秋君のプロデューサをする『木村 忠』だ。宜しくな。」


「宜しくお願いします。えっと、一つ質問しても良いでしょうか?」


「構わないよ。」


「えっと、プロデューサーとマネージャーって同じじゃないんですか?」


「ああ、そう言う事か。確かに同じ意味で運営しているところもあるが、ウチの事務所でのプロデューサーは、企画を考えたり、仕事の交渉とかを行うのがメインだ。

 マネージャーは、仕事のスケジュールの管理と、担当のケアや、サポートをお願いすることがメインになるね。もちろんいざという時の盾もかな。」


「わかりました。」



要はねーちゃん達は時間通りに俺を現場に連れて行くのが仕事ってことだな。ケア? サポート? ウチのねーちゃん達にとって知らない子ですね。盾? 間違い無く俺が盾にされるわ。



「最後に僕だけど、今更挨拶も無いかな?」


「吉田さん。これから宜しくお願いしますね。」


「翔で良いよ。」


「えっと、翔さん。」


「うん。よろしくね、千秋ちゃん。」


「はい。」



こうして俺は、正式に芸能人として活動することが決定したのだった。


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