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「おい千……斉藤、何を聴いてるんだ? もしかして最近売り出してる新しいアニソンか?」



昼休み、新曲を覚えるために聴いていたら、山田の奴が声を掛けてきた。



「いや? ただの音楽だが。」



詳細は教えられないのでそう言っておく。



「へぇ~、俺にも聴かせてくれよ。」


「すまんが、訳有りで聞かせられないんだ。」


「訳有りってどんな曲なんだよ、気になるじゃんかよ。」


「すまん。」


「ちぇっ……」



山田は諦めたのか俺から離れて……



「もらい!」


「あっ!」



俺の耳からワイヤレスイヤホンを奪うと、そのまま自分の耳に入れた。



「か、返せ!」


「おっ? 聴いたことないけど、なかなか感じが良い曲じゃん。誰の曲?」


「知らん。良いから返せって!」


「まぁまぁ、最後まで聴かせてくれよ。」



山田はひょいひょいと俺の攻撃を避けていく。くそっ!



「あ、そうか。」



俺はポータブル再生機の停止ボタンを押すのだった。



「あぁ! くそっ! 千……斎藤のケチ!」



意地でも俺の名前は言いたくないらしい。良いけどさ……



「お前ら何してんだよ。」


「あ、加藤か、千……斉藤が、良い感じの曲を独り占めで聴いてるんだよ。」


「ほほぅ? 山田、やっておしまい!」


「あらほらさっさー!」


「や、やめるんだ! くそっ! 離せ~!!」



山田が俺をがんじがらめに取り押さえた隙に、加藤がポータブル再生機を奪い取った。

そしてもう片方の耳に入っていたワイヤレスイヤホンを抜き取ると、自分の耳へと入れて再生ボタンを押した。



「いい感じじゃん!」


「だろ?」


「お前ら! いい加減にしろ!」


「これ誰の曲? 聴いたこと無いんだけど。」


「さあ? 千……斉藤が教えてくれねーんだ。」


「ほほぅ? これはお仕置きが必要だな。」


「だな。」


「お、お前ら、正気に戻れ……アー!!」



俺はとても口では言えないお仕置きをされたのだが、何とか曲の出どころだけは守ることが出来たのだった。合掌……


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