表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/28

015


カラオケの出来事から2日後、今日から歌のレッスンが始まる。

学校が終わってからのレッスンなのは正直助かった。


放課後になり、急いで帰ると、すでにねーちゃん達はスタンバイ済みだった。

特に特殊メイク担当の千歳ねーちゃんは、やる気満々だ。



「はい、千秋ちゃん、脱いでね♪」


「はい……でも、パンツ、パンツだけは自分で履かせて下さい! お願いします!!」


「もう、しょうがないなぁ~」



どうやら今回は、俺の最後の尊厳だけは守ることが出来そうだ。



「でもさ、私達と言うか、千歳ねぇがいつも居るとは限らないじゃん。

 千秋一人でも出来るようにしないとマズいんじゃない?」


「そうねぇ~、千秋ちゃんやってみよっか。」


「拒否権は?」


「無いわよ~」


「ですよね~」



俺は自分の胸を特殊メイクで作るのだった。今なら胸を盛っている女性の気持ちが……って、わかるか~!!



「ん、まぁまぁかな? 流石は千秋ちゃんは器用だよね~

 プロが直接見たらバレバレだろうけど、服の上からなら分からないレベルかな? 後は練習あるのみだね!」


「千秋、次は化粧よ。こっちは私の方が専門分野で得意だからシッカリ学ぶのよ!」


「へいへい。」



次は沙月ねーちゃんの番らしい。あー面倒くさいな。何で女性は化粧なんてするんだろうな。

確かに見た目は綺麗になるけど、偽物じゃ意味無くね? 24時間365日ずっと化粧したままにするのか? 無理だろ?

バレた時のショックを考えると、完璧な化粧って必要無いと思うのは、俺が男だからだろうか。



「とは言っても、俺の場合は変装の意味合いも有るから、完璧を覚えないと死ぬ。」


「ほら、ブツクサ言って無いで、しっかりやる!」


「へ~い。」


「それにしても、沙月ねーちゃんって、こんなに色んな種類の化粧を持っているんだな。」


「はぁ? これは千秋のよ。この前のモデル料で買ったんだ。もちろん私も少し使わせて貰ってるけどね。」


「おい! 初耳だぞ!」



言われてみれば、モデル料を貰ってなかったな。幾らもらったんだろう……



「ちなみに幾ら使ったの?」


「確か……ケースや鏡等の道具も全部そこそこ良い物で揃えたから……10万円くらいかな?」


「モデル料は?」


「10万円。」


「全部やん! 俺、1円も貰って無いぞ!」


「初期投資と言うか、必要経費よ!」


「あーうん。」



そう言われると反論のしようが無いな。モデル料はあきらめることにしよう。



「いつも思うが、女性って怖いよな。」



完成した顔を鏡で確認して出た一言がこれだった。

何となく俺の面影が有る以外は、全くの別人だったからだ。



「何言ってるのよ、これは最低レベルの技術よ。だからこの位は当然出来ないと駄目だからね。」


「マジか……」



特殊メイクに化粧と、ホント覚えるのが多くて大変だ。

後はウィッグを被ってセットすれば美少女の完成だ。そして自分で美少女と言ってショックを受けるのだった。



「千秋、これに着替えたら出かけるよ。」


「へいへい。」


「その恰好をしたら、男性言葉は止めなさい。」


「は~い。」



俺が用意された服に着替えると、ようやく準備が完了した。

そして、歌のレッスンをするために、家を出るのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ