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014


「「「いぇ~い!」」」



只今、カラオケが絶賛大盛り上がり中です!









まぁ、ねーちゃん達3人がだが……

俺? もちろん観客に徹してますが何か?


……オカシイな、確か俺の練習のために来たんじゃなかったっけか?

それにしても、噂では知っていたけど、カラオケってこんな感じなんだな。



「はぁ~疲れた~……千秋、ドリンクバーお替り持って来て!」


「私も~」


「持ってくる!」


「え~!」


「「「すぐ行く!」」」


「はいぃ!」



俺は3人のグラスを持ってドリンクバーへと移動することにした。

ドリンクバーには女の子の先客がいたのだが、何だか様子が変だな。オロオロしてあちこちをキョロキョロとしていた。

俺もドリンクバーを使いたいから声を掛けてみることにした。



「どうしたの?」


「!? あっ、えっと、えっと、その……」



俺が声を掛けると、女の子はビクッっと反応し、慌て始めた。

振り向いた女の子は、見た感じ俺と同じくらいの年齢で、ロングヘアの似合う可愛い子だった。



「大丈夫だから落ち着いて。何か有ったのか教えてくれるかな?」



俺は、出来るだけ安心できるように優しく問いかけると、女の子は落ち着いたみたいだ。



「実は、ボタンを押したのにジュースが出てこなくて、壊しちゃったみたいなの。」


「ちょっと見せてね。」


「はい。」



俺は一応コップをセットしてから、ボタンを押してみた。確かに出てこないな。

試しに隣のボタンを押してみると、今度は問題無く出てきた。



「あ、出た。」


「そうだね。もしかしてボタンが壊れたのかな? それとも単に売り切れとか?」


「でも、売り切れでしたら、ランプが点きませんか?」


「そのランプが切れているって可能性も有るかもしれないしね。」


「あ、確かにそうですね。」


「ちょっと店員に聞いてくるよ。」


「あ、私も行きます。」



俺達は受付カウンターの所へと移動し、店員へ状況の説明をすることにした。



「すいません、ドリンクバーですが、ボタンを押しても出てこないんですが。」


「あ、はい。えっと、確認なんですが、そのボタンは一番左のボタンですか?」


「そうです。」


「申し訳ありませんでした。そこのボタンは売り切れのランプが切れてまして点かないんですよ。すぐに補充いたします。」


「わかりました。」



話が終わったので、ドリンクバーへと戻り、店員が交換が済むまで暇なので、女の子に話しかけてみることにした。



「やっぱりボタンのランプが原因だったね。」


「みたいです。私が壊した訳じゃなくて良かったです。」


「最初見た時に、オロオロしながらかなり慌てていたからね。」


「み、見てたんですか! 忘れて下さい~!!」


「どうしようかな~」


「あなたって、見た目と違って結構イジワルさんなんですね。」


「あははっ(汗)」



俺は笑って誤魔化すことにしたが、イジワルじゃないよね?



「そう言えば、随分と時間が掛かっちゃったけど、友達とか心配しているんじゃないの?」


「大丈夫です。その……一人で来たので。」


「一人カラオケかぁ、そこまでするってことは、よっぽど歌うのが好きなんだね。」


「はい。好きなのは勿論そうなのですが、えっと……」



女の子が俺の二の腕辺りの袖を引っ張ってきた。屈めってことかな?

俺が少し屈むと、耳元で話しかけてきた。



「実は、今度アイドルとしてデビューするんです。だからその練習もしてたんですよ。内緒ですよ?」



女の子が人差し指を口に当てて、そう言ってきた。



「へぇ、そうなんだ。頑張ってね。」


「そうなんだって、驚かないんですね。デビュー前とは言え、アイドルなんですよ?」


「あ、いや、最近似た様な話を聞いたってのも有ったからかも。かな? あははっ(汗)」


「ふ~ん?」



女の子が何かを疑う様な目で、じっと俺を見ていた。



「舞です。」


「えっ?」


「藤崎 舞。私の名前です。」


「舞ちゃんね。デビューしたらファン第1号として応援させて貰うよ。」


「ありがとうございます。」



女の子は俺のことを見てじっと待っている……って、もしかして俺の名前待ちか?



「あー俺の名前は、斉藤だ。」


「下の名前は?」


「……千秋。」


「千秋さん? 何処かで聞いたような……あぁ! 例のモデルさんの名前と同じなんですね。」


「そうなんだ、聞いてくれよ! 学校でも友達が、千秋の名前を改名しろってうるさくてさ、参っちゃうよ。」


「あはははっ、何それ~!」



舞ちゃんは、思いっきり笑っていた。

色々と話したからか、随分と親しみやすくなったな。デビューしたら真面目にファン1号になろうかな。



「お待たせしました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」


「あ、はい。」



その時、店員が作業終了の言葉を掛けてきた。



「じゃあ、私はそろそろ行きますね。」


「俺も戻るか……ってやべぇ! ねーちゃんに怒られる! 早く戻らないと!

 ごめん、先に使わせて貰うな!」


「あ、はい。どうぞ。」



俺は急いでコップにジュースを補充すると、大急ぎで戻るのだった。



「ち~あ~き~? 私が頼んだのはカ〇ピスなのに、何でウーロン茶を持って来てるよ!!」


「あれ?」


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