表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/28

013


何とか学校も終わり、自宅への帰り道で気が付いた。

あちこちの宣伝ボードや、電車内の吊り広告に俺の写真が有ったのだ。

学校に行くときには無かったから、おそらく本屋等が開く時間で張り替えたのだろう。

道行く人がその広告を眺めているのを見ると、謝りたい気持ちになるのは何でだろうな。


俺を見ている訳じゃないのに……いや、ある意味俺だが。直接見られている訳じゃないにも関わらず、何となく見られている気がして意心地が悪い。

世の中の芸能人は、写真だけでなく、プライベートの本人自体も見られているんだよな。ホント凄いと思うよ。

気楽に歩けなくなって、マスクとサングラスで変装している人の気持ちが、今ならよく分るぜ。



「ただいま~」


「おかえり。」


「あれ? 梓ねーちゃん、今日は早いね。」


「千秋に話が有ったからね。着替えたらリビングに来て頂戴。」


「へ~い。」



梓ねーちゃんは、先日、今まで働いていた仕事をアッサリと辞め、俺が所属している芸能事務所に入社して正式に俺のマネージャーとなったのだ。

千歳ねーちゃんと沙月ねーちゃんは、流石に学生だったために正式なマネージャーにはなれず、梓ねーちゃんの手伝いと言うポジションで落ち着いたのだった。

その梓ねーちゃんから話が有るってことは、おそらく仕事の話なんだろうな。面倒くさいな。

部屋に戻り、着替えてからリビングへと向かう。



「来たよ。」


「千秋、そこに座りなさい。」


「何で床?」


「文句ある?」


「……無いです。」



俺は言われた通りに床へと座ったんだが…… あれ? 確かマネージャーって担当、つまり俺のケアも含まれているハズだよね?

何で梓ねーちゃんはソファーで、俺は床なのだろう……解せん。



「で、話って何?」


「千秋の次の仕事が決まったわ。雑誌の広告の影響は大きかったみたいね。」


「ふ~ん。で、何の仕事なんだ?」


「アイドルよ!」


「はぁ? 何でまたアイドルなんかをやるんだよ!」


「役者、モデル、アイドルと一通りやらせてみたいってのが、向こうの考えみたいなのよ。

 今のところその2つは成功しているし、アイドルも出来るとなると、マルチタレントとして売り出せるってことなんじゃない?」


「そうは言ってもなぁ、俺学校以外で歌ったことって無いんだよね。正直自信無いぞ。」


「ふふふっ、そうだろうと思ってたわ。そろそろ千歳と沙月も帰って来るだろうし、そしたらカラオケ行くわよ!」


「拒否権は?」


「有ると思ってるの?」


「ごもっともです……でも、普通、歌の練習とかって、専門の人にやって貰うんじゃないの?」


「そっちももちろんやるわよ? 今日はただ千秋の歌を個人的に聞きたいってのと、ストレス解消が目的よ。」


「そうですか。」



相変わらずねーちゃん達に振り回されるのは、弟としての宿命なのだろうか。


しばらくして千歳ねーちゃんと、沙月ねーちゃんが帰って来たので、俺は強制的にドナドナされてカラオケに行くのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ