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思いついたら書きたくなった。


「ほれほれ、逃げんなよ千秋~!」


「ちょ、梓ねーちゃん、やめてよ!」


「沙月ちゃん、そっち捕まえてね~」


「千歳姉ぇ、了解!」


「沙月ねーちゃん、千歳ねーちゃんも放せ!」


「ねーねー、千秋ならこのウィッグ似合いそうじゃない?」


「「いいじゃん!」」



俺の名前は『斉藤 千秋』15歳の高校1年だ。

現在、長女の梓ねーちゃん(22歳 社会人)と、次女の千歳ねーちゃん(19歳 大学1年)、そして三女の沙月ねーちゃん(17歳 高校2年)に化粧をさせられている最中だ。

いつもこの3人は俺のことをイジメ(?)るのが大好きみたいで、こうして普段から色々とおもちゃにされているのだ。



「大学の映画研究会で特殊メイクやってんだけどさ、これ試してみたいんだけど、良いかな~?」


「な、何だよそれ!」



千歳ねーちゃんがスライムみたいな物体を手に持ってやってきた。



「これ? シリコンだよ~♪ 梓姉ぇ、沙月、抑えてて~!」


「「了解~」」


「は、離せ!」


「これをこーして、こーすると……出来た!」


「マジか……」



何と俺の胸におっぱいが出来ていた。しかもDカップは有りそうだ。



「で、次はコレ♪」


「……物凄く聞きたくないけど、それって何?」


「コレはね~ 格闘技をするときに付けるファウルカップってやつなんだけど、ちょっと加工して千秋ちゃんサイズで作ってみたの~♪」


「作ったって、何で俺のサイズを知ってるんだ!!」


「え~! 言わなきゃダメ?」


「言ってくれ。」


「でも内緒~♪ じゃあ履かせるよ~♪」


「や、やめろ! やめるんだ!」



千歳ねーちゃんの手が俺のトランクスへと伸びる……い、いやああぁぁ~~~~!!



・・・・



「シクシクシク……」


「なぁ、これってマジヤバくね!?」


「やばすぎる、チョー可愛い!!」


「さすがは私達の千秋ちゃんね、愛らしいわ~」


「シクシクシク……」



完成した俺は、メイクやウィッグは勿論のこと、沙月ねーちゃんの服まで着せられたのだった。もちろんブラとパンツもだ。

男の俺が何でこんな目に……いや、逆らえない俺が悪いんだけどさ(涙)



「ねぇ、このまま出かけちゃわね?」


「はぁ?」


「いいね~」


「何処行く?」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て!」


「遊ぶとこ多いし、街へ繰り出すで良いんじゃね?」


「そうしよっか~」


「俺、こんな格好で外なんか行きたくないぞ!」


「大丈夫大丈夫、違和感ないくらい可愛い……いや似合い過ぎてるから(笑)」


「ほら、行くよ!」


「や~め~ろ~!!」



俺は引きづる様に連れ去られていくのだった。



・・・・



「マジかよ……」



俺は今、街中で1人で絶賛迷子中である。。

何で1人なのかと言うと、ちょっと目を外した瞬間にねーちゃん達が消えていたからだ。

恐らくだが、近くで俺のことを観察しつつニヤニヤしているに違いない。



「と言うか、ここ何処だよ!」



確か電車で移動して駅で降りたところまでは分かったのだが、細い道を進んだり、何度も何度も道を曲がって進んだりした御蔭で、今俺が何処に居るのかさっぱり分からない。正真正銘、迷子と言う奴だな。

しかも最悪なことに、財布もスマホも没収されているため、電話で助けを呼ぶことも、タクシーを使って分かる所まで移動するって手段も使えない。


道を聞くにしても、見た目が化粧や服装から女の子にしか見えないが、だが男だ。

声を掛けた瞬間にバレて、変態扱いされるのは遠慮したい。

それに、万が一駅までたどり着けたとしても、電車に乗るお金も無いため、八方ふさがりである。



「はぁ、どうしよう……」



俺がトボトボと知らない道を歩いていると、沢山の人が集まっているのが見えた。

何だろうと見て見ると、どうやら何かの撮影をしているみたいだ。

興味を覚えた俺は、気分転換を兼ねて見学していくことにした。



「あれは、俳優の『吉田 翔』じゃん!! こんな所で会えるなんてすげーラッキー! まぁ、ここが何処なのかは知らんがな。」



『吉田 翔』は今人気No.1の俳優で色んなCMやドラマに出演しており、昨年の主演男優賞を受賞したほどの実力者だ。

もちろん女性に大人気で、ウチのねーちゃん達も大ファンだ。よく一緒にドラマを見せられていた。

俺? 俺的にはカッコイイ人だとは思うが、まぁ男だし、憧れてはいるが、その程度だ。



「それにしても何か問題でも有ったのかな?」



スタッフらしき人達が慌てているのが見えた。



「まだ来ないのか!」


「すいません! 何度も連絡したのですが、電話が繋がらなくて!」


「言い訳は要らん! 早く何とかしろ!」


「は、はい!」



どうやら出演者の誰かが遅刻しているみたいだ。他人事だが、ご愁傷様だな。

30分ほどしてまた動きが有った。



「吉田さん、すいません!」


「どうした?」


「共演予定の子が逃げました。」


「逃げた? 何でまた。」


「新人の子だったんですが、どうやらプレッシャーに負けたみたいで……その……すいません。」


「いや、君のせいじゃないよ。代役は用意出来るのかい?」


「それが……監督のお眼鏡に叶う様な子が居なかったらしく、今回の子も時間の関係で無理無理妥協しただけらしいんですよ。なのでまだ代役を見つけることが出来ていません。」


「仕方ないね。なら今回の仕事はキャンセルになるのかな。」


「申し訳有りませんでした。」



なるほど、役者ってのも大変だな。ま、俺には関係無いけどな。

興味が有ったから待ってたけど、撮影が無いのならここに居ても仕方ない。俺はこの場を離れることにした。



ぼふっ!



「あっ、ごめんなさい。」


「いや、こっちこそすまんね。」



振り返った瞬間、たまたま後ろに居た男性にぶつかってしまい、条件反射で謝ってしまった。

ヤバイ! 俺は今、女装中だった! 男だと気づかれる前に逃げよう!



ペコリ。



俺は頭を下げて、この場を離れることにした。



「君!」



ガシッ!



男性に腕を掴まれてしまった。



「っ!」



一瞬声が出そうになったが、何とか耐える。

とりあえず話して貰おうと掴まれた腕を引っぱると、掴んでいた手を放してくれた。今だ!



ガシッ!



と思ったが、今度は両手で両肩をしっかりと掴まれてしまった。勘弁してくれ~



「君、CMに出てみないか?」


「はい?」


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