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Episode1・(Misaki. Waka Side)

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特に変わりはありませんが、

当初書き始めた私の致命的なミスを新装版では

訂正させて下さいませ。


そしてタイトルを廃止し、(〇〇Side)と

登場人物の視点のみ表記させて頂きます。

この物語は感情論が濃ゆい故に、タイトルの言葉で

縛り付けていいものか、と考えた末のものです。


混乱を招く結果となり申し訳御座いません。

ご理解いただけると幸いです。



______大学キャンバス、講義室。




 彼女は、ぼんやりと空を見詰めていた。

青色のキャンバスに浮かんだ、ふわふわとした白色のコントラストの雲は優雅に泳いでいる。


空は良い。

何事も囚われずまるで、

自由気ままに息が出来て感情を現せる様に見えるから

それを思うと少し羨ましく映った。


窓際に座る少女は、

片手で頬杖を着きつつ、空をぼんやりと見ていた。

だが不意に肩を叩かれて、あっさりと現実へ我に返った。






「和歌?」


「………あ、おはよう」


彼女は、そう呼ばれると振り向いて微笑した。




 彼女の目の前に居るのは、千歳美岬ちとせみさき

国会議員・千歳 賢一の一人娘で、資産家の財閥令嬢でもある。


父親の名前は言わずもがな有名であり、一人娘である彼女自身も一目置かれる存在で、彼女も名前も名高い。

 

美岬はお洒落やメイクには、とても敏感だ。


事実、美岬が同じ服を着ているのは見たことがない。


毎日、とっかえひっかえにお洒落やメイクを楽しんでいる。






現に彼女の着ている

様々なカットフルーツ柄があしらわれた、

ピンク色の有名ブランドのワンピースは新作のものだ。


同じく新作のゴールドピンクのアイシャドウに、

ほんのりと色付くサクラピンクのチーク。チェリーレッドのリップ。

ベージュブラウンの髪は丁重に三つ編みに、

そしてヘアアレンジされた二つ結びに結われた髪型。



女の子としての装備を完全に施している美岬。

その美容の知識と努力はきっと誰も敵わないだろう。




彼女自身、小柄で愛らしい容姿に相まって、

そのワンピースもメイクもとても似合っている。

親の存在が知名度が高く名高いせいで

何処か敬遠されがちだけれども、

美岬自身、あまり“国会議員の娘”という圧のある印象は感じさせない。


 それはその小動物の様な容姿と

人懐っこく明るく愛嬌のある性格であるせいか。

きっと親の存在感を隠していたとして、

一見見れば、今時のキラキラとした普通と変わらない女の子だ。


「そのワンピース、可愛いね」

「これ? あるデザイナーの新作の展示会に一目惚れした服なの。

予約して早くこないかな、って待ち望んでいて昨日、届いたのよ」

「良かったね」

「ありがと」


美岬は、微笑んだ。


その微笑みは、

まるで気高い華が開花した様な明るい笑みだった。

国会議員の娘という令嬢の気品を時折に感じさせながら、

圧は感じられないのはその幼い顔立ちせいか。




美岬は可愛いから、何を着ても似合うね」


「そうかしら?」




美岬がそう告げた瞬間、授業を知らせるチャイムが鳴った。

和歌と隣り合わせに美岬は座りノートを出している中で、

ちらりと美岬は彼女を盗み見た。






彼女、

水瀬和歌(みなせわか)とは、

大学生のある時期からの付き合いだ。

さらりとあしらう和歌に、美岬は思った。


手入れされハーフアップに纏められたさらさらのストレートの黒髪。


襟には刺繍があしらわれたアイボリーのブラウスに

グレーのジャンパースカート。

飾らないその清楚な雰囲気と落ち着いた顔立ちは端正に整っていて惹かれてしまう程に神秘的で、大人っぽく美人だ。




その飾らない自然美が、彼女の魅力の一つなのだろう。

けれど、和歌自身はそれに気付いていない。

自分自身の事には酷く無感心のようだ。


(和歌の方だって似合っているのに)



家に帰ると、美岬は自室のベッドに座った。


これから”ある支度”をしなくてはならない。

否、此方が本当の自分自身というべきか。



フルーツ柄のワンピースから、

露出度が高いノースリーブのボディラインを強調する

マゼンダのマーメイドワンピースに着替えた。

一度クレンジング洗顔しメイクを落としてから、一からメイクをし直す。


“これから”のメイクはかなり入念だ。

1ミリも手が抜けない。アイラインは強めに引いてメイクは濃いめに。

子供っぽい自分自身の雰囲気を大人っぽくさせる。




美岬の顔立ちは

幼くあどけなさが抜けない顔立ちなのでそれを隠し

大人っぽく見られる様におぼこさはなるべく無くす。

モード系メイクを数種類を使い分け、繊細に塗り重ね、大人っぽくなる様に魅せた。


アイシャドウやアイメークの線は濃く、代わりにチークは淡く。

最後に深紅色のルージュを塗って終わりだ。


髪は下ろし巻き髪にふんわりと巻いて

サイドで集め胸の前に下ろした。

シースルーバングだった前髪は無くして、ワンレングスにした。


(これでいいわよね?)


あの童顔は打ち消され、鏡に写る偽物は

大人の雰囲気を纏う鮮やかな女性を魅せた。

 




化粧台の鏡に写る自分自身を見詰めてから、納得した。

何処かあどけなさが抜けない大人な女性が鏡に写っている。

ワンピースもヘアメイクも完璧にばっちり決まっている。




ヘアメイクを終えた頃、手許にある携帯端末が震えた。

メール欄を開いてみると、美岬の表情に笑みが生まれていく。




(………今日も、“心配”はないわね)





 繁華街にある、地下の焼肉店。

美味な味と共に、煙が漂う。




「追加にビールとサワー、それぞれ二つでよろしいですか」




焼肉屋の名前の刺繍がなされたエプロンと

白色の巾着を備えた彼女はメモを取りながら答えた。

夜の繁華街の一角ににあるこの店は、仕事帰りの


サラリーマンやOL、家族連れと大変賑わっている。

活気が増す空気に馴染んだふりをしながら、

和歌は厨房カウンターにいる店長に注文を伝えた。


 此処は女店長が、一人で切り盛りする慎ましやかな

居酒屋兼焼肉屋だ。

開店準備でアルバイト募集していると知り、和歌が乗り込んだ。

この女手一つで切り盛りしている焼肉屋に勤め始めて半年。


けれどもう、

この店の所作はとっくに慣れ親しんでいた。

次いでに言えば、

申し訳ない程に店長にも良くして貰っている。


「あ、和歌ちゃん、休憩していいよ」




男勝りな性格の

貫禄のある女店長から、微笑みつつ告げられた。

優しい笑顔がトレードマークの店長は優しく、

気遣いもすらも然り気無(さりげな)く優しい。


和歌は開店と同時に熱心に働き、

勤務態度も真面目そのもので非の打ち所がない。

けれど、若い娘故に遊びたい時もあるだろうに。


店長は健気で謙虚な和歌を見る度に、

庇護欲に駆られては

まるで娘を見守る様な気持ちに駆られてしまう。

だが彼女はそんな素振りは一切見せずに健気に謙虚に働いている。

それは、時に心配になる程に。


「でも………」

「大丈夫。気にしないでいいのよ。

もう席は満席だし、暫くオーダーはないから。


気分転換に外の空気を吸っておいで、ね?」


「………すみません。

お言葉に甘えさせて頂きます。ありがとうございます」




礼儀正しく一礼してから

ビルの地下に店を構える店の階段を上がり、地上へ路上へ出る。

空気を吸うと焼肉屋の独特の煙や匂いが

充満している場所から離れると解放感に襲われた。


夜風に吹かれ、髪が頬を撫でる。


(宣伝の為に、チラシ配りでもすれば良かったかな)


繁華街が和気わき藹々(あいあい)としていて、活気と賑わいは絶えない。

若いカップル、ホストや嬢のスカウトマン。


最初こそ、酷く怯えていた和歌だったが

もう慣れ切ってしまいこれが当然の景色の様に見えて

今でも客観視の人間観察が癖になった。


そんな中。








(…………美岬?)






視界に入った少女に、和歌は茫然自失とする。

中年の威厳のある男性が自分自身の前を横切った。

男性に驚いたのではない。その男性に腕を絡め体を寄せている、彼女の方だった。




間違いない。美岬だ。


だが昼間に見た彼女とは違い、服もメイクも派手になっている。

知り合いではないと気付かないかも知れない。だが。



(………彼女を見るのは何度目かしら……)




ただいま執筆中なのですが、

新装版では少しキャラクターの性格が

少し違ってくると思われます。

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