【追加分】時折 相談
追加分です。
分かりづらい点をまとめました。
読んで頂き有難うございます。
少しでも楽しんで頂けると嬉しいです。
「一回目の先生の人生と……。」
紅時は頭を抱えながら、呟いた。
「一回目とかでは、分かりづらいわ。秋継が逃亡した過去、投獄された過去、令和、紅隆が殺された過去と話を合わせよう。」
春が手帳を見ている。
「まず、紅隆が殺された過去の話をしましょうか……。いいかしら……。」
「構いません。紅時さんには自分が殺された記憶はないのですよね。」
「ええ、ないわ。でも、逃亡する過去では、半田を名乗る輩に電車で襲われたわ。黒幕は同一人物かしら……?」
「多分。同じです。私的に反皇子派閥の軍部だと思っています。戦時下になりそうな時期に、私を始末したいのは彼らだけでしょうから……。」
「他に紅隆を暗殺して得する人は?逃亡する過去と、投獄される過去で変わって来てる気がするわ。」
春が晴に手帳を渡した。
紅二人は考え込んだ。
「ならば、逃亡した過去で電車での輩が半田の名前を出したのは何故かしら?」
晴も手帳を見ている。
「皇も半田さんも秋さんと紅時さんの見方だったら、カモフラージュとして使われただけでは?投獄された過去では、う〜ん。少し時間と話し合いが必要ですね。纏める迄時間を下さい。」
晴が地べたに座って、手帳のページを捲った。
さらさらと書き出し、皆に聞きながら書き上げた。
下記の事柄である。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
〜紅が暗殺される過去-1903年(明治36年)〜〜〜〜〜〜
明継(26)-宮廷で働く通訳兼家庭教師
紅隆(14)-宮廷の生徒(3年間同居)佐波の双子の弟。
皇院として身分を落としている。だが、誰に
も教えず(3年間同居)←反皇関東軍部に暗
殺される。
佐波(14)-宮廷の生徒であり、第一皇子。紅隆との双子
の兄。紅隆と明継の理解者。
〜二人逃亡する過去-1903年(明治36年)〜〜〜〜〜〜〜
明継(26)-宮廷で働く通訳兼家庭教師
紅隆(14)-宮廷の生徒(3年間同居)佐波の双子の弟。
皇院として身分を落としている。
佐波(14)-宮廷の生徒であり、第一皇子。紅隆との双子
の兄。紅隆と明継の理解者。
節(26) -明継と同郷。新聞記者と名のり慶吾隊と九州
軍部に所属
修一(28)-明継と同郷。慶吾隊と関東軍部に所属。
時継(36)-明継の兄、三男。宮廷の事の責任者。佐波と
手を結び明継達の理解者。
常継(38)-明継の兄、二男。皇の警護、宮廷の警護をす
る慶吾隊の長官。皇と佐波の指示で動く。
時継と手を結び二人を逃亡させようとする。
半田 -佐波と紅隆の後見人。皇の弟。紅隆の為に皇
院制度を作る。関東軍部所属。二人を逃亡さ
せる為、指揮を取っている。
皇 -現第一皇。半田と共に二人を逃がす為、成人
の儀を早めた。
父上(50)(継一)-伊藤家当主、九州。林 修一とし生
まれ、秋継と身分を交換する。修一
として記憶を持つ。
母上(57)(時子)-伊藤家四男の母、九州。節の記憶を
持つ。
秋(47)+紅時(31)-夫妻。長男秋継を生み、伊藤家末
子として戸籍に登録する。次男
終一を生んだばかり。
啓之助(40)-伊藤家嫡男。二人が逃亡する迄、内政に
おり、戦争の動向を継一に知らせていた。
〜明継が投獄される過去-1903年(明治36年)〜〜〜〜〜
明継(26)-宮廷で働く通訳兼家庭教師
紅流(14)-宮廷の生徒(3年間同居)佐波の双子の弟。
皇院として身分を落としている。
佐波(14)-宮廷の生徒であり、第一皇子。紅隆との双子
の兄。紅隆と明継の理解者。
節(26)-新聞記者。
修一(28)-慶吾隊と関東軍部に所属。
半田 -下男に迄身分を落とされて皇に恨みを持つ。
皇院制度を作り自分も近い身分迄戻ろう
としている。皇の弟。継一(明継の生まれ変
わり)と結託し、明継と紅隆を貶める。
皇 -第一皇。理解者がいず、孤立。
母上(57)(時子)-節だか曖昧な記憶しか持っていない。
父上(48)(継一)-伊藤家当主。明継だか記憶を持って
いない。なぜが末子の明継に恨みが
ある。
啓之助 -庭師。伊藤家の長子だが、父(継一である
明継)への恨みから、関東軍部に所属し、
暗殺者なる。
〜令和〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
伊藤 秋継(26)-中学教師
時宮 紅(14) -中学生
時宮 律之(14)(佐波)-秋継が副担の中学生
伊藤 晴(14) -秋継の甥。紅と律之の同級生
田所 時子(26)(節)-秋継の妻
伊藤 時継(36)-秋継の親戚
伊藤 常継(36)-秋継の兄。晴の父
伊藤 春 -秋継と時子の子供
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「ざっと、こんな感じですか……?」
晴が手帳を手渡した。春が頷いた。紅隆と紅時が覗き込んでいる。
「解りやすいわ。」
「此れなら話しやすいわね。」
「私の知らない諜報ばかりです……。」
「まず、紅隆の暗殺を狙っていたのは、一番大きい派閥は関東軍部だけですよね。皇は関係ない。」
晴が考え込んだ。
「明継が投獄された過去では、半田さんと継一様……、多分、秋継さんが当主をしていたのだわ。節さんと結婚して、何故か末子に恨みがある。だから、逃亡する先生が許せなかったと思うの……。秋さんも過去の記憶を持って居ないから、多分、投獄された過去の継一も記憶がないし、深層心理で許せなかったのだと思うわ。半田さんも弟なのに身分が下げられた恨みが皇にあるのだわ。だから、結託して戦争の駒に利用したのだわ。」
晴が考え込んだ。
「投獄される過去の継一である明継が恨みがあるのかを調べよう。」
春が手を上げる。
「逃亡する過去では何故。修一である継一が、悪者になるよう時子に伝えたのかしら?」
「誰が悪者にならないと逃亡しなかったからではなかな?」
「そんな周りクドい事しなくても、同居したら直ぐに皇の命令で倫敦に逃がせばよかったのよ。」
「多分ですが……。皇が味方し逃亡する過去で、佐波様の皇子として影武者が必要になったのは確かです。だから、成人の儀迄は逃がせられなかった……。」
紅隆が呟くのを、晴も頷いた。
「だから、半田さんが吉野さんと中村さんを使って噂話を目の前でして明継を宮廷から遠ざけようとした。吉野さんも中村さんも婆の娘さんです。中村さんは確か、私が推薦した佐波様と紅隆の乳母になります。婆が事情を話すとは思いません。常継さんが啓吾隊の間者にしたのも、皇が打診した可能性はあります。」
「やはり皇と半田さんが逃亡の味方になったので未来が変わったのね。」
四人が頷くと、春が又手を上げる。
「でも、時子だけ逃亡する過去で、時の字が付く者が記憶を受け継ぐと言ってるわ。令和で晴も常継さんも転生してたのに、記憶が無かった。でも、紅時さんの時代では修一さんと紅時さんが記憶を持ってるのは何故?時子だけ毎回仲間外れだわ。嫌な感じだわ。」
紅時が春の頭を撫でた。
「時代だから仕方がないのよ。女性は家の事さえしてれば良いと云う考え方だったのよ。修一さんも秋さんも令和の記憶がないもの……。私は偶々、皇と半田さんが未来の話を欲したから喋れただけ、秋さんも私を嘘付きだと思わなかったのが救いね。修一さんの記憶がある継一様は、時子さんを巻き込みたがらなかったわ。」
「嫌な時代ね。」
「時子さんを蚊帳の外に出したのは、私のせいでもあるの。継を本当に明継だと確信が持てなかったから運命に任せたのよ。酷いやり方だったけど、諦めが付かなかったの……。継を手放すのが……。」
「時子が連れて行くなら運命だと決めていたのね……。紅時さんはそこまでして、逃亡する過去を作りたかったのね……。私が産まれて、令和の紅が失恋する未来でも……。」
「又、繰り返す未来等いらないと思ったのよ。」
紅時が春を抱きしめた。
「では、何故令和に転生して記憶を持つ人物と、持たない人物、転生しない人物がいるのでしょうか?」
晴が頭を抱えた。
紅隆が首を傾げながら手帳を見た。
『時間の軸が可笑しくないですか……。
〜紅隆が暗殺される過去〜
〜明継が投獄される過去〜
何かあって
〜令和〜
〜秋と紅時が産まれ、皇と半田を味方にして逃亡した過去〜
始めは、私が暗殺者されるだけだった。次に先生が投獄される迄私が生き残る過去があった。何かあって、時の字を持った記憶のある人物がれいわに産まれた。』
三人が考えた。
春が又手を上げる。
「何かって何?」
「令和の前に何かあった……。過去と相違があるもの……。イレギュラーは……。」
春を皆一斉に見た。
春は驚いた顔をした。解らなくてはにかんだ。
「紅が失恋する。明継が別の人を選んだ世界。秋継が明るいではなく、季節の秋になった世界。春が産まれる世界。紅隆はハルと云う人を聞いたことあるのか?何で過去に僕だけ逃亡に加担しなかったのか……。紅隆が明継を選ぶからだ……。」
晴が辛い顔をしている。
「春が生まれる前……。今の事かしら……。印象が産道に近いわ。」
紅隆が頷く。
『多分、今、我々がしている事が二人を逃亡させる過去に繋がっています。時折、顔を出しますから時折としましょう。
〜紅隆が暗殺される過去〜
〜明継が投獄される過去〜
〜時折〜
〜令和〜
〜秋と紅時が結婚する過去〜
〜皇と半田を味方にして二人が逃亡した過去〜
なのではないでしょうか……。』
「未来がごっちゃだわ。令和が明治より未来なのに……。」
紅時が頷いた。
「確かに、令和になって僕は女性で有りたいと思ったかな……。節さんの様に先生の隣に居たいと……。明治の時は思わなかったけど、令和で強く思った。」
「では、明治の紅隆が女性でないと可笑しくないですか?」
「紅隆は今二人いるじゃないの。紅時さんと紅隆が……。紅隆は女のコになりたいの?」
『私は女性にはなりません。むしろ、男子である事が誇りです。佐波様と兄弟で良かったです。』
晴が手帳を書き足す。
「〜紅隆が暗殺される過去〜
〜明継が投獄される過去〜
〜二人が逃亡する過去〜
〜時折〜
〜令和〜
〜秋と紅時が結婚する過去〜
〜皇と半田を味方にして二人が逃亡した過去〜
があるのではないか?」
「確かに此れならスンナリ話が入りますね。今の〜時折〜で節さんだけが記憶があるのも納得出来ます。」
「えっ。でも、時子は秋継との未来を見ていたと言っていたわよ。二人が逃亡する過去で……。だから、思い出していたのは、過去ではないわ。」
「だから、電車で先生のおかあさんは未来の話をしていたのですね。此れから戦争がどうなるか解らないとも……。未来を変えない為ではなく、記憶がないから伝えなかったと考えると納得出来ます。」
紅隆が頭を傾けた。
「では、何故。先生の母上である時子さんの〜二人が逃亡した過去〜だけ未来の記憶があるのか……。未来に行っていないのに……。」
「私もあるわ。」
春が手を上げた。
「遺伝……?未来を見る力は、受け継がれたという訳?でも、晴にはないよね?」
紅時が首を傾げた。
「見た事すらありません。」
「え……。じゃあ、何故かしら?。令和の春ちゃんと時子さんに共通する物は、何?。」
「女性ですか……?明継が関係している女性は、御祖母様と節さんと春……ちゃんである僕だけですよね。」
「それでは、令和で律之や時継さんが過去の記憶を持っている説明にはならないわ。」
紅時が又首を傾げた。
「だから、未来の記憶と過去の記憶は別物ではないか?今の時間の〜時折〜が登場するのが異常なのです。多分、〜二人が逃亡する過去〜で皇や半田さんや御祖父様や秋と紅時さんの力が無くても、父上や時継さんや修一さんや節さんの手助けだけでも逃げられる過去があったのだと思います。それが、〜逃亡する過去〜だとします。女性である人物が未来を語る事で過去を変えて行く……。最後は、皆、望んだ通りの明治時代を得られる。」
「でも、令和に転生した常継さんは、何なのよ。記憶もないし、転生したのに令和では会わなかったわよ。」
「記憶が有ることの意味は、初恋かどうか……かしら。令和では、律之は時継さんと、先生は時子さんと、常継さんと紅と晴はパートナーがいません。二人が〜逃亡した過去〜に、初恋の相手が違います……。でも、僕だけが初恋の相手である先生が居るので、出会ってから過去を思い出した。それも二回目の〜投獄される過去〜を……。皆との記憶が違う過去を思い出したのではないかしら……。」
「嘘。晴と紅が同棲してるって聞いてたわよ。パパから……。」
「晴の嘘よ。同居はしていたけど友達だったわ。」
「初恋の相手でないと駄目な理由は何なのよ。〜二人で逃げる過去〜から令和に転生した理由もわからないわよ。」
「転生している人が、先生以外で二人でもいるのかしら……。〜二人で逃亡した過去〜でも納得出来なかった人が……。」
紅隆が呟く。
『会った事は有りませんが、修一さんではありませんか……。』
紅時が驚いた。
「赤ちゃんの名前は、シュウイチにしょうと思っているの……。」
晴が嫌な顔をした。
「全部、明継叔父さんが産んだ子供ではないですか……。明継として生きるの『継』と『シュウイチ』と、令和の転生した秋継の『春』が関係してるのではないですか?全部明治に転生してるし、僕もハルで関係者ですか……。」
紅隆が頷いた。
「明治の修一と先生は男だから、過去の記憶を覚えていて、令和の春が明治では男の晴になったから未来を見られなくて……。」
「秋さんも先生も継も過去の記憶はないわ。女の私が過去を覚えているのは何故かしら……。」
『紅隆として私が居るからではありませんか……。未来が完全に一致しないのは、我々だけです。何故でしょう……。』
春が手を上げた。
「ならば、膜を開いて、見てみましょうよ。パパがループする理由と、紅隆と紅時が二人いる理由とを探してみましょうよ。」