マリア姉さんたちとの登校風景
お待たせー
「レイジくん!早く行くわよ!」
玄関からマリア姉さんの声がする。
今日から毎日一緒に登校できるからご機嫌なのだろう。
そう言う俺自身も優しくて美人なマリア姉さんと登校できるなんて嬉しい限りだ。
「ダーリン!お弁当!」
かなみさんが俺に弁当の入った巾着袋を手渡してくれる。
「ありがとう」
思ったより軽いな。
きっとサンドイッチなんだろう。
もし足りないなら学食で食べるかな。
高校の学食ってのも興味あるから楽しみだよな。
「レイジ、いってらっしゃいなのじゃ」
「旦那様、いってらっしゃいませ」
「いってらっしゃーいっ!あたしも仕事行くからな!」
三人の嫁さんに見送られて家を出るのって普通じゃないのに、何だか自然と受け入れてしまってるなあ。
「おはよ…あっ、聖母様!」
昨日初めてできた俺の友達の加藤広重がマリア姉さんを見て口を開けて固まる。
「そう呼ばれると恥ずかしいので、生徒会長でお願いします」
「あ、はい」
マリア姉さんを前にガチガチに緊張している広重。
「実は俺の姉なんだ」
「義理の?」
「似てないけど、実の姉だ」
義理だったら毎日ドキドキして心臓止まるぞ。
血がつながっているから達観して接していられるんだからな。
「じゃあ3人で登校しようか」
俺を真ん中にして、右にマリア姉さん、左に広重が陣取って歩く。
「広重は昨日のホームルーム終わってからすぐ帰ったのか?」
「いや、部活の見学に行ってた」
「出くわさなかったな」
「俺はサッカー部しか見てないからな」
「え?サッカー部には入らないんじゃなかったのか?」
「いや、実はホームルームのあとで職員室に呼び出されてな。女子サッカー部に入って部員を鍛えてほしいって頼まれたんだ」
「まさかスポーツ推薦はコーチとして合格してたのか」
「みたいだね」
広重はイケメンだし性格もいいから女子サッカー部員がすごくやる気を出しそうだよな。
「それよりレイジは昨日大丈夫だったのか?神谷先生に生徒指導室に連れていかれたんだろ?」
うっ。
思い出したくないことを思い出してしまった。
「ここの生徒指導室の中って防音の懺悔室なんだろ?」
防音なのかよ。
もし同じ部屋に来られたら本気で危険だったな。
「あんな美人の先生と二人きりとかドキドキしたんじゃ…してなさそうだな。免疫ありそうだし」
とマリア姉さんを見て嘆息する広重。
「レイジくん。どうして生徒指導室に呼ばれたのかしら?」
「ちょっとホームルームの最中に他の人とRINEで話してて」
「レイジくん、先生の話は真面目に聞かないと、メッ、だからね」
すっと指を俺の前に突き出してくるマリア姉さん。
ま、まさか?!
「でこぴーん」
ゴオオーン!
ものすごい音がして風が唸り、衝撃で俺はのけぞる。
「これから気を付けるのよ」
「あ、うん」
「ちょっと!今の何?!」
広重が驚いているから説明しないといけないな。
「今のはデコピンだよ」
「何だかすごい音がしたんだけど」
「指先の速さが音速超えてるからね」
「そんなデコピン喰らったら死んじゃわない?!」
「大丈夫、触れてないから」
俺にけがをさせたくないからと、優しいマリア姉さんが生み出した『マッハデコピン』。
その衝撃波しか当たらないから傷もつかない。
「…というわけなんだ」
「君たち姉弟は色々規格外なんだね」
速さのマリア姉さん、力の俺、技のカレンって感じだよな。
しばらく行くとバス停に天竜院はやてが待っていた。
「やあ、レイジ!」
「はやて!今着いたところなのか?」
「いや、レイジを待っていたんだ。おや?今日はお姉さんの他にもう一人いるんだね」
「同じクラスの天竜院はやてくんだね!俺は」
「加藤広重君だよね。君もレイジの友達?」
「そうだよ」
「じゃあ、ボクたちも友達でいいよね」
「そうだな。じゃあはやてって呼ぶよ」
「よろしくね、広重!」
おお、友達が同士が仲良くなってくれたぞ。
このまま自力で友達100人目指せるかも!
「今日から授業だから、授業を受けつつ『漢部』の顧問の先生を吟味しないとね」
「男部?」
「漢字の漢という字を使った『漢部』だよ。レイジとボクとで作るんだ」
「何の部活なんだい?」
「レイジくんみたいに漢らしいことをしていこうって部活だよ」
改めて説明されると照れくさすぎるんだが。
「なるほど!それはいい部活だ。俺も昨日、他校の生徒たちに絡まれていたところをレイジに助けてもらったんだよ」
「レイジってそういうのを打算なくできるところがいいんだよねー」
「すまん、恥ずかしくて死にそうだからもうやめてくれ」
ほめ殺しってやつだ。
「レイジくんえらいっ!また人助けしてたのね!よしよし」
なでなでなでなで
マリア姉さんの優しいなでなでに癒される俺。
「いいなあ。ボクも優しく撫でてくれるお姉さんがほしいなあ」
「それならレイジくんとお友達になってくれたお礼に撫でてあげるわ」
なでなでなでなで
「はううう。これは心地いいいいいいい」
はやてがふにゃふにゃになってしまった。
「次は広重くんね」
「だっ、駄目ですっ!遠慮しますっ!」
俺の後ろに隠れる広重。
「どうしたんだ?」
「生徒会長に撫でられたらたぶんそのまま昇天するから」
「広重ってイケメンなのに女性免疫無いのか?」
「生徒会長は女性とかそういうレベルじゃなくて…女神?」
確かにそうかもしれない。
聖母の微笑みと芸術作品のようなプロポーションだもんな。
マリア姉さんが俺より強くなかったら、いつ危ない目に遭うかわからなくて目が離せない所だよ。
学校に到着するまでに俺たちはものすごく視線を集めていた。
聖母と言われる生徒会長のマリア姉さん。
イケメンの広重。
中性的な美少年のはやて。
「…に野獣が一緒に居るんだな」
と誰かがつぶやいた。
野獣って言うな!
「誰と誰を組み合わせたい?」
「それはもちろん聖母様は実は女性だったはやて様とでカップリングして…」
「あとの二人はどっちが受けかな?」
おいコラ腐女子ども、街灯にぶら下げるぞ。
ピロン
ん?
明日香『おはよう。今、あなたの後ろに居るわ』
メリーさんかっ!
振り向くと合気道部の部長、永見明日香先輩が立っていた。
「明日香先輩、おはようございます」
「おはよう。先輩って言われるよりはちゃんと名前で呼んでほしいのだが。やはり妻としてもごっ」
先輩の口を慌てて手でふさいだけど、ちょっと遅かったかも。
「ねえねえ、レイジ」
「ん?はやて、どうした?」
「レイジの手のひら、何か臭わない?」
「何だって?!」
しまった、臭い掌で明日香先輩の口をふさいでしまったのか?!
俺は明日香先輩に押し付けた自分の手のひらの匂いをくんくんと嗅ぐ。
「えーい」
べちゅっ
はやてがいきなり俺の手の甲を叩いて、俺の手のひらが口にぶつかる。
「おいっ、いきなりなにするんだよ」
「えへへ。これで先輩とレイジとで間接キスだよね?」
「へ?」
「え?」
まぬけな声をあげてから俺と明日香先輩は顔を見合わせる。
「ま、まさか君は最初からそれが目的で私の口を押えたのか?!」
「そんなわけないです!」
「そうです!そのつもりならレイジは先輩の口を口でふさいでます!」
「ま゛っ」
はやてにそう言われた明日香先輩は真っ赤になって走り去ってしまった。
「ぬふふ、明日香先輩って部活では格好いいのに、こういう時は可愛いねえ」
はやてがすごく楽しそうだからつい俺も笑ってしまう。
教室に入って席に着くと、夕菜の席に男子生徒が群がっていた。
「朝霧さん!ぜひお昼ご飯は一緒に食べましょう!」
「朝霧、俺と一緒にランチしないか?」
「朝霧さんは俺と一緒だよな?」
うわあ、モテモテだな。
まだ巻物では確定になってないけど、夕菜も俺の嫁という自覚があるみたいだから追っ払うか。
『そろそろホームルームが始まるから帰ってもらえるかな?』
うん、無難にこれくらいでいいだろう。
「なあ、いいだろ?!」
ガシッと夕菜の手を握る男子生徒。
「きゃあっ!」
俺はすかさずそいつの腕を強く握ってはずさせる。
「やめろ」
「いだだっ!何しやがる!」
「げっ!狂犬!」
「孤狼の綿山かっ?!」
狂犬っていうあだ名もあったけど狂犬病みたいだからやめてほしい。
「そんなに彼女とお昼を一緒にしたいなら、俺も含めて全員で食べるか?」
「そうね。私も綿山君が一緒なら安心だから、それでもいいわよ」
「お、俺はやめとく」
「二人っきりじゃないと意味ないじゃないか」
「ホームルーム始まるからそろそろ戻らないと」
男子生徒たちはそそくさと教室を出て行く。
「ありがとうね、綿山君」
夕菜の微笑みを見ていると、本当にこんな美少女が俺の嫁でいいのかなんて思ってしまう。
「お昼はお弁当なの?」
「ああ」
「じゃあ、中庭で一緒に食べましょうか?」
「え?」
「だって、一緒に食べてくれるのでしょう?」
「ちょっと夕菜!もちろん私も一緒よね?」
俺を挟んで反対側の席の瑠璃が食い気味に言ってくる。
「いいけど…」
あまり乗り気でなさあそうな夕菜。
まだお互いが俺の嫁だってこと知らないからだろうな。
とにかく二人とも俺の嫁だと説明するにしても、さすがに人目があるところでは無理だよなあ。
どこかいい場所ないかな?
ピロン
マリア『困った時は生徒会室を使っていいからね』
え?
教室の外を見ると、マリア姉さんが笑顔で手を振っている。
そこで俺は1限目の授業が終わってから生徒会室に夕菜と瑠璃を呼び出した。
「えっ?瑠璃?」
「夕菜も呼ばれたの?」
さあ、今から俺は二人に真実を告げないといけない。
二人とも俺の嫁だということ。
そして、俺には100人の嫁ができる予定だということを。
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