そして過去へ…過去へ?
恋愛もののはずがファンタジーからバトルものに?!
いえ、あくまで恋愛ものです。
そして俺は過去へと飛ばされたのだった…はずだったがそうはならなかった。
『な、なぜ過去に飛ばないの?!』
今授業中なんで、あとで。
『私の力に逆らったというの?!いったいどうやって?!』
ちょっと踏ん張ってみた。
『そんな馬鹿なっ!』
というか、さっきから頭の中に話しかけてきてるあなたって誰なのさ?
『私は女神ロリーナ。若くして死んだ少女たちを来世へと導く女神』
そんな女神様居るんだ。
『稲荷大神である永遠様にあなたのことを紹介された』
久遠のお母さんって大神って付くくらいすごい神様だったのか。
『強い無念を抱いて死んだ少女は魂を時の輪の中に閉じ込めてしまう。そこから彼女を助け出してほしい』
それって、例えばジャンヌダルクとかもそうなの?
『ああ、ジャンヌ!彼女も私が助けられなかった少女のひとり!』
で、どうしたらそういう人は助けられるの?
『過去に行って、死ぬ前に救い出してください』
タイムパラドックスとか大丈夫なの?
『死ぬタイミングで助ければ…たぶん』
たぶんって…不安だな。
で、ちゃんと戻ってこられるの?
『今から行って1秒後に戻ってこれるわ』
つまり過去で時間を過ごしても、ここではほぼ時間が経たないってことか。
『そうよ。では、お願いしますね』
俺は過去に…飛ばない。
『どうしてまた踏ん張ってるのよっ!そもそも時空間移動に対して抵抗するとか何者なの?!どうして抵抗するの?!』
まったく無計画で行ってどうするの?
過去に送れる人を紹介されたからってあせってない?
『う、どうしてそんなことわかるのよ』
俺がそうだからだよ。
過去に戻って助けられるならすぐにでも助けてあげたい。
だから一刻も早く行きたいと思うよ。
でも、俺なんかが行ったところで助けられるかどうかわからないじゃないか。
『やってみないとわからないじゃないの』
それは俺の流儀じゃないんだ。
目の前で起こっていることならすぐに手を出してしまうけど、計画を練れるものならきちんと練ってから行かないと。
『単なる力だけの馬鹿じゃないのね』
ひどい言われようだな。
それに過去なんだから、急がなくてもいいだろ?
どうやって助けるのがいいか、久遠や俺の嫁たちに聞いてからにするよ。
そして帰宅してからリビングに全員集合した。
久遠
フィーネ・ド・エルキュリア
駒井坂かなみ
朝霧夕菜
本田瑠璃
以上が現時点で妻と互いに確認できた5人だ。
合気道部の部長である永見明日香先輩や担任の神谷晶先生も妻としての自覚はあるのだけど、きちんと確認が取れていない状態なのでここには居ない。
「というわけで、連れてきたよ、アニキ!」
「お、お邪魔する」
『というわけで』って俺の心の声を聞いていたかのように妹のカレンが明日香先輩を連れてきてくれた。
「わ…私もいいのだな?」
この面々の中で自分が妻になれるか不安に思っているのだろうか?
明日香先輩は部活の時とは違ってオドオドとしていた。
「もちろんです」
「そ、それなら!」
すとんとリビングの絨毯に正座する明日香先輩。
「不肖、永見明日香。あなた様の妻として誠心誠意尽くす所存にございます」
そう言って三つ指ついて頭を下げてくる。
「あっ、うん」
俺も慌てて目の前に正座すると頭を下げる。
「こちらこそよろしくお願い申し上げ奉りまする」
つい明日香先輩みたいな口調になってしまった。
リビングの机に置いてある巻物が光ったから明日香先輩の名前が6番目に確定したのだろう。
「私も連れて来たわよ」
「失礼するわ」
「えええっ?!」
マリア姉さんが連れて来たのは担任の神谷晶先生だった。
そして正座している俺の前、明日香先輩の隣に並んで正座する。
「レイジ様。私をどうか、はあ、はあ」
またいつものように息が荒くなっていく晶先生。
「あなたの妻として、はあはあ、永遠の僕として、お仕えさせてください」
「よろしくお願いします」
とんでもないことを言ってるのはわかったけど、それを含めて受け入れないと。
だって100人も嫁ができるなら、このくらいのことは序の口だと思うからね。
「ではさっそく今から過去に飛んで『赤羽幻斎』を救いに行くための会議をするのじゃ!」
久遠主導で会議が始まる。
「過去に飛ぶとか、誰も不思議に思わないの?」
「ここに神様やエルフが居るのに、今更だよアニキ」
それもそうか。
「若くして非業の死を遂げた者の魂はその場にとどまり、輪廻転生を行えずに永遠の苦しみを味わうことがあるのじゃ」
「ということは、今もその場所で苦しんでいるのかしら?」
「マリア義姉上、そうではないのじゃ。その時代に、その時間に取り残されてしまうのじゃ」
「時間に取り残されているのに苦しみ続けるの?」
「そこは3次元人である人間には理解しづらい所かもしれないのじゃが…」
「つまり魂がその時空間に残留することによって自分の意識を保持するだけの独自の時空間を作り出して、そこで『時の輪状態』で抜け出せない苦しみを味わうのですわね?」
フィーネがさらさらと説明してくれるが、久遠以外の頭の上にはてなマークが浮かんでいる気がする。
「とにかく、抜け出せないなら引っ張り出してやればいいんだな?」
「かなみよ。魂を助けるのではなく、死ぬ前に救い出すのじゃ」
「ところで俺って過去に行けるらしいけど…なんで?」
「それはレイジが『100人の嫁を取るのにふさわしい男』だからじゃ」
どういうこと?
「今日、夕菜と瑠璃を嫁だと宣言した時に誰も異論を唱えなかったじゃろう?それはレイジが『それができて当然の者』であるからなのじゃ」
「つまり、それだけの『資質』があるってこと?」
「どうして私めがレイジ様を『神』と呼ぶかわかられませんか?」
「『神と僕プレイ』をするためじゃなくて?」
「「「「「ぶっ」」」」」
あっ、ウケた。
「違います。レイジ様は神の如き神々しさを持っておられるのですわ」
「え?」
振り向くが何も見えない。
「アニキ、振り向いたって自分の『後光』」は見えないし、そもそも実際に光ってないからね」
カレンにあきれられてしまった。
「いえ、エルフである私や晶先生なら旦那様の『輝くオーラ』を見ることができますわ」
「えー、いいなあ。私もアニキが光ってるところ見たいのに」
自分でも気になるけど見えないんだよなあ。
「それでじゃの、レイジにはあらゆる事象に対応できる体質になったのじゃ」
「それの何がすごいのかいまいちピンと来ないな」
「例えば、種族などあらゆる『壁』を超えて子供が作れるのじゃ」
「は?」
今なんと?
「つまりじゃの。わらわのような神やエルフや血のつな…もごっ」
急にマリア姉さんに口をふさがれる久遠。
「とにかく、どんな相手とも『子作り』ができるのよ」
「そ、そういうことなのじゃ」
結局子供100人はできるんだな。
でも、せめて大学を卒業してからじゃないと駄目だよな。
「すると、過去に行けるのは俺だけ?」
「神であるわらわも行けるのじゃが、ここの稲荷神をしておるから留守にはできないのじゃ」
「フィーネは?」
「わたくしはおそらく大丈夫と思いますが…確証はありませんわ」
フィーネで駄目ならみんな駄目なのでは?
「しかし心配は無用なのじゃ!レイジの『細胞』を取り込むことで一時的に同じ体質になれるのじゃ!」
「細胞を取り込むって何?」
「あっ」
「はう」
「はわわわ」
次々とみんなの顔が赤くなっていく。
ま、まさか?!
「キスをしろってこと?!」
どどどどどどどっ
まるで吉木親喜劇のように一斉にコケる嫁たち。
「唾液には俺の細胞が含まれているからな」
「確かにそうですけど…」
「旦那様は鈍感系だったのですわね」
「あたしはもう『アレ』しか思い浮かばなかったのが恥ずかしいぜ!」
いや実際は俺も思い浮かべたけど言えないだろ、『その行為』は。
「過去に行くという理由でキスをするとか…できれば私はもっと雰囲気のある所で体験したいのだが」
「明日香先輩の言うとおりね。私もそうしてほしいわ。ね、瑠璃」
「そうね、夕菜」
だよねえ。
俺も義務的なキスとかは遠慮したい。
「それならいい考えがあるわ」
そう言って部屋を出て行った晶先生。
どこに行くんだろ?
20分後。
先生がスーパーの袋を下げて帰ってきた。
「これを使うのよ」
そう言ってテーブルに並べられたのはコッペパンとブドウジュースだった。
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