冒険者登録 #2
「(なぁ、全知全能?)」
《はい?》
「(大丈夫何だよな?)」
《はい。きっと》
「(きっとって何だよ!不安になるだろ!!)」
「あの……」
「はい?」
不安になりながらもカウンターのお姉さんに返事を返す
「偽装……してませんよね?」
「は?」
お姉さんから意外な返事を返されたとたん、右の頬がピクピクと動くのがわかった
「(おい、全知全能)」
《何でしょう??》
「(疑われてるぞ)」
《それはそうでしょう》
「(どういう事だよ?)」
《ランクはFのクセにクラスはSなんですから。Sクラスなんて、Bランクにいるかいないかぐらいの強さなんですよ。しかもFは少年冒険者程度ですから》
「(大丈夫つったの誰だよ)」
《私ですね。》
「偽装しているなら今すぐにといた方がいいですよでなければ兵を呼びますから。」
「わかったわかった、今すぐ偽装とくから」
そう言ってまたその上から隠蔽魔法をかける
「(えっと……クラスはOにして、ランクはDにっと、コレで大丈夫だろう。能力的には……大丈夫だろ、たぶん)」
「出来ましたか?」
「今解きます。(隠蔽!)」
スゥ、と小さく光り、ステータスが置き換わる
「……大丈夫ですね、釣り合いも取れています。次からは偽装なんてしないでくださいね!」
「ハイハイ、そうしますよ〜」
って言ってるけどコレも偽装してるんだよなぁ〜
「あっ、それと試験は明日の午前からその三日後の午前まで続くので遅刻しないで下さいね〜!」
「はぁ〜い」
そう言ってその場を立ち去り、大きな門を出ていく
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
《大きなため息ですね。幸せが逃げていきますよ。あと周りの人も》
「俺の口臭はそんなにヤバくない」
そして周りを見回して見るが、たくさんの人が俺を避けるように通っていくのが分かった
「なぁ、全知全能?この世界に口臭ケアの道具ってあるかな?」
《ありません》
「そうですか……」
少量の涙を流しながら大通りをトボトボと歩く
「レベルでも上げに行くか」
《魔物を倒すのならアイラ森林へと行くのが良いでしょう》
「アイラ森林?」
そう言って人気のない路地へと進む。
「ワールドマップ……あぁここか、結構近いな」
《近いですし、奥に行けば強い魔物もいるので良い狩場となるでしょう》
「じゃぁ、今からそこに……」
森林へ向かおうと思い、転移魔法を使おうと右手を伸ばすと路地のさらに先の方で悲鳴が聞こえてくる。
「助けて!誰か!」
「黙れやオラァ!じっとしてねぇとぶっ殺すぞ!」
「……女が1人と男が5人か、どうすればいいと思う?」
《私は……助けない方がいいと思います。》
「何故だ?」
《奴ら人間はいつか殺される身。生かしておかなくてもいいでしょう》
「そうか。だが、俺はお前ほど鬼じゃないんだ」
《それはどういう……?》
「契約しだいでは、助けてやらんでもない」
そう言って俺は囚われている女と5人の男の方へと向かった