魔王城#3
スピードの魔将のスピールを倒した後、豪腕の魔将のゴウゴーデンもカインに倒してもらった。
『アバラを砕き、心臓を半壊させ、肝臓を破壊しました。』
「うえ〜」
『相手の力を利用した術です。』
「へぇ……」
『そんな事より、早く行きましょう。魔王が待っていますよ。』
「そうだな。」
今までのとは明らかに違う気迫を持った門を両手で押し込む。
長いレッドカーペットの先で、邪悪な覇気をまとった魔王が玉座の上に座っていた。
「よくぞ来たな。勇……」
「すまないが、俺は勇者ではない。」
自分が喋っているのにもかかわらずに被せて言ったからだろうか?黒い面の下で眉間にシワを寄せているのが見てわかった。
「どういう事だ?勇者で無いのならば一体何をしに来たのだ?」
「ついでに言うと俺はお前を倒しに来た訳でもない」
「ならばなおさら何をしに来たというのだ!?」
「俺は……魔王になりに来た!(エコー×3)」
「クックック……フハハハッ!何を言うのかと思えば、魔王になりに来ただと!?」
しばらく下を向いて笑っていた魔王が俺に目線を合わせると、まるで凍るような目付きをして言う
「笑わせるな」
「………!」
「人間ごときが魔王になる!?私の代わりに!?お前ら人間ごときが……私に勝るとでも思っているのか!?」
魔王の気迫が一気に上がる。邪悪な覇気をまとった魔王が……なんてこと言っていたが、本当にこんな邪悪な覇気をまとっているのが分かるなんて……
『主人……』
「なんだ?」
『彼、とてつもなく強いです。』
「あぁ、見りゃわかる」
『私が倒された時はよろしくお願いします。』
「もちろんだ。」
『心強いです。』
魔王の気迫に押しつぶされそうになりながらカインは立ち上がる。
「ほう……なかなかやるではないか」
『ご命令とあらば、容易いことです。』
「私と勝負しようと?」
『もちろん』
「フン。ガキが……舐めた真似をしおって」
『はァっ!』
右手で拳を作り、魔王に殴り掛かる。
「いい拳だ。名は?」
『名はない。でも皆からはカインって呼ばれてるよ』
「カイン……カインか。私の名にかけて、お前の名を覚えておくとしよう。そしてさらばだ、戦友、カインよ。」
魔王が右手を横に振り抜くと、カインの首が弾け飛ぶ。そしてそのままカインは砂になって消えてしまった。
「召喚主よ。残るはお前だけだ。降参するなら今しかないぞ」
「降参?そんな事する訳ないだろう」
「まだあると言うのか?」
「もちろん」
『SCP-682、クソトカゲ』
「クソトカゲ……?」
『グ……グォォォォ……』
魔法陣の中から巨大なクソトカゲが出てくる。
「醜いな」
「そうかもしれないけどコイツ、絶対に遭遇したくないリストに結構デカデカと載ってんだぜ?」
「……言葉の意味は分からんが、コイツは結構強いということか?」
「もちろん」
『グォォォォ……グァァァァ………』
「クソトカゲ、アイツを倒してくれ」
そう言うとしばらく魔王と目を合わせて突進する
『グァァァァ!!』
『破壊魔法、身体破壊』
そう魔王が唱えると、クソトカゲがあっという間に消えてしまった。
「やっぱりコイツじゃダメだったか」
「まるでコイツよりも強いやつが居るような言い草だな」
「だってそうなんだもんな」
クソトカゲよりも強く、この魔王よりも強い存在ならば山ほどいる。でも人選を誤ってしまえばこの世界を破壊してしまうことになる。
「アイツなら大丈夫……だよな?」
「なんの話だ?」
『SCP-001、ゲートガーディアン』
そう唱えるといきなり大きな魔法陣が飛び出し、そこから大きな人型の……いや、神のようなSCPが出てくる。
「な、なんなんだ?コイツは……!」
「あぁ、すげーよ……こんなやつ、一体誰が考えたんだよ……、ゲートガーディアン、アイツを倒して欲しい」
するとゲートガーディアンは持っていた剣で魔王に斬りかかる
「う、うォォォォォ……!」
太陽と同じ熱さの剣が魔王にダメージを与え、最終的に……
「うぐっ!」
魔王の体を真っ二つに切り裂く。
「安心しろ魔王」
そして俺は玉座に座る。
「今から俺は新の魔王になるのだから」
魔王城に来て少なくとも一日でこの魔王城を侵略する事に成功した。
「てか、ゲートガーディアンじゃなくても良かったかもしれない明らかにオーバーキルだよな?コレ」
ゲートガーディアンによる一撃で砕け散った床と魔王の仮面とローブの方に目を向ける。「うわぁ……」と口にしたところで『ピコン!』という跳ねるような音が聞こえてくる
「コレは……ステータス」
『ヴヴン……』
低い音を立ててステータスが開く
「やっぱり……この音は何かをゲットした時に出る音なんだな」
ステータスの上に『魔帝王を倒したことにより、[世界の救世主][世界の覇者][最強召喚者][最強勇者]の称号を得ました。』というのと、
『魔帝王を倒したことにより、[柔術[帝王級]][体術[帝王級]][剣技[帝王級]][剣術[帝王級]][魔法[帝王級]][魔術[帝王級]][銃術[帝王級]][弓術[帝王級]][全魔法[帝王級]]付属して、[超成長][鑑定眼[帝王級]][超速回復][即時魔力回復]のスキルを得ました。』というのがステータスの上に被さっていた
「すげー……アイツ魔帝王って言うんだな、てかもうコレチーターの域に入ってんじゃないのか?鑑定眼……アレに使ってみるか」
そう言って魔王の使っていた仮面を手に取る
「鑑定眼」
そう言うと薄水色の板が出てくる
……
魔帝王の仮面 S級
効果:
認識阻害 五感の覚醒 第六感の覚醒
自動鑑定 痛覚の阻害 感覚共有
殺気感知 危機感知 読心
……
魔帝王のローブ S級
効果:
素早さアップ 体力アップ 腕力アップ
自動治療 自動回復 自動魔力回復
HP増幅 月光吸収 精神力アップ
……
「すっげ……」
この装備だけで最強スキルはほぼゲットできる。剣技、剣術のスキルも持っているし、全魔法のスキルも持っているから遠距離、近距離、中距離の攻撃にも対応できる。コレは最強と言いようがない。
「装着……してみるか」
仮面を填めた途端、体が一気に軽くなり、心臓の鼓動が増していくのがわかった
「す……っげぇ!なんか……なんかうずうずしてたまらない!心身が……高揚している!仮面を装着しただけでこんなにも実感を得られるのかぁ……うはははっハハハ……!いけない、装備に飲み込まれるな、俺!」
効果の下にあったじゃないか!注意書き!
……
※強力な装備であればあるほど、装備を装着した時の反動は強く、飲み込まれる人間が多い。
……
「あっっっぶねぇぇぇ……」
そしてローブを身に着ける
ローブに精神力アップの付与がかかっているからだろうか、さっきまであった高揚が消し去った
「……ふぅ、この仮面とローブの組み合わせはバツグンだな、次からはローブから身に付けるようにしよう……」
そして仮面に付与されていた、感覚共有をアベルに使ってみる。
「おぉ……」
そこにはアベルの視界に写っている物がはっきりと見えた
「アベルのやつ、まだ戦っていたのか……なぁ?全知全能?」
《何でしょう?》
「アベルのとこに行けるような魔法ってある?」
《あります。まず、ワープ魔法と転移魔法ですが、コレは完全に記憶便りのもの。あなたには向いていないでしょう。あなたに向いているとすれば……そうですね、1度行ったところを想像するだけで行ける空間魔法がいいでしょう。》
「なるほど、サンキュ!」
《はい。こちらこそ。》
「なんだ?なんかやけに姿勢正しいような……」
《要らないことは言わずに早く進んだらどうですか?》
「うん〜?あれ?おっかしいな〜?右手に拳が〜!」
《面白くないです。》
「あぁ〜!あぁ〜!!うるせぇうるっせぇ!……はぁ、空間魔法」
『シュゥゥゥゥ……』
白い煙を出して、ひとつの空間が開かれる。それをくぐるとそこには戦っているアベルの姿があった。
「おぉー、戦ってる戦ってるー!」
『シュ、主人……?』
「なんだ、お前も喋れたのか……っと、その前に」
大きく息を吸って肺に空気を溜め込み、大きな声で叫ぶ
「皆!ここの魔帝王は俺が倒した!そしてこの魔王城は俺が侵略した!私の配下に加わるか!ここで死ぬのか!……選べ」
すると迷いもなく魔族達は襲いかかってくる
『SCP-2200』
そう唱えると体の前に青色に発光する剣が現れた。
「俺は召喚主だからコイツは俺を接合できないはず」
強く掴んでみると案の定、接合はされなかった。そして俺は次々に技を繰り出す
「[剣技、剣術![帝王級]]!!」
最後に大きな魔物、裏ボスをひと凪で倒し、ここら一体にいる魔物を全滅させた。
「コレで……ここの領地もおれのもんだ」