魔王城#2
悪魔の魔女のインラルがオールドマンに連れていかれたところでその場を離れ、大きな扉の前に座る。
「次の相手は剣士の魔将のフィンか。剣士……アタッカー……自己戦力にすれば役にたつだろう」
『キギィ……』
両手で扉を押し開けて中に入る。
「お?殺られたのか、インラルのババァ……こんな雑魚に殺られるだなんて、やっぱアイツも大したこと無かったんだな」
「絶望の叫び声を上げて消えてったよ聞こえなかったのか?」
「聞こえなかったな、あの扉は空気すら通さないからな」
「へぇ……」
全く動揺しない。むしろ笑ってやがる……流石は幹部だな。ま、俺が勝つけど?
『SCP-049、ペスト医師』
俺が想像した通りのペスト医師が魔法陣の中心から出てくる。
「スゥゥ……シュゥゥゥゥ…………」
「あ?なんだァ?そいつァ?」
「ペスト医師って言うんだ、こいつ結構強いんだぜ?」
「へぇー、こんな細い腕っぷしでよく言えるな」
「戦ってみればわかるって……いけ、ペスト医師アイツを倒せ、余裕があれば実験したっていいぞ」
「は!馬鹿にしおって!」
するとフィンは剣を構え、すごい勢いで突進してくるがペスト医師は余裕でかわす。
『ソレでも剣士か?』
「な!?召喚獣が喋った!?」
『そりゃそうだ。獣では無いからな』
「くっ!」
驚いた。まさか召喚したやつが喋れるとは
《凄いですね。》
「あぁ、そりゃそうだ。なんたってペスト医師はな……」
《いいえ。あなたの想像力です。喋れるようにするほど凄い想像力をお持ちとは思いもしませんでしたよ。》
「あ、その事ですか。」
それはいいとして、ペスト医師も結構つまらなそうにしてきている。大丈夫だろうか?あの剣士
『はァ……』
「な、何のため息だ?それは」
『つまらない。実につまらない。異世界の剣士、それも魔物の魔将だから楽しみにしていたのにな。たったこれだけの力しか持っていないとは……実につまらない。』
「な!?なんだと!?」
『まぁ、魔物の体を実験できるのだ。そこは我慢しておこう。』
「舐めるなァァァ!!……」
フィンが大きく振りかぶったところでペスト医師が喉にひと突き。フィンはその場で倒れ込んだ。
『フン。弱ったらしい体。どうせならゾンビにして配下に加えましょう。』
すると両手で巨体のフィンの口を強く掴む。するとフィンは掴まれたままバタバタと暴れだし、苦しみ、もがき始めた。段々とフィンの顔が青緑色に染まっていく。
「ヴ、ヴァァァァ……」
『あなたは私の配下です。私に従いなさい。』
「えっぐ……コレがペスト医師か……」
『(消えろ)』
すると俺が召喚したペスト医師とペスト医師が作ったゾンビフィンは砂になって消えた。その途端、体がいっきに軽くなるのが分かった。
「すっご、ナニコレ?」
《どうやらアベルの方でも強敵を倒したようです。いわゆる……裏ボスですね。》
「なるほど……あそこにもそんなやつがいたのか。ま、あのアベルの事だ。瞬殺だったに違いない。」
巨大なドアを開けるとそこには戦国時代の武将のような姿をした槍の魔将のスーデンが待ち構えていた。
「なんだ?フィンを倒したのはお前か?」
「俺が倒した……が、実際倒したのは俺じゃないな」
「どういう事だ?」
「見れば分かる」
『SCP-073、カイン』
「……なるほど、召喚者か。」
「あぁ、俺は召喚者だ。それも想像召喚者。でも、あまりバカにはするなよ?」
「いい自信じゃないか若造。いいだろう、その挑戦、のってやる」
するとスーデンはニカッと笑う
「カイン、アイツを倒して欲しい。できるか?」
『出来なくても、やりますよ。自分は。』
「じゃぁ、この次もよろしく頼む」
『えぇ。ご命令とあらば、私はいつでも動きますよ。』
そう言うとカインはスーデンと目を合わせ、両者、すごい勢いで前進する。スーデンはものすごい勢いの突きをかますが、カインは素手で全部の突きを受け流す。
「はっ!いい腕じゃないか!坊主!」
『まだ喋るような余裕があるのですね。』
「そりゃそうだ。まだ様子見じゃ。この突き程度で殺られては本気を出せんからな。」
『様子見はいいのではやく本気を出されてはいかがですか?』
「なに?」
『出なければ、1秒……いや、0.5秒もかからずに勝負が着いちゃいますよ?』
「言うではないか」
すると後ろに大きく飛んで間をあける。その時スーデンもカインも、まだ余裕の顔つきを見せていた。
「水流大滝……大罪拳……」
そうスーデンが唱えるとものすごい圧がかかる。それに気付いたのか、カインは左手を前にして構える。
「天地逆転!大地獄……乱れ突き!」
ゴォォォ……という音をたてながら迫ってくる。が、気づいた時にはスーデンは地面に突っ伏して動かなくなっていた。
『頭蓋骨を砕き、脳を潰しました。』
「体術か……兄さんがやるにしてはエグイな」
『あなたがやれって言ったんですよ?』
《こんなに主人を信頼して、こんなにも喋る召喚獣は初めて見ましたよ。》
「もう召喚獣と呼んでいいかも分からないがな」
《次の相手はスピードの魔将のスピールです。》
「行こう。次も行けるか?兄さん」
『その呼び方は辞めてください。あなたは私の主人なのですから。』
「わーったよ……じゃぁカイン、次のも行けるか?」
『ご命令とあらば。』
そして門を開ける。その途端、すごいスピードで魔物が向かって来るが、カインが止めて一撃を食らわすとそのまま動かなくなってしまった。
《え……》
「やっば、全く反応できなかった」
『何なんでしょう……?アイツ?』
《あれはここのボス、スピードの魔将、スピールですね。》
「なぁ?コイツここのボスだってよ」
『は?』
するとカインの後ろの方に大きな門が出現する。
「……行くか。次も行けるか?」
『まぁ……きっと1番弱かったんでしょう。ここのボスは』
《……ここのボスはいる必要があったのでしょうか?》
「(どーなんだろうな)」
...............
『腹減っタな……コイツら食エルかナ?』