俺は一向に構わない
舟虎太郎は、教室にいる向こうの彼女の変わりように目をやった。
外見にそれほど大きな変化ではない。
「………ん」
今日から冬服になるのか…………。寒くなってきたからな。
厚着となっても相変わらず、良い膨らみのある胸だ。
大きい……。
D、……E、……それ以上はある。
夏からこの時期にまで、また一段と成長している。
男子が見つめるものは、女子の顔だけとは限らない。
顔が50点だとして、胸が100点なら、合計150点。点数は常に100点であると、誰が決めたであろうか?
「次は体育かー。つーか、あれか」
「寒いー、外出たくなーい」
この寒い時期となれば
「みんな、大嫌いマラソン大会ー」
この前、小学校では運動会をしていたような、してなかったような。
それに続けと、高校のマラソン大会が始まるわけだ。
男子と女子がそれぞれ校外を5周くらい……。
「一緒に走ろうぜー」
「サボりてぇ。近くのコンビニ入ろうぜ」
もうこんなテンションである。男子も女子もそんなノリ。
何が悲しくて走らなければならない?
しかし、悲しいものばかりとは限らない。
舟は先ほどの女子を発見した。
「!」
友達と一緒に走るフリをして、一緒に公園に入り、時間になるまでサボるつもりか。
3人、……いや、4人での行動か。
小、中、中、大といったところ。あいつだけ、ジャージを忘れたのか?体育着だけだと、露出度だけでなく、その胸がまた一段と……
「でかっ!!?」
お、大きい!
E、……F、……いや、Gカップ!?
教室で、制服でいた時よりも、デカく……っ
「なっ」
あ、圧倒的ではないか!あの4人の中、……いや。女子達の中でも圧倒的、巨乳!健全な姿でありながら、不健全な姿を醸し出してる!
制服の時とは、まるで別の姿ではないか!?制服の時はサラシを巻いていた!?ブラをきつくしていたのか……。
いや、あえて。今、パッドか!?
しかし、走ったら揺れて落ちるのではないか!ありえるのか!?マラソンなんだぞ!
激しい揺れで上下左右に、ブラのホックが千切れるかもしれないほどの重厚感がある!!
とにかく、…………バカなっ!
「っ……」
男にとって。性癖はいくつもある。舟は胸の採点は比較的、高い。
女という姿形を採点するに辺り、顔、胸、尻、太もも……。それぞれ細かく判断される。
その中で、豊満、巨乳とは、重要なステータスである。まず形が良いとかよりも、分かりやすいインパクトが巨乳にある。先入観。呑まれる。巨乳という、ステータスが男子達の視線を釘付けにする!
「視線を感じるわね……」
高校生という発育が盛んなこの時期だからこそ、顕著なもの。そして、男もその下が成長する。下心も育まれるもの。隣にいる、向日葵や薔薇のように成長する花と共に。
可憐。美しい。故、思う。
「俺達は、女子高生をナメていたっ……」
男子。女子の変貌をよく侮る。
「!」
そして、こちらに近づく女子。すでに揺れている。錯覚しているんだろうが、激しく動いている胸に、視線は追いかけてしまう。
「さっきから視線を感じるんだけど……」
その表情は、寒さからではない。
ジャージを忘れたという後悔、見られているという何かの恥……頬の赤さがそれを物語る。
それでも腰に手をやって、堂々と立つ。
「なんのようかな?御子柴」
目を瞑って、ごまかす。
そんな舟の耳元で御子柴は、彼の体を指で突つきながら
「ジャージ、貸して。上だけでいいから」
「なんでだよ?」
「あんた含めた男子達の視線がウザいから」
「俺は一向に構わない」
ギュウウウウウ
「いでででで、頬を引っぱるな!ツッコミが違うだろ!」
「……………はぁ」
ため息ついてから、また耳元で……
「今日、ノーブラなの……」
「マジ!?」
カッと両目が開いた瞬間に、両目を閉じさせる一撃。
ドゴオオォォッ
御子柴は綺麗なアッパーカットを決めるのであった。
こーいう視線をした奴、1人1人にアッパーカットしていくご予定。
「今の私なら、あんたを地獄にでも叩き落とせる」
まぁ、なんだ。
「先生。舟くんが怪我をしたので、保健室に連れていきますね」
「いや、御子柴。君が殴ったよね?」
「保健室に行きます」
体育をサボる。正当な理由が欲しかっただけ
「だからって、俺を殴るのはなしじゃね?」
「鼻血出さないでくれる?」
付き添いの間。御子柴はずーっとそのまま、舟のそばにいてあげるのであった。
当然、眼は見えないように……タオルをかけて。
仕事柄、小学校とか中学校、高校、大学にも足を運びます。(頻繁じゃないけど)
自分が配達の仕事を始めた時、まだ小学生だった子が、今では高校生となっているところを見ると、成長期は凄いなぁーって思いました。
だからって、こんな話を書いちゃ、さらに変な人と思われますよねー。えへへへ……
こいつが、あらすじだったら、ヤバイですね。
ところで、御子柴が鎬弟のセリフを使ってるのは、良くないですね。