#086:仕儀の、パーチメント
▽
「ぺ、ペッカリーおよびドォドォが戻りましたっ!! センデアの辺りをこそこそ嗅ぎまわっていた怪しげな奴らを発見、速やかに捕らえやして、ここに連行して来ておりやす!!」
行き止まりの「扉」に向けて、そうがなり声を上げる長髪の方だけど、そういう体にすることにしている。その方が、すんなり内部に入れそうな気もするし。扉の横には樹脂製と思われるパネルが取り付けられており、おそらくはそこからこちらの様子は伺われている。
妙な真似バスッチョ、素っ首スポスポンぜよ、との「金属生命体」(と称することにする)オミロが、首輪に擬態したまま、正にその首根っこを押さえている長髪と丸男に対してそう聞こえるか聞こえないかの声で脅しているのが聞こえる。相変らず口調は定まらないな!
<……連れてこい>
おそらく内部から発せられた声は、若いのかそうでないか判別できない男のものだった。それと共に、やっぱり表面が波打つように動いて見える不思議な材質の「扉」はフ、というようなほのかな音を出して左右に割れるように開いた。
「お、おら~、はよ入らんかいぃぃ」
丸男が僕らを手に持った小銃を振って促すけど、その顔には緊張からか、本当にちょいちょい締め上げているからなのか、脂汗がびっしりだ。泣きそうな表情をしているけど、それはそれで不気味極まりない。あまり焦らすのもかわいそうなので、僕ら6名は順々にその扉をくぐる。
「……」
中も青白い光沢を持った金属の質感の、殺風景な宇宙船のような通路が真っすぐに奥まで通じている。いや、「宇宙船のような」と言うかこれは……本物の宇宙船、なのではないだろうか。何となく佇まいとかでそう伺い知れるというか……。かなり旧式っぽいけど、作りはしっかりしている。もしかして、山の中腹にこれが埋まっているってことなんだろうか。
その事も驚きだったけど、真っすぐ続く「通路」の両脇に整然と並んでいる「扉」の目の高さくらいの所には、「226」とか「246」とかの「数字」が刻まれた金色のプレートが嵌まっていたわけで、その方が驚愕だったわけで。
「アラビア数字」だ。見慣れた、使い慣れた世界共通の「数字」。いや「世界」と言うとあれか、「地球共通」の数字が、確かにここにある。
とすると、とすると。この「船」は、地球よりやって来たものということになるんじゃないだろうか。「アソォカゥ」で使われている「日本語」に限りなく近い言語、そして「ここ」の人たちとは明らかに異なる外見、このコティローと呼ばれている地区に住む人々は、僕と同じく、地球から何らかのルートで、飛ばされてきた地球人、もっと言うと、僕と同じ「日本人」なのではないのだろうか。
突拍子も無い考えだったが、辻褄は考えれば考えるほど、スポスポ間隙を埋めていってしまうようで。僕は考えすぎて白紙になってしまった頭のまま、心配そうに顔を覗き込んでくるアルゼに手を取られながら、前を行くジカルさんの後を追うことしか出来ない。




