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#036:発露の、アザーブルー

#036:発露の、アザーブルー


 言葉を失う光景が展開されていた。思わず、身動きすることすら忘れてしまうほどの。


「……」

 胴体の前面がほぼ「口」と化した「骨鱗」は、最早もがくことも出来なくなった憐れな隊員の身体を、不気味なまでの動きとスピードで、自らの体内へとズッズっと呑み込んでいくのであった。


(あの体で……どうやって)

 攻撃を仕掛けることも出来ず、エディロアはただ成り行きを見守るばかりで、行動を起こせずにいた。

「骨鱗」の体長に関して言えば、少し大柄な人間ほどの大きさしかない。それよりも大きい「怪物」などざらにいるものの、「そいつ」が放つ禍々しい「オーラ」のようなものは、湿っていて、それでいて粉っぽいといったような、感知不能の根源的な恐怖感を発し続けている。


 何度もこのような修羅場はくぐって来たはずの彼女だったが、それでも、いや、それ故にか? 本能的に体が恐怖を覚えている。そして警告を発し続けている。「逃げろ」と。


<……奴の体内に凄まじい高熱と高圧が確認されています! 融解させ、圧縮している……!?>

 この状況・事態を、離れた本部からモニターしているルフトの声も、先ほどから上擦りっぱなしだ。


(……何だ……同じくヒトを『捕食』する『マ』とは何か違う……この違和感は……?)

 端正な顔は先ほどから歪みっぱなしのエディロアであったが、疑問は疑問でひとまず頭の隅に追いやると、鋭く指示の言葉を発する。


「総員、引けっ!! 生身で応対しようと考えるな!!」

 そして、少し球体のボディにひずみが出来たように感じる愛機「ヴェロシティ」の数十本の脚部を接地させ、「骨鱗」向けて突進を始める。


<Ⅰ騎っ!! 援軍到着まで……>

 慌てた感じのルフトの声がインカムを通してエディロアの鼓膜を震わせるものの、


「これ以上、犠牲を出すわけにはいかないわ。援軍が到着するまで、私が体を張る」

 予想外に落ち着いた、しかし決意を感じさせる口調でそれに返すエディロア。その両目は既に眼前の「骨鱗」の姿しか捉えていない。


「……」

 全く表情の伺えない、爬虫類然とした「右目」でこちらを見据える「骨鱗」。その目に、白い球から蜘蛛のように伸び出た「脚」たちが、パラパラと上空へ向けて広げられながら、掲げられていくのが映る。


 動物が毛を逆立てて威嚇するかのような……鳥が異性を魅了するかのような……そんな相反する印象を同時に抱かせる奇妙な「ポーズ」を取りながら……鋼鉄兵機ヴェロシティは、枯れた白い体で立ち尽くす「骨鱗」へと向かっていく。


「……」

 充分にその白い球体を引き付けてから、余裕、とも思える身のこなしで「骨鱗」は左後方へと、地を蹴って飛びすさる。ヴェロシティの突進が交わされた、そう思われた瞬間だった。


「!!」

 「骨鱗」の体が、空中で勢いを失って地面に転がる。舞う土埃。

終始無表情を貫く「骨鱗」であったが、仰向けに身体を起こすと、自分の腹部からいきなり生えたかのような、金属の長い槍のようなものを不可解そうに眺めていた。


(……あまり効いてはいなさそうね。結構とっておきだったんだけど)

 エディロアは体勢を立て直すと、尻餅をついたままの「骨鱗」に再度突っ込んでいく。



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