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#015:埒外の、シメント

#015:埒外の、シメント



「ジカル=ソ!! エイメラ、セネコ!!」

 坂を下り終えたくらいで、眼前に、10mくらいあるんじゃないかくらいの圧迫感を持った「城壁」のようなそりたつ壁が迫りくる。


「れ、レイゼアっ!!」

 城壁の真正面には、見上げるほどの巨大さを有した、金属製と思われる扉が目立って見て取れたけど、その脇に小さな扉もあることを僕は視認した。そしてどうやらジカルさんはそこをこのバイクで突っ切ろうとしているようだ。

その傍らに突っ立っていた、樹脂製のアーマーを身に着け、これ見よがしの小銃っぽいのを肩からぶら下げた、門番らしき若い男が慌てて何やらそう言い返してくるが、


「……ジモル、メセハ、クレイズオっ!!」

 初めて聞く、切羽詰まった感と、気迫に満ちたジカルさんの怒声に、一瞬体を引いたのち、弾かれたかのように小さな扉をこちらに向けて開け放ってくれた。


「……!!」

 「城壁」の内部へと、滑るように「バイク」は走り込んでいく。そこに広がった光景は、何というか、思っていたよりも、荒廃とした、石造りの建物が立ち並ぶ、言い方は悪いがスラム街のような雰囲気を醸しだした、街の一角だったわけで。


 住宅と思しき建物の小さな窓からは、爆音を吹かしながら疾駆するバイクを、驚きの表情で見てくる顔が一瞬見えた。人がいる。それも結構沢山。


「ジンさン、わタシたちは、『イド』の内のひトつに向かい、こレを封じル作業に入りマすでス。おそらク、周りには『マ』の一種、『ベザロアディム』と呼バれる凶暴なヤつらがイルはズね。『銃』の扱イをコレから教エるので、私が奴ラを攪乱しマスから、その隙を突いテ、狙撃をお願イしまス」

 えーと、急にそんな事を言われても。「銃」? 「狙撃」? 聞いてなぁぁぁぁい!



 猟兵六名による、横一列の一斉射撃にも、全くひるむ気配は無く……。

いい加減「怪物」たちもうっとおしくなったのか、


「おわあっ!!」

 構わずこちらに突進してきた。危うくその強靭そうな脚に蹴られそうになるところを、エドバ、ミザイヤ他六名はめいめい飛びのいてかわす。


「そのでかい銃は見掛け倒しかよ!! 偉そうに余裕こいて登場するほどのこと無かったじゃないすか!!」

「うるせー!! ちょっとエネルギー量をけちっただけだっつーの!」

 突撃してきた怪物のうちの一匹を間にはさんで言い争うミザイヤ、エドバ。猟兵六人は急いで「エネルギー量調節ツマミ」らしきものを回しているようだが……。


(やばいっ!!)

 その隙を逃さず、体勢を整えた怪物の爪がミザイヤ向けて振り下ろされる。飛びすさったものの、充分に次の動作に入れないままの姿勢だったミザイヤに、避けきれないだろうタイミングの一撃が襲った。


「!!」

 かに見えた。しかし次の瞬間、その怪物が目を剥いて倒れこむ。その後頭部あたりからはオレンジ色にたなびく「エネルギー硝煙」が立ち昇っていた。


<Ⅱ騎!!何とか一匹仕留めましたよ!! あと二匹も誘導頼んます!!>

 得意気なボランドーの声がメットの中に響く。どうやらその狙撃は、怪物の「うなじ」を正確に撃ち抜くことに成功したようだった。


「……なんだ、狙撃手がいたのか。はやく言ってくれって」

 無事なミザイヤを見やり、エドバがちょっと残念そうな声でそう言う。


「わかったら、あんたらは囮!! そっちの方向に向けて適当に挑発しながら逃げる!!」

 ミザイヤは猟兵一人から猟銃を奪い取り、その尻を蹴飛ばしながら指示を出す。


「りょ、了解!!」

 その勢いにも押されるかのようにして猟兵六人となぜかエドバまでも、ミザイヤの示した方向に慌てて走り始めた。


(まったく。最近体なまってきてるな。走り回るのもけっこうくるもんがあるぜ)

 エドバらを追い始めた怪物二匹を見やり、ミザイヤも狙撃に加わるべく、それに適した場所を探し始める。



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