表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/128

#127:決着の、ローテンブルグ


―これは。この『光』は。


 自らの後方にちぎれ吹っ飛んでいった「左腕」が、自分の制御下から外れたことを認識しつつ、「骨鱗コツリン」は中空にとどまりながら、その事象を引き起こした「もと」の方へと、爬虫類然とした表情の無い目を向ける。


(……効いた……ッ)


 右腕を伸ばし、上空の骨鱗に向けた姿勢のまま、そしてその右手の指先から、先ほどの「青白+黄金色」の「光」の残滓のようなものをたなびかせながら、鋼鉄兵機ジェネシスは動きを止めていた。


 その操縦席に黒白の下着姿で収まっているアルゼは、背後に密着しながら白目を剥いて伸びているジンの、前方にかくんと力無く倒された頭を自分の左肩で支えつつも、上気した顔で、只今の「攻撃」が功を奏したことを確認しているようだ。


―『これ』は流石に『進化の過程』をも飛び越えている……『適応』には時間と……あるいは別の『外的要素』が必要そうだ。


 骨鱗は左腕の断裂面に右手指を這わせて状態・状況を確認しようと試みるも、その右手をも、断面から立ち昇る「光の煙」のようなものは溶かしていくのであった。


―フフフフ。ついぞ、こんなにも大脳が『衝動』を感じることなど無かった……永い時間を経て、ようやく私は出会ったのかも知れない。


 思うや、骨鱗は右手で自らの左肩を掴むと、次の瞬間、いともたやすく、その部分をもぎ取っている。「延焼」を防いだ体なのではあろうが、その躊躇しなささに、流石のアルゼも眉をぴくりと動かす。


―『ケイ素』ではなく、『炭素』を選択したか、アヴェンクアよ。そしてその『炭素』たちは、地上と天空からの『異種交配クロスブリード』によって、分類不能な『雑種ハイブリッド』の『光力』を生み出した……いいぞ、その『進化』の恩恵に、私もあずかれるやも知れん……


 骨鱗は、愉悦の混じった思考を浮かばせつつも、「この場」での「最適」を探り当てたかのようで、もぎ取った肉体の破片を自分の後方に投げ捨てると、上空にて姿勢を整える。


 そして。


「しばしの間……行く末を見ようじゃあないか……アヴェンクア……そして、私に天啓をもたらすであろう未知なる「かたち」……」


 自らの身体を、頭から自然落下に任せて、眼下のジェネシス向けて推進させる骨鱗。その何気ない動きに却って反応が一瞬遅れてしまうアルゼだが、咄嗟に、鋼鉄兵機の臀部に下がった「鉄棒」を砂面に突き立てると、そこを支点として後方へとのけぞるようにして倒れ込ませる。そして迫る目標に向けて繰り出されるは、右脚の爪先。


「……!!」


 その鋭利な切っ先は、骨鱗の首を捉え、倒れ込んだ勢いと鋼鉄の重量をも足して、またも、もぎ取り弾き飛ばす。上空へと打ち上がる骨鱗の頭部。暗闇の中でそれは笑ったかのように蠕動すると、


「また逢おう……光と光の『ハイクロスブリッダー』よ」


 そのような言葉を発すると、黒い煙のような「光」をひときわ激しく炸裂させ、まるで蒸発するかのように消滅していくのであった。


「……」


 「鉄棒」の支点が砂に埋没していく中でバランスを崩し、そして力を全て使い果たしたかのように背中から大の字に倒れ込んでいく鋼鉄兵機ジェネシス


 その操縦席でアルゼは、自分に向けてかけられた言葉の意味を考えている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ