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Re:Talk  作者: 祐樹
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断章 遥か遠き残響(4)

 いまでもときどき夢に見る。

 飛び交う怒号と悲鳴。眼前で炸裂する閃光に、ヘキサは両手に大剣をぶら下げたまま身動きひとつとれずにいた。まるでスタンさせられているかのようだった。

 硬直しているヘキサの目の前で、高価な金属甲冑を纏ったプレイヤーが高々と宙に舞った。金属兜の奥で呆けた表情のプレイヤーの頭上に表示されたHPバー。それが緩やかに減少し、呆気なく0になった。空中を滞空する身体が木っ端微塵に砕け散る。

 散華するポリゴン片に、ひっ、とヘキサは喉の奥で悲鳴を上げた。我ながら情けない悲鳴だった。

 円形の広いフロアの中央。身体にプレイヤーたちを纏わりつかせた石の巨像が、くぐもった嘲笑を木霊させた。

 千階迷宮塔の250階に陣取っていたボスは、全身が灰色の石で構成された巨大な二足歩行の石像だった。不揃いな石を重ねたひょろりとした四肢。針金のように細い体躯のてっ辺で、二つの赤い光が爛々と輝いている。

 石の巨人――アルムロックは、その右手に高々と掲げた長大な石剣を横薙ぎに振り払った。回避し損ねた数人が石剣に弾かれて壁に叩きつけられる。その一撃で満タン近く残っていたHPが三割を切り、危険粋まで低下した。

 アルムロックは動きこそ鈍く隙が大きいものの、それを補って余り得る驚異的な攻撃力を誇っていた。また石で造られているからか防御力も高い。振り下ろされる武器が灰色の体躯に弾かれて鈍い音を立てる。

 元々ゴーレム系統のモンスターに、物理攻撃は有効打足り得ないのが常ではあるが、ふざけたことに魔法攻撃にも耐性があるらしい。

 物理攻撃ほどではないが、余り効いていない魔法攻撃に、プレイヤーたちは歯噛みする思いで、石の巨像を見上げている。

 戦闘開始からすでに四十分。小さなダメージの積み重ねによって、アルムロックのHPは三割を割り込んでいるが、プレイヤーたちの顔には濃い疲労の色が浮かんでいた。いくら動作が鈍亀だとはいえ、一撃喰らえばそれが致命傷になりかねない。肉体は仮想でも蓄積する疲労は集中力を削ぎ、意識を散漫にする。

 と、ヘキサの視界に一人のプレイヤーが割り込んできた。現在、ヘキサとPTを組んでいるメンバーの最後の生き残りだ。戦闘当初はヘキサを含み五人いたメンバーも三人が死に、自分とPTリーダーである彼のみになってしまった。

 そもそもヘキサを250階層のボス戦に誘ったのが彼だった。出会いは三ヶ月ほど前に受けた、複数人数での受注が前提になっているクエストであった。本来、ソロであるヘキサはそうした類のクエストには手を出さないのだが、そのクエストの報酬だったとあるアイテムに心惹かれて、同じようにクエストを受けようとしていた彼と手を組んだのだ。

 それを機にときどきPTを組むことになったのだが、人数不足を理由に急遽、今回のボス戦に参加してほしいと頼まれたのだ。

 いまにして思えば、それが間違いだった。例えそれが元で二人の間に亀裂が生じたとしても、ヘキサは誘いが断るべきだったのだ。自分のため、なにより彼のためにも。だがそのときの自分はせっかく知り合った糸を断ちたくないばかりに、しぶしぶながら了承してしまった。

 その結果がこれだ。圧倒的な石の巨体を前にして、ヘキサは蛇に睨まれた蛙の如く硬直してしまい、戦闘どころではなくなってしまった。

 そしてヘキサの見ている前で、彼の頭上に黒い影が差した。アルムロックは右手の無骨な石剣を頭上に掲げると、逃げ惑う哀れなプレイヤー目掛けて振り下ろした。

 白髪の少年に気がついた彼が、助けを求めるようにこちらに手を伸ばす。恐怖に歪んだ表情のまま口元を動かし、次の瞬間、石剣に叩き潰されて血飛沫の代わりに淡い燐光を散らせた。

 ヘキサの視界に表示された彼のHPが0になり、メンバーが全滅したことでPTが自動解散されたことを告げるメッセージが表示される。

 アルムロックがゆっくりと石剣を持ち上げて――後のことはよく覚えていない。    

 なにかを叫んでいた気もするが、周囲の津波のような歓声に我に返ったヘキサが見たモノは、光の粒子となり消滅するアルムロックとお互いの健闘を称え合うプレイヤーたちの姿だった。

 結局、それが自分の本質なのだ。レッドゾーンで点滅する自身のHPを視界の端に、無機質な目でプレイヤーを眺めるヘキサは心底思った。

 自己最優先の臆病者。

 ボス戦に参加し面子の中には、ヘキサよりもレベルが低い者。装備性能に劣る者。技量が及ばぬ者も多数いたが、誰もが恐怖を感じながらも勇敢にアルムロックに立ち向かって行った。

 対して自分はどうだ? 彼らと比べて自分がどれほど優れているというのか。自分のような人種は絶対にPTを組んではいけないのだ。もし逆の立場なら自分のような奴とPTを組んだりはしない。こいつなら背中を任せられるという安心感がないからだ。

 故に、ヘキサは今後ボス戦に参加しないと固く誓った。そう誓ったのだ。

 ――ならば、どうして僕はここにいるのだろう、とヘキサは自問自答した。

 頭上を仰げば天を貫く白亜の巨塔。天空都市アルキメデスの中央区画。この日、パンデモニウム500階層のボス討伐に望む一団にヘキサの姿はあった。周囲にはボス討伐に赴くプレイヤーを激励する人々も大勢いる。

 視線を聳える白亜の巨塔から右方向にある人工物に移す。表面に幾何学的な模様が刻まれた五本の黒い石柱。五芒星の頂点に配置された石柱の中央で、複雑な多重積層型魔方陣が白い輝きを発している。千界迷宮内の任意の階層に直接転送を可能とする転移門だ。

 転移門には制約があり、一度辿り着いたことのある階層にしか転移することが出来ない。また例外として自分が訪れたことのない階層でも、PTを組んでその内の誰かが既に到達しているのであれば、PT単位でまとめて転送することが可能である。

 しかしこの方法は自分の実力以上の階層に足を踏み入れる危険性を孕んでいる。その線引きについては各々の判断に任されているワケだが。自身の力量を正確に判断することも、プレイヤーに求められているということだ。

 ヘキサはぐるりと首を巡らして、集まったプレイヤーを見回した。ぱっと目につく範囲でも錚々たる顔ぶれが揃っている。

 集まったプレイヤーたちに指示を送っているのが、≪聖堂騎士団≫ の団長の聖騎士ナシムと副団長の姫騎士レイア。≪暁の旅団≫の剛力ジェクトもいる。それに凄腕の傭兵として知られる戦姫マシロと千里眼シャルロット。その横にいるのは同じく傭兵の赤狼ライルだろうか。彼らと少し離れた位置に立っているのは、≪ナインテール≫の赤箒クロアと青箒スヴィアだ。珍しいことに白箒ナイゼルと黒箒ハウゼルの姿も見受けられる。

 現実では姉妹だという彼女たちが前線に出ることはほとんどない。それだけに攻略に賭ける意気込みが伝わってくるようだった。

 これなら自分が来る必要などなかったのではないのか。集まったプレイヤーを一瞥したヘキサはそんなことを思ってしまった。


「……帰ろうかな」


 ぼそりと小声でつぶやいたヘキサは、転移門の周辺に集まった人々に悟られるようにゆっくりと踵を返した。そのままその場を後にしようとした彼は、後ろからかかった自分を呼ぶ声に動きを止めてしまった。


「あれ? ……ヘキサくん!?」


 軽やかな足音が近づいて来る。錆びついたブリキ人形のような挙動で振り返ると、そこには驚きに目を見開いた黒髪の少女がいた。


「どうしてここに……? あっ、わかった。ヘキサくんも応援しに来てくれたのね」

「……いや、その……なんというか、あの……その……」


 歯切れの悪いヘキサに彼女は最初小首を傾げていたが、もしかして――、と口の中でつぶやき、彼の顔を上目遣いに見ながら言った。


「――ひょっとして、ヘキサくんも今回のボス討伐に参加してくれるの?」


 その言葉に黒髪の少年は、なんと答えていいのかわからずに沈黙してしまった。違うというのは簡単だ。事実、退却しようとしていたところだったのだ。

 とはいえそれを彼女に言うのは気が進まないし、応援に来たと嘘を言うのも嫌だった。彼女の信頼を裏切るような気がするからだ。

 などとヘキサは煩悶していたが、やがて観念した様子で彼女の問いに小さく頷いた。


「え、嘘! 本当に!?」

「……まあ、ね」


 口に手を当てて驚きを露にする彼女に、ヘキサは憮然とした表情で肯定した。なにもそこまで仰天することはないではないか。……彼女に参加を促されたときのやりとりを顧みれば、それも仕方がないのかもしれないが。


「でも、どうして? あんなに参加するの嫌がってたのに?」

「……いいだろ。理由なんて。気が変わったんだ。……それとも僕が参加すると迷惑なのかな?」


 君のことが心配だから、なんて本人に言う勇気がヘキサにあるワケもなく。視線を外してそう言うのが精一杯だった。


「ううん。まさかッ。来てくれてありがとう。とても心強いよ!」

長い黒髪を左右に散らし、華やいだ笑みを浮かべる彼女に、ヘキサもまた口元を緩め――


「――ト? なんだよ慌てて。知り合いでも見つけたのか?」


 直後、黒髪の少女の背後から聞こえてきた声に表情を強張らした。彼女の小柄な身体越しに見えた人物に、知らず歯を軋らせる。

 白い髪に色素の薄い赤い瞳。白いレザーコートの裾を翻し、腰の後ろに片手剣が納められた鞘を吊るしている。小型の円形の盾が固定された左腕をぶらぶらとさせて、白い装束の少年は、ヘキサたちの方へと近づいてきた。


「って、こりゃ珍しいな。ヘキサじゃないか」


 そう言って、彼女がリーダーを務めるギルドの副リーダー、天剣デュオはどこか面白げに吐息を吐いた。


「久しぶりだな。250階層のボス攻略戦以来か……」


 感慨深げな言葉にしかし、ヘキサは驚きを持って返答した。


「……よく知ってるね。僕があのボス戦に参加してたって」


 250階層のボス攻略戦。この天剣が自分の存在を認識していたとは思わなかった。なにせヘキサがフロアの隅でビビッて硬直していた一方、デュオは彼女と共に最前線であの石の巨人と死闘を演じていたのだ。


「……大した役には立てなかったけどね。居ても居なくて……いや、居なかったほうがよかったくらいだ」


 なにせ恐怖に竦んで動けずに、PTの仲間を見殺しにしたクズなのだから。ヘキサは自嘲を口の端に浮かべるが、デュオはその言葉に呆れたように言った。


「はあ。なーに言ってんだ。プレイヤーの被害を最小限に押さえられたのは、お前のおかげじゃないか」


 なあ? とデュオは彼女に、同意を得るように話を振った。


「うんうん。そうだよ。あのときヘキサくんがボスの動きを抑えてくれなかったら、被害はあんなモノじゃすまなかったよ」


 二人の話に驚いたのはヘキサだった。返す言葉もなく無言で俯いてしまう。

 記憶になかったのだ。確かにPTが全滅したその後の記憶が曖昧なのは事実だ。ふと我に返ったとき、満タンだったHPが一割を切っていておかしいとも思った。

 逃げ回っているうちに攻撃が掠ったとばかり思っていたのだが、二人がそう言うのならそうなのかもしれない。

 だが、例え彼女たちの言葉が正しかったとしても。それは自分の意思ではない。許容量を超える事態にパニックになり、がむしゃらに暴れただけだ。それが偶然いい方向に働いただけのこと。一歩間違えれば大惨事を招きかねない愚行甚だしい。


「……そろそろ集合時間だな。そういやヘキサはもうPT組んだのか?」


 強く拳を握るヘキサになにか思うところがあったのか、唐突にデュオがそう言った。ヘキサは俯いたままで首を横に振った。

 お互いのHPやMPの状況を把握するため、ボス攻略戦でのPTプレイ――ちなみに上限は六人――は必須だ。普段はソロオンリーのプレイヤーも例外ではない。PTを組んでいるかいないかで、生存確率に雲泥の差がある。


「じゃあさ、俺たちのトコに入れよ。ちょうど一人分空きがあるからさ。……構わないだろ?」


 後半は彼女に向けての問いかけだ。黒髪の少女は快諾すると、手元に表示させたメニューを操作し、ヘキサの目の前に半透明の画面が出現させた。画面には自身へのPT加入要請の旨を記したメッセージが添えられている。

 中空に展開された画面を見てヘキサは口を開きかけ、そのまま声を発することなく閉じた。

実質初対面といえる間柄のはずなのに、まるで旧知の仲であるかのように話してくるデュオに具合の悪さを感じながらも、気が削がれた彼はOKのボタンを押した。

 メッセージが消え、代わりに視界の左端にPTメンバーの名前、その横にHPとMPバーが表示される。メンバーには彼女とデュオ、それと彼女のギルドの仲間なのだろう。知らない名前が記されている。


「今日はよろしくな。頼りにしてるぜ」

「……まあ、がんばるよ」


 ヘキサはゆるゆると拳を前に出すと、デュオが掲げた拳と軽く突き合わせた。広場に鋭い声が響いたのはそのときだった。集合の合図だ。


「まずは感謝を述べたい。今日は集まってくれてありがとう――」


 集まったプレイヤーの視線を一身に浴び、銀の鎧を纏った姫騎士レイアが力強く言葉を紡ぐ。と、プレイヤーたちがレイアの話に耳を傾ける中、黒髪の少女が落ち着かない様子で身体を揺らしている。

 緊張しているのだろうか。ヘキサは少しの間思案し、彼女に声を掛けようとして――それよりも一瞬早く、彼女の肩を掴む手があった。

 デュオだ。彼は不安の光を宿す少女の瞳を覗き込むと静かに囁いた。


「そんなに心配するなよ。――大丈夫。なにがあっても絶対に俺が護ってやるから」


 これだよ。後ろでデュオの言葉を聞いたヘキサはひっそりと嘆息した。

 絶対に護る。果たして自分は彼と同じことを言えるだろうか。おそらく――否、それこそ絶対に無理だ。せいぜい目線を逸らして、頼りにならない小言を言うのが精一杯だろう。

 ふと思う。どうしてデュオはこうもこともなげに、絶対なんて言えるのだろう。根拠などあるはずもない。しかし、聴く者の心を揺さぶるなにかがそこにはあった。それこそデュオのデュオたる由縁なのだと、ヘキサはぼんやりと思った。

 自分が求めて止まない眩い光。それは嫉妬にも似た羨望の――。

 そこでヘキサの思考は、姫騎士の「進軍!」の一言に打ち切られた。プレイヤーたちの姿が転移門の中に消える。

 集まった人々の声援を背に、ヘキサは輝く魔方陣に足を踏み入れた。

 視界が歪み、身体が浮遊感に包まれた。ブーツの先が硬質なモノに触れた感触に目を開くと、そこは既に千界迷宮塔の内部だった。

 暗いフロアを背後の転移門の白い輝きが淡く照らしている。正方形の石を敷き詰めた床に天井まで伸びる柱。そして目の前には巨大な両開きの扉が音もなく沈黙している。

 ひんやりとした肌に突き刺さるような空気に、言い知れる不安を感じたヘキサは身を震わせた。他のプレイヤーたちも扉から放たれる冷たい威圧を感じ取ったのか、皆一様に押し殺した表情で手元の画面を注視している。

 500階層のボス攻略にあたり、ヘキサには気にかかる要素があった。それは一週間前、同じようにボス攻略に臨んだプレイヤーが全滅したという事実だ。

 死亡者が出るのはわかる。ボス戦――否、千界迷宮塔を攻略するということは、常に危険と隣り合わせ。些細な判断ミスが死に直結しかねない。

 しかし、彼らは精鋭のプレイヤーたちだ。撤退の引き際も心得ているだろう。にも関らず、全 滅したということは、それだけ危険性を秘めているからではなかろうか。

 そもそも一人として離脱者がいないというのが露骨に怪しい。死亡の危険を察して、咄嗟に魔法やアイテムで転移するプレイヤーがいそうなものなのだが。ひょっとして離脱すら不可能な状況に陥った結果、なす術もなく全滅してしまったではないのか。

 むろんこれはヘキサの想像であり、実際に挑んでみなければ真相はわからない。だが、もしも自分の予想が当たっているのなら、今回のボス討伐には思いもよらぬ罠がしかけられている危険性がある。


「なんだヘキサ。ビビってるのか?」

「……うるさい。そんなんじゃない」


 デュオの軽口にヘキサはアイテム画面を操作しながら言い返す。重苦しい雰囲気の中、彼だけは普段通りの自然体だった。

 顔色が冴えない黒髪の少女になにかを囁くデュオを横目に、ヘキサは注意深く自身の装備を確認すると画面を閉じる。


「――よし。皆、準備は整ったか?」


 装備やアイテムの確認を終えたレイアが、面を上げると静かに問い――まるでその言葉を待っていたかのように、前方のボスが座するフロアに続く巨大な扉が、獣の唸り声に似た低重音を響かせてゆっくりと開いた。


「どうやら歓迎されているようだ。行くぞ――皆、私に続けッ!」


 銀の装飾が施された流麗な槍を抜き放ち、声高らかに先陣を駆け抜ける。ヘキサたちもそれに倣い武器を抜くと、部屋の中に突撃し――直後、背後で扉が閉まり、部屋の中央で巨大な火柱が昇った。空気を焦がす熱にヘキサは片手で顔を覆い、火柱をじっと見上げた。

 すると天井近くまで昇る炎の螺旋が内側から爆ぜた。炎の残滓が中空を乱舞し、そこには片膝を床につく影が出現していた。燻る熱に造形を歪めて、その影は金属を擦り合わせた金きり音と共に、その鋼の巨体を起き上がらせた。

 それは炎を纏った鉛色の鎧――否、鉛色の鎧を纏った炎の塊だった。重厚な金属甲冑の隙間から絶えず噴き出す炎が、緩い擂鉢状の広い部屋を赤く染める。

 ヘキサの視界に現れた黒いカーソル。圧倒的な炎の塊を金属の鎧で封じた紅蓮の騎士――バルフレアは、その両手に自身の有に三倍をあろうかという巨大な両刃の大剣を掲げて、轟く咆哮を上げた。凄まじい咆哮に大気が震え、振動が床を伝わりヘキサたちの身体を揺さぶった。

 ――それが戦闘開始の合図だった。




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