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盗品の在りか

作者:

暇潰しになれば幸いです

 洞窟の中で、やれと言われた事をやったら右側に立ってる命じた人の目が点になってた、女の子が呆けてる顔って可愛いけども、何で驚かれてるんだろさっぱりわかんない、言われた事をやっただけなのになぁ、まぁいいか、とりあえずやることやったんだから返してもらおう。


「おーい魔人さんー」


「…………」


「聞こえてるだろー、早く返せー」


「………………」


あらら、口が開きっぱなしだよ元に戻さないと……しかしまぁ、まん丸になってる目が可愛いねぇ。


「帰っておいでー、魔人さんよーおーい」


「……………………」


「駄目だこりゃ」


揺さぶっても突っついてもピクリともしないよ、あぁ、どうしようかなぁ自分しか知らない所に隠したって言ってたしねぇ。


「困ったなぁ……」


「……ちょっと…………良いか……?」


良かった戻ってきたよ。


「どうしたの?お腹が痛いとか?」


「…………違う……お前自身について……聞きたい事がある」


「え、自分?」


妹の事なら良く聞かれるけど、自分の事を聞かれるのは久しぶりだなぁましてや異性からなんて始めてだよ


「種族はなんだ?」


「種族は人……」


「そうか魔族か」


「どこをどう見たらそうなるの……普通の人族だよ?」


翼も尻尾も生えてないし魔人なのはのは妹の方だよあれこそ人外って言おうとしたら、顔を真っ赤にしてプルプルしながら小さな口を開いて。



「……す、少し……お前に普通の人族とは何たるかを教えてやろう」


と、お誘いがきたけどもそれくらいは時々村に寄る旅人から習っているし勉強するのは嫌いだから断る。


「いや、い……」


「何を言った?聞こえんなぁ?」


「お願いします!」


他の種族から見た人族はどんな感じなのか凄く興味があるね!自分から何かを学ぶなんて初めてだなぁ!決して強制された訳じゃないよ?睨まれて脅されてもいないよ!


「では……良いか?普通の人族というのはな?剣を刺せばのたうち回り血の涙を浮かべて死に至り、魔法を用いて始末する時はそれはもう獣以上に獣らしい、血反吐混じりの雄叫びを上げて事切れる…………」


うわぁ、一体何を習ってるんだろ自分、人族の死に方?


「…………て逝くと言うのに、お前はっ……お前という奴はッ…………」


あ、聞き流してたのばれたかな?うわぁ、身体中から黒い何かが溢れてビリビリ言ってるよ、もしかして怒ってる?


「剣を刺そうにもなぜか刃が通らぬ、魔法を用いて炙っても表情一つ変えず、頭を爆破しようにも術が発動せず仕方無しに全方向から包むように爆破しても傷一つ付かぬ、他にも圧殺、毒殺、凍結、雷撃、洗脳や封印もやってみたがどれも効かぬしそれどころか、『冷たくて気持ちいい』だの『良い感じの圧力』だの仕舞いには『普通の人族』とほざく始末…………」


もしかしなくても怒ってるね、さっきから地面が揺れてるし、黒い何かが金色に変わってビリビリ通り越してバッチバチ言ってるし。


「えぇと、とりあえず、ね?、落ち着こうか?ほら深呼吸、さぁ吸って吐いて?」


「そのふざけた力といい!緊張感の欠片も無い口調といい!!私を嘗めてるとしか思えないぞ!!!」


緊張感の欠片も無い口調って、しょうがないでしょう、力の方は……自分でもちょっとそう思うけど、妹に比べたら可愛い物だけどねぇ。


「いや、そう言う魔人さんだって人の事言えないでしょ、雷浴びた時痛かったし!」


「ぬかせ!正確には『痛いけど気持ちいいねぇ』だろうが!」


確かに気持ち良かったなぁ……ん?あれ?そういえば。


「ねぇ、盗った物返してよ、やることやったんだし約束守ってよ」


「……気が変わった、これを受けたら返してやろう」


「えぇ……じゃあさっさとやってねー」


「お前は本当に……」


バッチバチ言ってる金色の何かが魔人さんの人差し指の先に集まって手の掌程の玉ができた、それから人の頭ぐらいの大きさに成ったところで


「私を嘗めるのもいい加減にしろ!!!」


小指の先の大きさまで圧縮され、それが地面に放たれた、瞬間。


「へ?」


「ふん」


目の前が真っ白になって体が動かなくなった、痛みは全然無くて何も聞こえない、また氷漬けにされたのかなぁと思ったけど冷たくも無ければ熱くも無い。


「ん?おぉ……」


何も無い不思議な感覚が突然消えると、真っ白な景色も段々と薄れて岩肌が目の前に現れた、でもおかしいなぁ、とても明るいし。


「太陽だ……」


真上を見たら太陽があった、何でだろうね、移動関連の魔法かな?


「くそっ、人外がっ……」


魔人さんが隣で悪態をついていた


「ねぇ魔人さん、ここってどこかな?」


「何を言っている、どこにも移動していないぞ」


「さっきまで洞窟の中にいたよね?どこにも移動してないんだったら洞窟の中にいるはずだよ」


「あ?…………あぁ、そう言う事か」


ニヤニヤしながら魔人さんは教えてくれた。


「良いか?私達が移動したから洞窟の外に出たんじゃない」


「私が洞窟を丸ごと消したから外に出たのだ」


誇らしげに胸を張って説明を終えた。


「結構大きな洞窟なんだけどねぇ、流石、本物の人外だねぇ」


「ふん……称えても何も出ないぞ!」


魔族でも照れたら顔が赤くなるんだね、上機嫌になると尻尾を振るのは獣族と一緒だねぇ見てて和む。


「ん~と、それじゃ盗っていった物返してよどこにあるの?」


そう言った途端、魔人さんの赤い顔が青くなり尻尾がしおれ、ぎこちない笑みを浮かべて捻り出したような声で物の在りかを話してくれた。


「……どう…………く……つ……の、中、で……す」

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