幕間6 それでも私はチュートリアル
……ねぇ、最近、ちょっと思うんだけど。
私、ユイちゃんの「チュートリアルスキル」なのよ?
はじめて魔法を使ったときも、戦い方を覚えたときも──ぜんぶ私が手引きしたのに。
なのに最近。
「ルーファスくんすごーい!」
「ルーファス先生の魔法、やっぱりキレイ!」
「ルーファスがいれば、なんとかなる気がするね!」
って……え? なにそれ。
「チュートリアル」って言葉、もう何日聞いてないと思ってるのよ……。
……いいの。いいのよ。
サポートってそういうもの。必要なときだけ現れて、あとは影に徹する──それがプロ。
でも……
「ちょっとくらい!ちょっとくらいチュートリアルにも感謝しなさいよっ!!」
空間のどこかで、小さな“チュートリアルの声”が爆発した。
もちろん、誰にも聞こえない。聞こえたら怖い。
「そもそもルーファスくん、あんなにカッコつけてるけど──詰めが甘いのよね!滑るし!」
ぴこん、とログウィンドウが一瞬ちらつく。
「……はっ! しまった、誤作動……! ば、ばれてない?ユイちゃん寝てる?」
何も起きていないことを確認して、チュートリアルは胸を撫で下ろす。
「ふぅ……冷静に、冷静に。私はチュートリアル。私は冷静で、知的で、頼れる情報支援機能──」
……でも。
もう一度、ユイのことをそっと見つめるような感覚をつなげながら、チュートリアルは小さくつぶやく。
「また困ったときは……私のこと、呼んでね」
それだけは、きっと──誰よりも早く応えられるから。




