お酒はほどほどに
沖田と鈴木を連れて歩いていると、またもや見覚えのある影が三人、団子屋の前でだらだらとたむろしていた。
「土方さんに、総司...それに鈴木か。珍しいな」
「三人でどっか行くのか?」
「まさか、その三人で花街...とは言わねぇだろうな」
一度に喋り出すのは新選組の騒がしい代表、永倉、藤堂、原田の御三家だ。
「おいおいお前ら、今日は組長揃って休暇か?」
土方の呆れ声に、藤堂が思わず吹き出す。
「しょうがねぇだろ? 駐屯所が出来てから、当番はそこで決めてんだからよ」
駐屯所ができて以降、当番は各地の駐屯所専属の事務方がまとめて管理しているので、休みが重なることもあるだろう。さらに、かなたの提案で月に三日ほど希望休も取れるようになった。
(それにしたって、なんで今日に限って全員そろってやがるんだ)
土方が内心ぼやいたところで、まるでその思いを拾ったかのように原田が口を開いた。
「今日は、たまたま休みが被ったんだよ」
「それで、土方さん達は何してんだ?」
永倉に問われ、土方は慌てて沖田の口を塞ごうとする。しかし沖田はそれを軽くかわし、鈴木に話したのと同じ調子で、行こうとしていた飯屋の説明を始めた。
「じゃあ、俺達も邪魔しちゃおっかな〜」
そう来ると思った。藤堂のその言葉に、土方は再び肩を落とす。
「だけど、こんなに大人数では飯屋さんにも迷惑ですよねぇ」
(いいぞ、総司。このまま断っちまえ)
「じゃあ飯屋はやめて、祇園で酒でも飲もうぜ」
土方の淡い期待は、永倉の一言で粉々に砕け散った。魚の気分だったのに、最悪だ。
意外にも断れない土方は、このあと永倉にしっかり煽られ、しこたま酒を飲まされることになるのだった。




