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新選組トリップ奇譚  作者: 柊 唯
第一章〜江戸時代にタイムスリップ!?〜

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芹沢鴨

 かなたは土方と八木邸の母屋へやってきたのだが....


「いいか、余計なことは言うんじゃねえぞ」


「は、はい」


 土方の釘刺しに、かなたは小さく返事をする。


 芹沢鴨せりざわかも。初期の新選組の筆頭局長ひっとうきょくちょうで現代に残る資料は少ないものの、"素行が悪かった"という逸話だけは有名だ。

 酒乱、女癖、金遣いの荒さ....とにかく、手に負えない人物だったとされる。


(...実際はどんな人なんだろうか)


 土方はある部屋の前で立ち止まり、襖の前で声をかける。


「芹沢さん、俺だ。紹介してぇやつが居るんだが、今いいか?」


 少し間があり、「入れ」と中から声が返ってくる。


 襖を開けて中へ入ると、部屋にはふたりの男がいた。

 ひとりは筋骨隆々としたそこそこ大柄な男で、もうひとりは細身で色白、どこか知的な雰囲気を漂わせている。

 横になっていた大柄な男が、ゆっくりと上体を起こした。どうやら、この男が芹沢鴨のようだ。


「俺の親戚のガキでな、こっちへ奉公に来たんだが手違いで流れて....しばらくの間、俺の元で預かることになったんだ」


 淡々と説明する土方のその姿に、短時間でよくその理由を思いついたな、とかなたは少し感心してしまう。

 すると、土方が肘でかなたの体をつつく。挨拶をしろということか。

 かなたは、ぴしっと姿勢を正すと、頭を下げた。


「な、中村かなたと申します。しばらくの間、お世話になります。よろしくお願いします」


 芹沢はその言葉を聞いて、じっとりとした目でこちらを見つめる。


「ふん。それだけか? なら、さっさと出ていけ」


 そうぶっきらぼうに言い放つと、彼は再びごろんと横になってしまった。


(中々良い性格してるなぁ)


 かなたがそんなことを思いながら、その姿を凝視していると土方が背中を押してくる。


「ああ、邪魔したぜ」


 その手に促され、かなたはそそくさと部屋を出た。横にいた細身の男は新見錦にいみにしきだろうか、そう考えていると、土方がこちらをちらりと見やる。


「いいか、何があってもあの人には関わるなよ。女と知られたら、お前の貞操は無いと思え」


「芹沢さんて、未来でも素行が悪いって有名ですからねぇ」


 それを聞いて土方は何も言わずに、ただ黙って歩き始めた。


(あ、絶対信じてない)


 横目で見ると、土方はいつも通りの無表情だが、どこか険しさが増しているようにも見える。


 かなたは心の中で小さく嘆息しながら、これから、どうやって功績を上げていこうか、と早くもこの時代での"生き残り戦略"に頭を悩ませていた。

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