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へっぽこ転生者軍団の逆襲!~バッドエンド確定のクソゲー世界へ転生って誰得ですか!?~  作者: 廃くじら


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現地民育成プロジェクト☆

ノゥム領の南、ドルーア領との境に存在する荒れ果てた禿山の中腹にある洞穴で、いくつかの不揃いな影が車座となり人目を憚るように小声でささやき合っていた。


「──と、先の戦いにおいて小鬼さん方には、あーくすなる者共の手助けがあったようですじゃ」

「なるほど……いくら神の手助けがあろうと白い悪魔を駆逐できるほどではないと思うておったが、そのような……」

「しかしあーくすとは聞かぬ名じゃな。いかなる神の加護を受けたる方々か?」


誰かの問いかけに、オークとゴブリンを掛け合わせたような小柄で皺くちゃの翁が顎を撫でながら答える。


「縁を頼りに豚鬼さんにお訊ねしましたが、儂ごときでは相手にされず答えていただけませんでなぁ。ですが、あの反応からすると、豚鬼さんも詳しくは知らんのではないかと思いますじゃ」

「……同盟を結んだとはいえ、互いに信用はしておらんということか?」

「そこは何とも……しかし、豚鬼さん方の顔を見る限り、関係は悪くないように思いますの」

「ふむ……まぁ、仕える神さんを戦いに巻き込みとうない、っちゅう配意はあるかもしれんわな」


鳥の頭部に兎のように垂れた耳を持つ異形の獣人が、その耳を撫でながら半信半疑といった様子で呟く。


豚に似た頭部を持つ翁はそれに頷きを一つ返し付け加えた。


「そのあーくすというのが、長足だけでのぅて耳長や樽腹も混じったおかしな連中でしてなぁ。元々は商売人として近づいてきたらしゅうて、儂がお邪魔した時も食料やら武器やらをたぁんと積んだ馬車が見えましたわ。それと、避難してきなさった小鬼さん方の家もその連中が建ててくれたとか」

「家? まだ戦いが終わって一月も経っておらんだろう。掘っ建て小屋とてそう簡単に建つものではないぞ?」

「いえいえ。遠目でしたが中々立派な家に見えましたぞ」


虫のような複眼を頭部に持つ異形はその一〇の眼を一斉に瞬かせて驚いた様子をみせた。


「……そこまで手厚く支援しているということは、実際に戦ったのはゴブリンやオークだけということか?」

「はてさて……小鬼さんはともかく、豚鬼さんが戦士でもない者をあそこまで受け入れるとは思えませんが……」

「接触は?」

「まだですな。無理をすれば出来なくはありませんが、このナリでは……」


豚に似た頭部を持つ翁が濁した言葉に、その場にいた者たちが一斉に俯き、口を閉ざす。


自分たちのような存在が周囲からどう見られるかは皆思い知っている。彼らが外部と接触を持つには相応の覚悟が必要だ。それこそ悪魔の使いとして本人が殺されるなど可愛いもので、最悪の場合はこの隠れ里が滅ぼされることも覚悟せねばならない。


だが彼らのおかれた状況はどん詰まりだ。


いつ教国の白い悪魔がここまで攻め寄せてこないとも限らないし、そもそも連邦内の亜人勢力さえ決して彼らに友好的ではない。元々貧しい荒れ地で細々と食いつないでおり、戦うどころか日々を生きることで精いっぱい。


そんな彼らにとって、ゴブリンやオークたちを助けた“あーくす”という支援者の存在は正体不明ながら地獄に垂らされた蜘蛛の糸のように思えたのだ。


可能ならば接触し、繋がりを持ち、あわよくば支援や庇護を得たい──が、彼らに神はいない。それがどれだけ非現実的な願いか……


「──私がまいりましょう」


悲観的な空気が漂う中、一番の年長者である里長が口を開いた。


「このままでは我らは座して死を待つばかりです。それならばその者たちに賭けるほかないでしょう」


長は自分を見つめる同胞を安堵させるように、精一杯の虚勢を張って言った。


「そう心配そうな顔をしないでください。例え上手くいかなくとも殺されるだけ。例えその者たちがどれほど変わり者であろうと、まさかこの身を嬲るような悪趣味を持ち合わせているはずがありません」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


★現地民対応検討スレ その13


1:親方ドワーフ

現地民から同盟打診の申し出があった。

円卓メンバーには報告したが、少し複雑な相手なんで討議に入る前に相談させてほしい。


2:名無しの転生者

あれま。親方がこういうスレ立てるの珍しいじゃん。


3:名無しの転生者

相談はいいけど、そういう同盟の話って地面師とか錬金術師とかの富豪スポンサー系の担当なんじゃね?

どういう経緯で親方が動いてるのかってとこから説明ヨロ。


4:親方ドワーフ

うむ。確かにそこから説明した方がよいの。

ワシは最近、本部を離れてオークの里に避難してきたゴブリンどもに仕事の斡旋やら技術指導に行くことが多かったんじゃが、そこで連中から突撃を受けてな。


5:名無しの転生者

突撃とはまた微妙な表現やな。

オークやゴブリンの紹介やない、っちゅうことか?


6:親方ドワーフ

鋭いの。アポなしで作業中のワシらに直談判してきた形じゃ。


7:名無しの転生者

非戦闘員の親方が外部の人間に凸されるとか、それセキュリティ上どうなの?


8:名無しの転生者

顔見知りとかじゃないんだよね?


9:親方ドワーフ

>>8 全く初対面じゃ。というより突撃してきたのは“ワシら”に対してで、正確に言えば連中が突撃してきた瞬間、ワシはそこにはおらなんだ。

>>7 セキュリティ上の問題はなかったぞ。というより無さ過ぎたわい。


10:名無しの転生者

無さ過ぎとは?


11:親方ドワーフ

実は連中が最初に突撃してきたのは、屋外で薬草園の場所決めをしておった毒エルフに対してでの。

運が悪いことにその横には氷弓兵がおったんじゃ。


12:名無しの転生者

うわぁ……


13:名無しの転生者

それはまた……ご愁傷さまとしか……


14:名無しの転生者

氷弓兵の名前が出ただけでその反応?


15:名無しの転生者

>>14 お、お前さてはブートキャンプ未経験者だな?

奴の基礎訓練を一通り受ければ、その意味は嫌でも分かる。

氷弓兵の前で怪しい動きをした奴が、どんな目に遭うのか、な。


16:名無しの転生者

う~ん、知るものぞ知るこの圧倒的畏怖と信頼感よ。


17:名無しの転生者

脱線してるから話を戻そうや。

氷弓兵がいたってことはその連中は全員捕縛されたんだろ?

何人死んだ?


18:名無しの転生者

死んだの!?


19:親方ドワーフ

いや、一応全員生け捕りじゃった。


20:名無しの転生者

……まぁ、流石に同盟中のオークやゴブリンの目もあるから、問答無用は流石に、ね。


21:親方ドワーフ

普通にドン引きされとったからあまり意味はなかったかもしれんがな。


22:名無しの転生者

あ~……(苦笑)


23:名無しの転生者

まあ鬼の話はさておいて、その流れでどうして親方が関わることになるわけ?


24:親方ドワーフ

その時はノゥム領担当の地面師が現場におらんかったからの。

話を聞こうにも氷弓兵や毒エルフはすっかり連中を怯えさせてしもうて、幹部格でワシの他に話が出来る者がおらんかったのよ。


25:名無しの転生者

なし崩し的に交渉窓口になっちゃったわけか~。


26:名無しの転生者

ほ~ん。それで、ホントはこれを最初に聞いとくべきやったんかもしれんが、その現地民って何者や?

複雑な相手で、必ずしもゴブリンやオークと親しくないっちゅうと、厄介事の臭いがプンプンするんやが……


27:親方ドワーフ

ハーフじゃ。


28:名無しの転生者

……ま?


29:親方ドワーフ

うむ。しかも雑多な組み合わせのはぐれ者共の寄せ集めよ。


30:名無しの転生者

ぐぇ……それは、また……


31:名無しの転生者

ハイハイ質問で~す?

ハーフって何?

ハーフエルフとかハーフドワーフとかの混血ってこと?


32:名無しの転生者

この世界でそんな種族おったか?

いや、ワイは連邦生まれで亜人もそこそこ多い田舎育ちやけど、ハーフとか見たことないで。


33:名無しの転生者

いないよ~。ソースは俺。

俺は父親ヒューマン、母親エルフだけど、俺自身はヒューマンで、妹はエルフ。

異種族同士じゃそもそも子供が生まれないか、生まれたとしてもどっちかの種族に分かれるはずだよ~。


34:名無しの転生者

うん。ゲームでもそういう設定だったね。

PCでもNPCでもハーフなんて種族は聞いたことがない。


35:親方ドワーフ

うむ。ワシもそういう認識だったが、ごくごく稀な確率で両親の特徴をどちらも受け継いだ混血ハーフが生まれることがあるらしい。

一〇〇に一つ、千に一つもない確率らしいがな。


36:名無しの転生者

ソースは?


37:神婆ちゃん

あたしだ~よぅ!


38:名無しの転生者

お婆ちゃんかい!!


39:名無しの転生者

オッスオッス~。

早速だけとお婆ちゃん、俺らハーフなんて聞いたことないんだけど、低確率でも実際に生まれることがあるなら、もっと存在が知られてても良くね?


40:神婆ちゃん

そりゃ簡単だよぅ。そもそも胤の違う子が番になること自体滅多にないことだし、仮に生まれても大抵忌み子として処分されるからねぇ~。


41:名無しの転生者

うぉ……思ってたよりハードな理由。


42:名無しの転生者

けどまぁ、理屈としては分からんでもないな。

ただでさえ異種間の結婚なんて肩身が狭いだろうに、子供まで普通じゃないときたらなぁ……


43:名無しの転生者

うん。親なら無条件で子供を守れなんて理想論を語るのは簡単だけど、周りの助けなしに生きてく──まして子育てなんてなかなかできることじゃないからね。


44:名無しの転生者

で、凸して氷弓兵の犠牲になった連中は、集団から追い出されたり捨てられた連中の生き残り?


45:親方ドワーフ

そういうことじゃの。

山に捨てられた赤子を拾って育てとるそうだ。今ワシのとこにおるのは突撃してきた四人だけじゃが、里に戻れば一〇〇人近く仲間がおるらしい。


46:名無しの転生者

ほ~ん。低確率の割に結構多ない?


47:親方ドワーフ

寿命が長い連中もおるからの。

それと、この辺りのオークやゴブリンはそ奴らの存在を認知しとっての。

表立った交流はないが、忌み子が生まれた時は殺すのは忍びないということで、捨てるふりをしてコッソリそ奴らに託すこともあるらしい。


48:名無しの転生者

はは、子供捨てるクソ親が何ほざいてんだか。

自分の罪悪感軽くしたいだけだろうに。


49:名無しの転生者

そういうこと言うなよ。

前世でも障害や奇形のリスクがあるからって中絶する親もいたろ?

当事者でもない俺らが口出していいこっちゃねーよ。


50:名無しの転生者

だね。まぁ、ハーフの境遇については一旦置いとくとして、だ。

俺らの中で生まれで忌避感持つ奴は少ないだろうし、同盟組みたいっていうなら受け入れてやりゃいい気がするけど。わざわざ相談するってことは何か問題があるわけ?


51:親方ドワーフ

うむ。差し当たって二つ。

一つは見た目じゃ。

お前さんらは所謂ハーフエルフのように、双方のいいとこどりをした見目の良い連中を想像しておるかもしれんが、実際そういうのは少数派での。婆殿の前でこういう言い方をするのはあれじゃが、ゴブリンとオークのハーフなんぞ、初めて見た時はどこの怪人かと思うたわい。


52:名無しの転生者

あ~……(正直、美少女ハーフエルフを期待してた)


53:名無しの転生者

う~む……(むっちりはみ肉ハーフドワーフ女子が好きです)


54:名無しの転生者

確かに、前世のファンタジーだと「人間×亜人」の組み合わせが主だったけど、実際はそうとは限らないもんな。異種交配とか見た目のバランスが崩れてもおかしくないし、ヒューマンの美的感覚が強い俺らからしたら、結構キツイかもしんないなぁ……


55:名無しの転生者

……見た目については大体理解した。

でもそれだけなら幹部連中はそこまで問題視はしないよね。

もう一つの理由は?


56:親方ドワーフ

ハーフは他の亜人種と違って神の加護がない。

亜人種が元々信仰の影響で肉体が変質し、ヒューマンから枝分かれした種だというのは知っておろう?

じゃがハーフはそうした神との繋がりが絶たれておる。そのことをどう評価するかで意見が割れておってな……


57:名無しの転生者

んん? どういうこと?


58:名無しの転生者

えっと、元々ワイらが亜人と手を組んできたのは、言い方悪いけど亜人の身柄と信仰を人質に、そのバックにおる神や悪魔がワイらを裏切らんようにするためやったっけ?

で、ハーフにはそういう繋がりがないっちゅうことは…………どういうことや?


59:親方ドワーフ

要はハーフと手を組んでも神の助力は得られんということよ。

加えて神との明確な繋がりがない以上、どこぞの神や悪魔に唆されて裏切るリスクも否定できん。

多少の人手は得られるが、それ以上のメリットは見込めんのだ。


60:名無しの転生者

あ~……ゴブリンやオークは信じる神様が生まれた時から決まってるっていうあれね。


61:名無しの転生者

気の毒な境遇だし手を差し伸べて上げたい気持ちはあるけど、そう聞くと確かに利益とリスクが釣り合ってないなぁ……


62:名無しの転生者

バックにおかしなのがいないのは悪くないけど、その分付け込まれるリスクもあるわけか。


63:親方ドワーフ

更に言うなら他の亜人種との兼ね合いもある。

連中からすれば、ハーフは自分たちが切り捨てた者じゃからの。恨まれているのではという怖さもあろうし、同じ血が混じっておると本能的に嫌悪感を覚えるらしい。


64:名無しの転生者

近親憎悪的なアレ?


65:名無しの転生者

神様の力とかでその辺どうにか抑えれたりしないの?


66:神婆ちゃん

無理なんだよぅ~。

そもそもその嫌悪感は、あたしら神由来のものだからねぇ。


67:名無しの転生者

どゆこと?


68:神婆ちゃん

う~んと……例えばうちの子とダヌザのとこの子の間に孫が生まれたとするだろう?


69:名無しの転生者

ダヌザのとこって──ああ、オークのことね。


70:神婆ちゃん

子供には少し分かりにくい感覚だろうけど、そういう時あたしらは孫が穢されたと感じちゃってねぇ。

何て言えばいいんだろう……浮気、不貞、托卵──ともかく素直に孫を愛せなくなっちゃうんだ~よぅ。

……頭ではそんなことおかしいって分かってるんだけどねぇ。


71:名無しの転生者

いや、ニュアンスはよく分かるわ。

子供本人に罪はなくても、って奴ね。


72:名無しの転生者

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い?

それとも可愛さ余って憎さ百倍?


73:名無しの転生者

どっちでもええわい。

ともかくそういう本能的な事情がある以上、ハーフと手を組むことは他の亜人種との関係でも決してええことにはならんっちゅうわけやな?


74:親方ドワーフ

…………うむ。


75:名無しの転生者

なら、話を聞く限り結論は出てない?

わざわざ凸してきたってことは向こうも切羽詰まってるんだろうし、かわいそうではあるけど、俺らもそんな余裕があるわけじゃないんだ。普通に考えて断るしかないでしょ。


76:名無しの転生者

……つーか、親方も回りくどい言い方せんではっきり言えや。

わざわざここで相談するってことは、理屈では断るべきやと分かっとるけど、心情的に助けたいからどうにかならんのか、っちゅう話やろ?


77:親方ドワーフ

む──いや、その………………その通りじゃ。

連中に熱心に頼み込まれて中々断りづらくての。

じゃが、組織を預かる立場としては、そうした個人的な感情で判断を下すわけには──


78:名無しの転生者

だからそういうのいいって。


79:名無しの転生者

つーか、自分がワイらを背負っとるとか勘違いしすぎやろ。


80:名無しの転生者

そうそう。俺らが一方的にしがみついてるだけなんだから、そんな気にする必要ないって。


81:名無しの転生者

んな気負われたら逆に申し訳ないわ。


82:名無しの転生者

>>81 いや、申し訳ないとは思っとけよ。日頃からおんぶにだっこで迷惑かけてんだから。


83:名無しの転生者

ともかく!

こういう時ぐらい我儘の一つも言えや。

せやないとワイらもこれから迷惑かけづらいやないか。


84:名無しの転生者

……迷惑かけるのは決定事項なのかよ。


85:親方ドワーフ

お主ら……すまん。知恵を貸してくれ。


86:名無しの転生者

ノリが重いよ~。

親方も巻き込まれた側なんだし、もっと上から言えばいいんだって。


87:親方ドワーフ

……うむ、そうじゃの。

お前ら、いつもいつもワシに迷惑ばかりかけておるんじゃ!

偶には知恵を貸せ!!


88:名無しの転生者

りょ~か~い。


89:名無しの転生者

ほいほい。

しかし実際どうする?

そもそもの問題はメリットがないことよりデメリットの方だよな?


90:名無しの転生者

神の加護がないから他の神や悪魔に付け込まれるリスクがあって、しかも他の亜人種が良く思わないってことね。


91:名無しの転生者

前者はヒューマンの現地人を勧誘できん理由と一緒やな。

後者については最悪、生産班で仕事与えて他の亜人種と関わらんようにすればええけど、神や悪魔からの接触を完全に絶つのは難しいからなぁ。それこそ奴隷みたいに完全隔離すれば話は別やろうけど、それは親方の本意ちゃうやろうし。


92:名無しの転生者

ハーフに神の加護がないことが問題なんだよね。

なら、彼らにも精霊契約をさせて上げればいいんじゃない?

先に契約済ませとけば、強引に神や悪魔に契約を迫られても拒否できるでしょ?


93:名無しの転生者

いや、精霊契約は俺らにとっての生命線だぞ。

それを転生者以外に適用するってのはどうなんだ?


94:名無しの転生者

でもバックにおかしな連中はいないんでしょ?


95:名無しの転生者

今いなくても、後からそっちに靡く可能性はあるだろ。

精霊契約は誘惑を拒否できるってだけで、自発的に裏切られたらアウトなんだから。

勿論、俺ら転生者の中に裏切り者がでないとも限らないんだけど、現地民に対してそのリスクを負うのはまた違うだろ。


96:名無しの転生者

確かに。それがありなら俺らはもっと大々的に勢力を広げてるか。


97:名無しの転生者

でもそうなると、もう完全隔離以外手がなくね?


98:名無しの転生者

う~ん……精霊契約がダメなら、お婆ちゃんに契約してもらうってのは?


99:神婆ちゃん

それは……正直勘弁してほしいんだ~よぅ。


100:名無しの転生者

何かマズいの?


101:神婆ちゃん

加護を与えるってことは、その子たちの信仰があたしに流れてくるってことだからねぇ。

正直、他の神の臭いがする子の信仰が流れてくるってのはゾッとしないんだ~よぅ。


102:名無しの転生者

あ~……ロックの何たるかを分かってない奴にロックを語られると鼻につくみたいな?


103:神婆ちゃん

ろっく?


104:名無しの転生者

>>103 気にしないで。

まあ、多分その辺がハーフが加護を得られない理由なんだろうね。


105:名無しの転生者

ん? でもお婆ちゃん、聖女ちゃんと契約してなかった?

あの子はあの子でゴリゴリの一神教臭の持ち主だと思うけど……


106:名無しの転生者

一神教臭www


107:神婆ちゃん

あっちとは対等な契約だからねぇ。

ちゃんとコントロールできてるっていうか、不必要なものまで流れてこないのさ。

でも、混ざり子にそれを要求するのは難しい。

多分、ほとんどの子はあたしの魂に押し潰されて心が壊れてしまうんだ~よぅ。


108:名無しの転生者

なるほどなぁ。

加護を与えてもらうのはその神様の感覚的にアウト。

契約するのはハーフ連中の能力的にアウトってことか。


109:名無しの転生者

……手詰まりか。


110:名無しの転生者

諦めはぇーよ。

神様が感覚的な部分で拒否反応を示すってことを除けば、加護を与えてもらうのが一番簡単で手っ取り早いんだよね。

なら、例えば童帝に頼んで神代わりの人造精霊を作ってもらうってのは?

ほら、アーシーちゃんとかスペック的には下手な神様より強そうじゃね?


111:名無しの転生者

おお、ええんやないか!?


112:神婆ちゃん

それは止めた方がいいんだ~よぅ。

精霊はあたしたち以上に純粋で変質しやすい。

下手に信仰が混ざり合えば、どんな化け物が生まれるかわかったもんじゃないよぅ。


113:名無しの転生者

……やっぱあかんか。


114:名無しの転生者

う~ん。しかし方向性自体は間違ってないんじゃないか。

精霊が変質するってのは純粋なアストラルで構成されてるからだろ?

ってことは、その精霊に肉の器を与えてやれば何とかなったり……


115:名無しの転生者

なんか余計にとんでもない化け物が出来上がりそうな気がする。


116:名無しの転生者

だよなぁ……


117:神婆ちゃん

>>114 ……いや、悪くないかもしれないねぇ。


118:名無しの転生者

ふぉっ? 人造精霊フレッシュミートゴーレムが?


119:親方ドワーフ

どういうことじゃ、婆殿?


120:神婆ちゃん

あんたがその神になればいいんだ~よぅ!

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