★精霊契約者情報交換スレ その58
「下手人の行方はまだ掴めないのですか?」
「……申し訳ございません」
教国の神殿騎士アーレスは神殿の最奥で教皇の前に跪き頭を垂れた。
教皇からの反応はなく、顔を上げることも許されないアーレスは無言のプレッシャーに耐えかねてつい言い訳を口にしてしまう。
「既に二〇以上の拠点が壊滅させられたことからも、下手人の規模は相当なものであろうと想定し捜査を進めております。しかし今のところそのような集団が動いた痕跡は全く見つからず……また国内の反乱分子、帝国や連邦の異教徒どもに潜ませた手の者からも下手人に繋がるような情報がないのが現状です」
「──つまり?」
「はっ……?」
その教皇の言葉の意図も顔を上げて良いのかどうかも分からず、アーレスは短く呻き声を漏らして固まる。
「長々と私の耳を汚し、結局貴方は何が言いたいのですか? まさかただできない理由を並べている訳ではないでしょう?」
「────」
感情のない教皇の言葉にアーレスはヒュッと喉から音にならない息を漏らし、死を覚悟した。
教国で一定以上の地位に就いている者であれば、教皇含め上層部のほとんどが人ならざる超常の存在であることは理解している。例外は自我のない傀儡か、アーレスのように駒としての有用性を見出され使われている者だけ。それは裏を返せば、役に立たないと判断されればいつ処分されてもおかしくないということでもある。
「──いえ。大変言いづらいことですが、今回の一件、我々は本当に外部の者による犯行なのか疑念を抱いております」
アーレスは咄嗟にそんな言葉を口にしていた。
顔は下げたまま。頭上から教皇が少しだけその言葉に興味を抱いた気配が伝わってきた。
「ふむ……説明なさい」
「はっ。襲撃を受けた拠点に住む者たちは、不完全とは言え尊き方々の加護を受けておりました。それを只人がどうにかするなど、本当に可能なのか、ということです」
この疑念は半ばハッタリのような思い付きだが、決して嘘でもデタラメでもない。口にしながら、アーレスは自らその疑念を強くしていった。
「仮に加護を受けた一〇〇の兵士を倒そうと思えば、只人ならば訓練を受けた兵士が最低でも三〇〇は必要となるでしょうし、その場合でも相当な被害が襲撃者側に出るはずです。不意打ちや奇襲もそう上手くいくものではありません。それだけの大集団が動いて、全く痕跡が掴めないというのはいかにも不自然ではないかと……」
「ふむ……」
教皇が考え込むような気配が伝わってくる。その間、アーレスはいつ気まぐれで首を落とされるのではと冷や汗を流し、沙汰を待つ。
永遠にも感じられた時間は、実際にはほんの数秒の出来事だったのだろう。
「つまり貴方は、同胞の中に裏切り者がいる、と疑っているのですね?」
「……大変、言いづらいことですが」
言いながらアーレスはその推測に説得力を感じていた。
化け物に対抗できるのは同じ化け物の力を持つ者だけだ。
また敵がピンポイントに実験場“だけ”を狙って襲撃していることも気にかかる。何らか加護を持つ者とそうでない者を見分ける方法があるのかもしれないが、内通者の可能性は当然に考えなくてはなるまい。
そしてその可能性を否定するには教国は強くなり過ぎた。これで帝国や連邦との戦況がもう少し拮抗していればまだ話は違うが、往々にして余裕は内々の争いや権力闘争を招くもの。教皇の覇権を面白く思わず、その足を引っ張ろうとする存在に心当たりは多い。
「……貴方の言い分は理解しました。それに関しては私が直接調査しましょう。貴方は引き続き外部犯の線で捜査を続けなさい」
「はっ!」
その言葉でアーレスは自分の首が繋がったことを理解し、そっと安堵の息を吐く。
そしてふと、不快な可能性を指摘したにも関わらず思いの外教皇の反応が穏やかだったことを不思議に思った。
「……何か?」
「──あ、いえ! その、聖下のご機嫌がいつもよりうるわしいような気がいたしまして……」
反射的にそう口にしてしまい、アーレスは内心『折角首が繋がったのに俺は何て余計なことを~!!』と頭を抱えたが、教皇は不敬と怒ることもせず穏やかに笑った。
「ああ。少し良いことがあったので、態度に出ていのかもしれませんね」
微かに弾んだ声。これは聞くのが礼儀だろうとアーレスは恐る恐る尋ねた。
「……何があったか、お聞きしても?」
「実は例の聖女が女になったようでしてね」
「それは──」
類稀なる霊的資質を見込まれて最高神殿で幼い頃から囲われている少女の姿を思いだし、アーレスは絶句する。
「本人は隠しているつもりのようですが、我らの目を騙せるものではありません。今は彼女に相応しい最初の胤を選定しているところです」
そう楽し気に語る教皇がどんな表情を浮かべているのか、アーレスは恐ろしくなって更に深く頭を下げた。
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★精霊契約者情報交換スレ その58
432:名無しの精霊契約者
あ~精霊の変身系能力者ってネギ〇の闇の魔法っぽくなるわけか~
433:名無しの精霊契約者
そうそう。ゲームだと完全に天使や悪魔に変化してたけど、こっちだと変身っていうより融合?
ベースの人の姿は残ったまま、組成が精霊化するイメージだったわ。
これが精霊に変身するケース全般に適応されるのか、それとも童帝が仲介してくれた精霊だけのもんかは不明だけどね。
434:名無しの精霊契約者
なるほどな~。
俺、コストオーバーと化け物っぽくなるのが怖いからスタイルは調教師なんだけど、雷天〇壮スタイルは憧れるし、切り替えんのもありかな~
435:名無しの精霊契約者
育てた精霊は無駄になんないしアリじゃね。
ただ、スタイルは適性の有無が結構影響するから、切り替え前に童帝か教授に相談しとけ。
436:名無しの精霊契約者
……童帝はともかく教授はな~。
あの人、何が凄いのか知らんけど言い方キツクね?
俺らと同じで童帝のおこぼれに与ってる立場で態度デカいっていうかさぁ……
437:名無しの精霊契約者
>>『何が凄いのか知らんけど』
いやお前、教授は童帝以外で唯一八属性──いや、今九属性だったか?──の複数精霊と契約結んでオリジナルの魔術をポンポン編み出しとる変態やぞ。
生産部門と共同で使い捨ての属性石なんかも開発しとるし、実戦経験者で世話になっとらん奴はほとんどおらんやろ。
438:名無しの精霊契約者
マ?
あの三下っぽい喋り方でそんな凄い人だったの?
439:名無しの精霊契約者
喋り方はアレやけど、それ言い出したら掲示板のイメージと中身が違う奴なんか珍しないやろ。
教授もあれで見た目ヤンキーのツンデレ金髪っ娘やで?
440:名無しの精霊契約者
ふぁっ!?
え……そう聞くと急に滾ってきたかも!?
441:名無しの精霊契約者
アホ。
一応忠告しとくが、教授は意外に面倒見はいいけど、ナンパ系には容赦ないからな? もし突撃する場合はモガれる覚悟でいけよ?
442:名無しの精霊契約者
…………(スン)
443:名無しの精霊契約者
>>442 よしよし、賢いぞ。
444:名無しの精霊契約者
教授に限らずコテハン持ちは基本的に化け物揃いよ。
童帝が言うには転生者は潜在能力じゃ大差ないらしいけど、それ以外のところが大違いやからな。
445:名無しの精霊契約者
大違い
・氷弓兵……メンタル・技術・経験ぶっ壊れ → 分かる
・TS聖女ちゃん……ALLカス → ?
446:名無しの精霊契約者
聖女ちゃんをオチに使うのは止めて差し上げろ。
447:名無しの精霊契約者
だからあくまで“基本的に”なんだろ。
何事も例外はある。
448:名無しの精霊契約者
むしろ聖女ちゃんは潜在能力が化け物なんじゃね?
449:名無しの精霊契約者
聖女ちゃんの才能って孕──あっ。
450:名無しの精霊契約者
全く憧れない才能だなぁ(苦笑)
451:名無しの精霊契約者
聖女ちゃんはコテハン持ち(幹部)の癒し枠よ。
452:名無しの精霊契約者
分かる。
453:名無しの精霊契約者
コテハン持ちで思い出したけど、一時期組織化の話とか出てなかった?
454:名無しの精霊契約者
あ~あったな~。
コテハン持ちだけでコソコソ話してたから漏れ聞いた話しか知らね~けど。
455:名無しの精霊契約者
あれちょっと感じ悪くね?
俺ら全体の話なのに、コテハン持ちだけで勝手に進めるってのは横暴でしょ。
456:名無しの精霊契約者
アホ。
俺らは今のとこ何も周りに貢献出来てねぇんだから当然だろ。
457:名無しの精霊契約者
せやせや。
コテハン持ちは実力と功績あっての幹部やねん。
童帝は勿論やけど、他の幹部連中にそっぽ向かれたらワイらは今みたいに生活の心配もせず修行するなんてことでけへんのやぞ。
458:名無しの精霊契約者
僕とか天使の餌にされそうになってたところを、管理人と戦闘班に救出してもらった口ですから……
459:>>455
……そんな寄ってたかってイジメるなよ~
別に本気じゃないって。
ちょっと拗ねてみただけじゃんかよ~──ごめんなさい。
460:名無しの精霊契約者
愚痴は場所と相手をちゃんと選べよ──謝れて偉いぞ。
461:名無しの精霊契約者
まあただ、貢献度からみてコテハン持ちが幹部として方針を決めること自体は当然だと思うけど、>>455の言いたいことも分からなくはないよね。
462:名無しの精霊契約者
>>461 どういうことや?
463:>>461
まだ組織としてというか集団として?
余裕がないのは分かるんだけど、何というか幹部の方針に全然遊びがないのはどうかと思うんだよね~
464:名無しの精霊契約者
……不謹慎やが言いたいことは分かる(苦笑)
技術にしろ製作物にせよ、実用一辺倒に偏り過ぎとるっちゅうことやろ?
465:名無しの精霊契約者
確かに。
ワイも製作班でロボを作りたいと言ったら『原始的な武装も碌に作れてねぇのに出来るか!』とけちょんけちょんやった。
466:名無しの精霊契約者
ロボて……いや、気持ちは分かるがいくら何でも順番すっ飛ばし過ぎだろ。
467:名無しの精霊契約者
>>465 隠れてコッソリ研究すればよくね?
468:>>465
>>467 予算寄越せって意味に決まっとるやろ!!
469:名無しの精霊契約者
>>468 言いたいことは分かるがもちつけ。
流石に最低限の備えもできとらん段階で趣味に予算寄越せってのは無理があるわ。
というか、お前らがそういうこと言うから、コテハン持ちが方針会議に俺らを絡ませようとせんのじゃないか。
470:名無しの精霊契約者
正論(苦笑)
471:名無しの精霊契約者
正論ばかり言うのは良くないと思いま~す
472:名無しの精霊契約者
正論を言われたら僕らは何も言えないじゃないか!?
473:名無しの精霊契約者
>>472 黙っとれ
474:>>472
はい(素直)。
475:名無しの精霊契約者
……いや、お前ら本当に上の言うことに唯々諾々と従うだけでいいと思ってるのか?
俺たちは自由意志を持った人間だぞ。例え不合理と笑われようと、立ち上がり主張しなけりゃならない時があるんじゃないか?
476:名無しの精霊契約者
お、また何か馬鹿が現れたぞ。
477:名無しの精霊契約者
聞くだけ聞いたるから、取り合えず言うてみ。
478:>>475
お前らは不満に思わないのか?
童帝の斡旋してくれる精霊は、半透明の人型だの獣だの武装型だの実用性一点張りだ。アーシーちゃんのような美少女型精霊と契約したいとは考えたことはないのか!?
479:名無しの精霊契約者
…………
480:>>475
俺はしたい!
美少女精霊と契約したい!
イチャコラしたい!!
いやむしろそれを俺たちのスタンダードにすべきだろう!?
481:名無しの精霊契約者
……敢えて目を逸らしていた部分をつきやがる。
482:名無しの精霊契約者
>>480 天才か……?
483:名無しの精霊契約者
>>480 いや、造形に凝ってたり知性を持った人型精霊はコストを圧迫して未熟な状態じゃ大幅に機能を制限しないといけなくなるからって話じゃ──
484:>>475
>>483 そんな理屈はどうでもいい!!
大切なのは俺たちの下半身に響くか否か──そうだろう、皆!?
485:名無しの精霊契約者
おお……!
486:名無しの精霊契約者
……ひょっとしたらワイらはいつの間にか童帝たちに飼いならされとったのかも知らん。
487:名無しの精霊契約者
難しいとか大変だとか、出来るとか出来ないとか、そういう話じゃないんだよな……
488:名無しの精霊契約者
そんな言葉で諦められるなら、俺たちはとっくの昔に真人間になってるさ。
489:>>475
そうだ!
今こそ立ち上がれ同志たちよ!!
美少女精霊を独占する童帝の横暴に今こそ立ち上が──
490:童帝
そっか~。そんなに美少女精霊が欲しかったんだ。
気づいてあげられなくて悪かったね~。
491:名無しの精霊契約者
あ。
492:名無しの精霊契約者
……俺は関係ないんで(ログアウト)
493:>>475
…………
494:童帝
君たちがそんなに美少女精霊と契約したいなら、俺も育成部門の担当としてそれに最大限応えられるよう努力すべきだったね。
495:>>475
あ、いえ。
自分みたいなゴミ屑の戯言なんて気にしないでいただければ……
496:童帝
今までは管理人たちからあんま無茶するなって修行は最低限にとどめてたんだけど、そういう目標があるならちょっとぐらい厳しくても耐えられるよね?
なに、大丈夫大丈夫。ちょっとぐらい死んでも(確率で)蘇生できるから。
コテハン持ちに試してもらった時も氷弓兵は正気を維持できてたし、いけるいける!
497:名無しの精霊契約者
……氷弓兵“は”?
498:名無しの精霊契約者
………
499:童帝
俺もこれから本気出すよ。
500:>>475
…………HONKI?




