表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/37

(36)サイネージ

(2025/11/16)「追記」を追記しました。

 久しぶりに繁華街の某ハンバーガーチェーンに入店したところ。


 カウンターまでの行く手を阻む障害物のように、サイネージが乱立していた。


 ……ちょっと待ったー、住宅地やフードコートの店舗では、ちゃんとおにーさんおねーさんが対応してくれるよー。このあたりは学生や外国人も多いからこっちのほうが利便性が高いのかもしれないけど、昭和世代になんたる仕打ち……よっぽどその場でクルリと(きびす)を返してソッコー退店しようかと、何度か頭の中に渦巻いた。


 しかし、ここで退()いては近い将来どこのファストフードにも入れなくなる。


 意を決して、セルフオーダーのまえに進み出た。――いざ対戦。


 ――しかし、実際に取り組んでみれば。


 私も今ドキの昭和原人なので、なんとなくはプレイを進めることが出来る。ドキドキしながらも、支払まですべて完了、レシート兼番号札を発券してもらって……ホッと一安心。あとは通常の流れと同じなので、無事にセットを受け取って、美味しくいただくことが出来ましたー!


 店内のテーブル席でランチ休憩――よくよく注意して見てみると、テーブルには、テーブル・オーダー・システムのQRコードが貼り付けてある。あとから入店してきたカップルが、並ぶことなくランチをゲットしていた。――なるほど、そういう手法もあるのか、さすが、デジタルネイティブ。


 対照的に、昭和原人のような世代は「デジタル移民(イミグラント)」と呼ぶらしい。


 ……いや、べつに、移民するつもりないんだけど、環境のほうが変移してるだけで。主体的に移住したいわけではないので抵抗はあるが、「昔はよかった」と回顧してても建設的ではないので、「そうかー、イミグラントかー」と思うことにした。けして前向きではないけれど、否定的・消極的に考えるのはやめてみよう。


 そういう目線で見てみると、――サイネージ。


 某店舗では障害物のように乱立しているから威圧的に感じられたが、余所(よそ)ではまあまあ使っている。電車の券売機も、ペットボトルの自販機も、映画館のチケットも――むしろ今ドキはタッチパネルでないと古臭さのほうを覚えてしまう。――そうか、壁に並んでいるから抵抗感なく向き合えるのか。


 しかし、今ドキのサイネージは表裏両面から操作できる。なのに、壁に貼り付けておいたのでは一方向からしか使えないから稼働率が半減する。――なるほど、だからフロア中央に乱立させる必要があるわけだ。


 不思議なもので、昭和原人を威嚇するためではないと腹落ちした途端、なんだか親近感を覚えるようになった。


 最初は抵抗だらけだったスーパーマーケットのセルフレジ。


 でも、最近はこれしか使ってない。


 そりゃあね、カートいっぱいにお買いあげのときなら大威張りで有人レジに持ち込むけどね、チョコレート一箱、お弁当一個、お茶一本等々でスタッフさんを使うことの後ろめたさというか。わざわざお手を煩わせてしまって申しわけありません――みたいな。


 駄菓子一個でも「ピッ!」で決済できるので、心苦しさがない。今のところ利用者もほどほどなので、並ぶことも少ない。セルフレジ――いいことずくめ。


 ……ただし、電子機器にはありがちのシステム障害。


 これに出くわすとゲームオーバー。たいていは短時間で復旧するものの、そうでないこともある。そういうときはお財布に現金がないとアウト。まだまだ改善の余地はありそうな気がするが、完全に近いものが出来上がるころにはまた別次元の手法が台頭してるんだろうなあ……。


 ――昭和原人がまだまだ就学前の小動物だった時代。


 小さな田舎町に、「初めての自動販売機」がやってきた。


 なんと、缶ジュース。小瓶での販売が一般的だった時代なので、とにかく画期的。――あのころは新しいモノってなんでも輝いて見えたなあ。


 とにかく当時の最新技術、豆粒ぐらいの私は、百円玉を握り締め、喜び勇んで設置してある近所の酒店まで走っていった。


 ……購入できなかった。


 きわめて物理的かつ個人的な理由で、コインの投入口まで身長が届かなかったから。


 酒店のおばちゃんが出てきて、百円玉を入れてボタンを押してくれた。


 ――無事に、炭酸入りオレンジジュースをゲットすることが出来た。達成感はもちろんゼロ――残念ながらあまり嬉しくはなかった。


 小動物の私が「初めての自動販売機」を体験するのは、もう少し縦方向に伸びてからになる。


(追記)

 ショッピングセンターを周回してたら、ランチはしっかり食べたにもかかわらず、月見商品の広告につられてフラフラと注文カウンターへ。――ここの店舗はまだ有人。


 バーガーだけのつもりだったのに、期間限定のソースが出てるということで、ついついナゲットまで注文してしまった。――今はお(なか)いっぱいなので、当然お持ち帰り(テイクアウト)


店員さん:あと十円プラスすればセットになるからお得ですよ。

私:テイクアウトなんて、ドリンク持って帰るのはちょっと。

店員さん:ミルクとかパック入り飲料ならお持ち帰りも(わずら)わしくないですよ。


 ――おー!


 ご提案のとおりにしました。


 この店員さんは名札にマネージャーとあった。小さな便宜に寄り添ってくれる接客……さすがです。


 こういうの、機械には出来ない。人間であっても、出来るひととそうでないひとがいる。だからこそ「マネージャー」職の評価となるし、――小さな心づかいに出会ったとき、ことさらにほっこり嬉しく感じられるもの。


 (かゆ)いトコロに手の届く対応……でも、そのうちAIアシスタントでも普通に出来ちゃう世の中が来るんだろうなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ