(10)フードコート
昭和時代、百貨店や大規模商業施設(今風にいうならショッピングセンター)の最上階には「大食堂」があって、休日の家族サービスのメッカだった。店頭のショーウィンドウにはこれでもかというほどに食品サンプルが飾り付けてあって、ファミレスのように品揃えも豊富だった。
洋食、和食、麺類、デザート――エトセトラ。
それでもやっぱり目を引くのは、お子さまの目線の低い位置に配置されていた、究極のお子さまランチ。
今は、高層階に存在するのは高級店で、家族サービスに最適なのは低層階のフードコートになってしまった。
昭和世代はセルフサービスには抵抗があったが、世紀のパンデミックを経験した今となっては、すっかり慣らされてしまった。ビバ・セルフサービス!
昭和時代の大食堂は入口があって店舗と通路がしっかり区分けされていたが、フードコートはそのあたり緩かったりする。まあ、それが、フードコートの開放的で好ましい点でもあるのだが。
――最近、ちょっと驚く光景を目にした。
なんと、フードコートのテーブルで、堂々とお手製のお弁当を広げている大人が存在するのだ。
びっくり……百歩譲って、同じ施設内の食品売場で買ってきたお弁当なら――まあ、理解できる。……消費税が8パーセント(テイクアウト)か10パーセント(イートイン)かの議論はあるかもしれないが。
しかし、フードコートは出店している飲食店で飲食物を購入した来店客が飲食するためのスペースであって、厳密にいうと持ち込みはマナー違反……っていうか、営業妨害に当たるような気がするのだが。
犯罪性は希薄にしても、日本人の価値観として、マナー違反は「恥ずかしい」というか「いたたまれない」というか……今の時代は違うのだろうか?
誤解があるといけないので明記すると、「今ドキの若いもの」に限らない。
むしろ、昭和原人世代の中年以上のほうが目に付く。
施設関係者が黙認しているのであれば、ただの来店客である私が口を出すことでもないが、たまにはちゃんと施設店舗のメニューも楽しんでほしいと思う次第である。




