第六話
今日は体育祭の関係で早く学校に行かなければならないので早めに投稿です。
「はぁ、ありがとう」
「大丈夫か?」
「うん、それにしてもこの人たちはどこに向かって──」
いいかけた瞬間、大音量で音楽が流れ始めた。
状況を理解しようと回りを見渡すと、いつの間にか私たちは体育館に来ていた。
音楽が流れてくる方向をみると、ステージ上には、文化祭実行委員長であり、ムードメーカーの先輩が会場を盛り上げていた。
「皆~盛り上がってるか~い?!」
「イェイ!!」
「さぁ会場も温まったところで次は皆お待ちかね天坂くんでーす!!」
女子生徒たちの黄色い悲鳴と共に現れたのは、高校三年生の先輩で学校の人気者、天坂先輩だ。
(さっきの人の波は天坂先輩を見るためのものだったんだ…)
そのあとは、そらくんと文化祭をまわったり、もちろん、自分のクラスの仕事や実行委員の仕事もした。
恋に恋する、かぁ。
本当にその通りだと思った。私は、そらくんに恋してるっていう今の状況や、その想いが大好きだ。そらくんを好きって思う気持ちが愛しい。でも今日は言うんだ。いつまでも自分のなかでとどめておくことはできない。もう、自分の気持ちを止めることはできないんだ。
◆◇◆
後夜祭も終わり、それまでの喧騒が嘘だったかのように静まり返った学校。
私は、1人教室に残り、清水君を待っていた。
しばらくして、借りていたものなどを返す作業などを最後までしてくれていた清水君が教室に戻ってきた。
「まだ片付け終わってないのか?」
「ううん。さっき終わったとこだよ」
「そうか、じゃあ教室のカギ、閉めてもいいか?」
「…ちょっといっしょにさ、外見ない?」
「外?べつにいいけど」
いざ告白するとなると緊張してしまって自分からうまく切り出せない。
いまも、いっしょに外を見たいなんて変なことを言ってしまった。
「文化祭、おわったね」
「あぁそうだな。終わってみるとさ、なんだかあっという間だった感じがするよな」
「うん。清水君は、今年の文化祭楽しかった?」
「もちろんだよ」
「そっか…」
会話が途切れると、まだ敷地内で遊んでいる生徒たちの声が遠く聞こえてきた。
二人で並んで星の輝き始めた空を眺めていると、少し強めの風が吹いた。
「クシュンッ」
「大丈夫か?」
「うん、だんだん風も寒くなってきたね」
「そうだな。…さてと、体が冷えないうちに帰るぞ」
そういうと、清水君はスタスタと教室の中に入って行った。
二人で窓のかぎの確認などを済まし、あとは教室のカギを締めるだけとなった時。
教室から出ていこうとする清水君の制服の裾を、掴んでしまった。
やっと、やっと自分の気持ちを伝えられる。
そう思うと同時に胸がドキドキとうるさくなっている。
「待って!」
「清水君に、伝えたいことがあるの」