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君の笑顔がうれしくて  作者: 武島睦月
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第五話

昨日、更新し忘れました。


あと、ブックマークついてて嬉しかったです。

してくれたかたありがとうございました。

まだのかたはぜひお願いします。

十月に入り、本格的に学校全体が文化祭に向けて動き出した。


それは私たちのクラスも同じで、文化祭に出すものの準備に取り掛かっていた。




出し物を決める会議をして、それぞれの役割を決めて…。


その結果、私たちのクラスでは演劇喫茶をやることに決まった。


王子様やお姫様、他にもいろんな役の人が衣装を着て演劇をしたり、接客をするのだ。




清水君は皆(特に一部の女子、もちろん私も含む)から王子様に推薦されて照れながらも王子様の格好をすることに決まった。




かわいい感じのする清水君には王子様の格好はきっと似合うと思うから衣装を試着してみる日が今から楽しみでしょうがない。




◇◆◇




文化祭一週間前、教室でポスターを書く係の人たちと一緒に描いていると、背後から清水君が話しかけてきてくれた。



「えーと、2-B演劇喫茶、2年B組にて開店中か。ひなたは絵が上手いんだな」

「え、そ、そうかな?」

「相当うまいって、俺こんなにいろんなもん書けないし」

「えへへ~ありがとっ」


褒められたのが嬉しくて、後ろを振り向いて笑うと何故か清水君が口元を腕で隠しながら赤くなっていた。

どうしたんだろ?


(ってこのままじゃ会話が終わっちゃう!なにか、なにか話題は…)


「あ!清水君。絵、描くの手伝って欲しいなぁ〜」

「でも、俺、さっきもいったけど絵下手くそだよ?」

「だいじょぶだいじょぶ。さ、この紙に、描いてみて?」

「絵描くのホントに苦手なんだけどな~」


といいながらも、紙は受け取ってくれた。ペンを持って、あれ?こんなはずじゃ…なんて言いながら真剣に描いてる。


しばらくすると、


「よしっ、できた!」


と意気込んで、紙をこっちにみせてきた。

紙には、手をつないでいるクマとウサギらしきものが描かれていた。

が、お世辞にもうまいとは言えない。まるで小学生が描いた絵のようなありさまだ。

なにより、コスプレ喫茶のポスターとしての役割を果たしていない。


クマとウサギが手をつないで立っている絵からはコスプレ喫茶なんてものが一つも連想できない。

でも、なぜだか私には、絵も清水君もめちゃくちゃ可愛いく見える!


まるで小学生が描いたような絵を自信満々とは言えないけど照れながらもこちらに突き出すように見せてくる清水君におもわずキュンときた。


清水君の意外な一面も見れたし、そろそろ文化祭、私も覚悟決めなきゃ。

来年には高校三年生、恋愛なんてしてられなくなっちゃう。




◇◆◇


待ちに待った文化祭当日、私はそれぞれの出展ブースで人があわただしく動く中両手をグッ、として気合を入れていた。


(今日こそ、清水君に告白するんだ!よ~し、がんばるぞ~)


すると後ろにいたゆきのとめぐみが二ヤリと笑いながら肩を叩いてきた。


「ひなた、ちょっとこっちきて」

「なに~?」

「まあまあ、いいからこっちきて」


どうしたんだろう?

何か二人に頼まれてた仕事とかはなかったはずだけど…


――5分後


「よしっ」

「やっぱり、よく似合ってるね」


なぜか私は演劇喫茶で使う衣装の一つであるメイド服を着せられていた。


「じゃ、これでいってこいっ!」

「えぇ?!」

「その格好で行けば清水なんてイチコロだって」

「こ、こんなの恥ずかしくて着ていけないって!」

「えぇ~かわいいのに~」



二人の協力は嬉しいけど、あんな格好じゃ恥ずかしくて歩けないし…


◇◆◇


(よし、行こう!)


二人に見送られた私は、清水君を探して歩きだした。

少し歩いて階段の近くに近づいたときに角の所から誰かがいるのが見えた。


「だれだろ?」


そう呟きながらそこにいた人の顔を見てみると、清水君だった。

見つけた嬉しさから話しかけようと、近づいていったところであるものが見えて壁に隠れてしまった。

確かにそこにいたのは清水君だった。


でも、後輩の女の子たち三人くらいに囲まれていたのだ。


(あの子たち、文化祭実行委員会の会議とかで見たことある)


清水君もかわいい後輩の子たちに囲まれて困っているような、でもどこか照れて嬉しそうな顔をしていた。


「やっぱり、私なんか…」


さっきまでの決意はどこに行ったのかそんな考えがあふれ出してきてしまう。

これ以上ここで眺めていてもどうしようもない。


そう思って一人で回ろうとその場から立ち去ろうとした時だった。

後ろから駆けてくるような足音が聞こえたと思った次の瞬間柔らかくほほ笑んだ表情の清水君が角からひょっこりと出てきたのだ。



予期せず顔が至近距離まで近づいたことで急速に自分の顔が赤くなっていくのがわかる。


状況が理解できず、ボーっと清水君の顔を眺めていると、清水君もこの顔の距離は予想外だったのか少し顔を赤くしてボーっとしていた。


見つめあっているような状態で二人して立ちつくしていると、状況をいち早く理解したらしきさっきまで清水君と話していた後輩の女の子たちが私に向けて抗議の目を向けながら近づいてきた。


(ど、どうしよう)


「ごめん!まきこんじゃって!とりあえず、一緒に逃げよう?」

「え?え?!」


近づいてきた後輩の子たちの様子を見てから、清水君は私の手を取って駆けだした。


手を握られて走っている間、こんな状況なのになんだか楽しかった。

清水君も楽しそうにこちらを振り返って笑いかけてきたりしていたからたぶん同じ気持ちだったんだと思う。


後輩の女の子たちから逃げ始めてそこそこの距離を走った頃。

ゆっくりと走るスピードが落ちていき、私たちの足は止まった。


「はぁはぁ」

「ふぅ、もう追って来てないみたいだね」

「え、あ、ほんとだ」


よかった~振り返った時に見えた女の子たちの顔がなんか危機迫っていて怖かったんだよね。

でも…清水君と一緒に走れたのは楽しかった。


「ごめんな、巻き込んじゃったみたいで」

「え?」

「とっさに走り出しちゃったけど…迷惑だっただろうなって思って…」

「だ、大丈夫!!なんか走ってる間楽しかったし!」

「そ、そうか。実は俺もちょっと楽しかったんだ」


照れくさそうに手でほほをポリポリとかきながらそう言ったところで、まだ手を繋いだままだったことに気づいたらしく清水君が左手を離した。


手を繋いで走っていたことを思い出して頬を赤らめながら話題が見つからずなんとなく二人で見つめあっていると、突然どこからか現れた人の波に呑まれてしまった。


この人たちはどこから来たのかとか、もっと清水君と見つめあっていたかったとかそんなことを思う暇もなくどんどんと清水君と離れていってしまう。


なんとか人の隙間から清水君を見つけてそちらにいこうとすると清水君も、こちらを見ながら手を伸ばしてきてくれていた。


「ひなた!」

「清水君!」


無意識に手を伸ばしながら相手の名前を叫んだところで、清水君の手を掴んだ瞬間私の体は清水君の方に引き寄せられた。

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