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君の笑顔がうれしくて  作者: 武島睦月
2/8

第二話


結愛ちゃんは金髪になっていて、かわいくメイクもしていた。

制服の着方が今までとは全く違って、スカートがすごく短くなっていた。

それに髪を凄いまとめ方をしてるからなんだか、お嬢様みたいだ。

オ―ホッホッ!みたいな笑い方が似合いそうな感じになっている。

ぱっと見、誰だかわからないくらい変わっていたけど前までの地味な感じが全くなくなって素直にかわいいと思った。


たけど、なんとなくギャルっぽい見た目になってるから近づきがたくて、無意識のうちに教室の端の方に移動していた。


(前髪切ったこと、誰にも気づいてもらえてない。結愛ちゃんのイメチェンのほうがインパクトあるのはわかるけど…)


「ひなた、おはよう~」


「おはよう、ゆきの」


端の方に移動したところで、今度はクラスメイトのゆきのが話しかけてきた。

いまだに小学生に間違えられるほど小さな身長のゆきのは朝が弱いらしく、いつも朝は呆けたような様子で挨拶をしてくれる。


「結愛ちゃん可愛くなったよね~」

「うん!、私もそう思う。ハァー、私もかわいくなりたいな」

「ひなたはもう十分可愛いじゃん」

「そうかな~、そういうこと言われると照れちゃうな~」

「お世辞じゃなくて本当に可愛いと思ってるよ~」

「ありがと。ところで、なんで急にイメチェンしたんだろ。ゆきのなんか知ってる?」


前の結愛ちゃんは、はっきり言って私より地味だった。

真っ黒の髪をおさげにしていて、制服も校則よりもきっちり着ていた。

そんな地味だった結愛ちゃんがこんなにギャルっぽくなったのには絶対理由があるはず。


「なんかね、結愛ちゃん好きな人ができたんだって」

「へぇ~、じゃあ好きな人のタイプな感じになりたくてイメチェンしたってこと?」

「そこまで詳しいことは知らないけど多分そうなんじゃないかな」


好きな人のためにそこまでできるのはすごいなって思う。

自分を変えることは大変だと思う。

今までの自分を捨てるんだから。


そのあともゆきのと話していたらいつの間にか時間がたっていたようで、教室の前のドアを開けて担任の先生が入ってきた。


「お前ら~早くせきつけ~HR始めるぞ」

「あ、先生きちゃった。この話の続きはあとでね」

「うん」


先生の登場を合図にクラスのみんながそれぞれの席に戻っていく中、私も自分の席に向かって歩き出した。

今日は授業変更なども特になかったのでそろそろ近づいてきた文化祭実行委員会は明日の放課後に集まりがあるという連絡だけだった。


「じゃあ学級委員号令を――」

「先生!日直は?」

「ああ、忘れていた。ありがとう。ええっと、今日は近藤か。大丈夫だと思うがしっかり頼むぞ」

「え、あ、はい」


そういえば、今日は私の番だった。

ちょっとボーっとしてたから返事が少し遅れた。


先生から日直日誌を渡されてから、挨拶をしHRは終わった。


(はあ、しっかりしなくちゃ)


HR中にボーっとしてしまったことを思いだして少し落ち込む、ゆきのあたりに言ったらたかがボーっとしてただけなんて言われそうだけど今日は朝から遅刻しそうにもなったし、気を引き締めていこう。


(うん!そうしよう!)


自分に気合を入れていると、ふと前のほうで話している男子生徒に視線がいった。


自分の席の二つ前の席に座っている男子と本を見ながら何か話しているその男子は、私が最近気になっている人だ。

清水 空(しみず そら)、少し低めの伸長に女の子みたいなきれいな顔、特に笑っている時が可愛い。


気付いたら目で追ってしまっている。

きっかけは――たぶん入学式のときなんだと思う。

そう考えるとそろそろこの片想いも一年半になる。


(といっても、そんなに親しくなれてるわけじゃないからいつも話すとかそういう関係にすらなれてないんだっけどね…)


友達としてはともかく、恋愛としては進展どころかスタート地点にも立てていないかもしれない自分の状態を改めて考えると、自然にため息が出てきた。


(考えたところですぐには変わらないんだし、次の授業の準備でもしようかな)


そう思って鞄から次の数学の授業で使う教科書やノートなどを取り出して机の上に置いていく。


授業の準備ができた私は、つい窓の外の景色を見ていた。


(空、青いな~)


もうすぐ夏も終わるというのに空は雲ひとつない快晴でまだ秋という感じはしない。

その時だった。


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