魔法とスキル
クロードの話を聞き終えて、細かい突っ込みどころはあるが大筋は信じる事にしよう。
私はとりあえず自分の知識にない事を聞いてみることにする。
「えーっと、魅了ってなに?」
その問いにクロードは簡単に説明してくれた。
「基本的に魔法というのはMPっていうものを持ってさえいれば誰でも使えるんだ。だけど人間は空気中に漂う魔素、つまり魔法の元になる力だね。これを扱うのがとても下手な者が多い。だからMPがあっても魔族ほど上手く魔法は使えない。それを補うために杖とか媒体を何かしら持ってる事が多いんだけど、王子の使っていた魅了は魔法ではなくスキルの方なんだ。」
「スキル?」
「あぁ。たまに産まれながらにスキルを持っている者がいる。スキルっていうのはその人しか使えない特別な魔法みたいなものであの王子が持ってたのは魅了のスキル。相手をメロメロにしちゃう能力だと思えばいいよ。」
スキルといい、MPといい、結構ゲームと同じ感じなんだね。これなら混乱しなくていいや。
てかあのクソ王子そんな事してたのか。道理で彼女達の様子がおかしいはずだ。
「それじゃ、なんで私は効かなかったの?」
「んー、全然興味がないと効かない事があるってきいたことあるからそのせいじゃない?」
「あー」
確かにかっこいいとは思ったけど趣味じゃないんだよね。
どちらかというとマッチョの方が好きかもなー。ヘロヘロの軟弱な同僚達(彼らは運動する暇すらなかったからしょうがないけど)をずっと身近に見ていたので意識しにくくなっているのかもしれない。王子もやしみたいに細くて白かったし。
なんてくだらないことを考えている私に気付いているのかいないのか、クロードは次の話題に進む。
「君は聖女なんだし、何かスキルを持ってるかもね?」
(スキルか、面白そうだなぁ)
私の頭はすぐにくだらないことは忘れて次の興味に移っていく。
「どうやって確認するの?」
「鑑定士のスキル持ちか専用の魔法具がないと確認できないね。」
「ふーん、不便なのね。」
ゲームとかではステータスってすぐ開けたのになぁ。
そんな事を思っていると急に目の前に文字の羅列が現れた。
――――――――――――――――――――――――――
名前 堂山 里香
年齢 24歳
レベル 1
性別 女
HP 240/300
MP 15000/15000
スキル 鑑定士/無限回廊/聖なる祈り
EXスキル ???
称号 ミレイの客人
――――――――――――――――――――――――――
(これは、ステータスってやつ?)
スキル欄に鑑定士がある。どうやら心でステータスと唱えるだけで見ることが出来るみたいだ。
(他にもスキルがあるけど、なんのことかさっぱりだわ。)
EXスキルなんてのもあるし、称号も意味がわからないし頭が痛くなってきた。
確かにゲームは好きだしRPGなんかも多少は知識があるがあれは丁寧なチュートリアルと簡単な操作性を実現してくれている企業努力の賜物だ。現実にスキルやら魔法と言われてもなかなか慣れるのは大変そうだ。