変態なの?
「他にも方法あったでしょうがぁーーーつ!!」
自分の叫び声で目を覚ますと私は森の中にいた。
時間は夕方のようで先程お城?にいた時は日が明るく辺りを照らしていたので少なくとも数時間はたっているようだ。
身体の上には黒いマントのようなものがかけられていた。
近くには湖があり、水面はしんと静まり返っている。
立ち上がってみるが特に怪我をしたところもないようで痛いところはなかった。ただ、ドラゴンの唾液が乾き、カサカサして気持ちが悪い。
キョロキョロと周りを見回しているとガサガサと葉を踏みしめる音がきこえてきた。
「あっ、起きた?おはよー。いや、おそよー??」
そう言う声はさっき逃がしてやると言っていた声そのものである。
木の陰から現れたのは同い年くらいの黒髪の青年だった。全身黒っぽい服なのだが何故かタートルネックのノースリーブで丈が短いシャツの上、腰パンなのでおへそどころか肋骨から腰骨あたりまで丸見えである。腕には長い手袋をしてるので肌が見えるところは少ないがそんなのつけるなら長袖にすればいいと思う。
下は長ズボンで腰には小さなポケットのいっぱいついたポーチのようなものを提げている。ズボンの上に膝下まであるブーツを履いているのでホント上半身(主にお腹)だけ寒そうである。
「え?変態?」
「助けたのにその言い草酷っ!てか第一声がそれ?」
私の失礼な発言にもケラケラと笑い、特に気にした様子もない男は手に持っていた枝や枯れ葉を地面に置く。
すると勝手にパチパチと枝が燃え出しあっという間に焚き火となった。
「そろそろ日が落ちるからね、焚き火の材料探してたんだ。1人にしてごめんね?」
悪いとは微塵も思っていない顔で男は言うと私に両手で持てるくらいの麻袋を投げてよこす。
「日が完全に暮れる前にそこの湖で身体を洗うといいよ。気持ち悪いでしょ?そこに着替えとか入ってるからさ。お風呂じゃなくてごめんねー。」
そう言うと焚き火の前にどかっと腰を下ろす。
「…いやいやいや、そこにいられたら入れないです。」
「え?なんで?」
「私に人前で裸になれと?」
「俺は気にしないよ?」
何なら一緒に入ろうか?そう言って服を脱ごうとする男を私は必死で止める。
いくら恥ずかしいんだといっても一向に理解してくれず、めんどくさくなってとりあえず背中を向けるようお願いする事でどうにか解決した。
この世界の人って羞恥心ないとかじゃないよね‥なんてちょっと不安になった。