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聖女召喚


恐る恐る目を開くとそこは大きな広間だった。

目の前には杖を持ち、ローブを羽織る男が私を見下ろしている。


(一体何‥‥?)


疲れたなんて感情は吹き飛ぶほどの異常事態に意識は一気に覚醒した。

周りを見回してみると同じく杖を持ち、ローブを羽織る男達がいて、それぞれの前に呆然とした表情の女達がいた。


(これってよく漫画とかで見たことがある異世界召喚ってやつ?)


現実に日本でローブを着てる人なんてハロウィンの日にくらいしか見たことがない。技術的にも転送装置なんてものはないし一瞬で違う場所に移動させられた自分の状態からして非現実的なことが起きた事を否が応でも理解させられた。


服装的にここにいる女性達は私と同じように召喚された人達らしい。スーツから制服までいろんな年代の人がいるみたいだが、最高齢でも20代後半くらいだと思う。


下には豪華な絨毯がひかれ、正面には階段がありその上に目を向けるとそこには偉そうに豪華な椅子に踏ん反り返って座るおじさんがいた。頭には宝石の散りばめられた豪華な王冠をかぶり、いかにも王様といった感じである。

その横には金髪にブルーの瞳を細め、佇む綺麗な男の人が立っていた。周りにいる女達は皆周りを見回した後、男の人を見つけると頬を染め見つめている。


「よくやった。君たちの働きに感謝する!」


そう大きな声で王様らしき人が声をかけると私たちの前にいた杖を持った男達が王の方を向き膝をつけ頭を下げる。


「我が国、ロールロイゾンへようこそ。聖女様方!急にこのような所に連れてこられ不安であろう。まずは説明させていただこう。」



そう王様が言うと私達の周りにいた魔術師みたいな人達は皆端により、王様の隣に立っていたイケメンが一歩前に出て説明し始めた。

内容はよくある通り、この世界はグラステアというらしく、人間と魔族が暮らしていて長年この2つの種族は争っているそうだ。今回私たちを召喚した理由は魔族達は強力な魔力を持ち太刀打ち出来ない。だが、異世界から召喚した聖女ならその聖なる力で我々人間に魔族と渡り合える力を与えることができる。どうか一緒に戦ってほしい。との事だった。


「我々人間は長年魔族達に苦しめられて来た!長引く戦いのせいで民達は食べるものも充分になく、他の国の中には戦うことを諦め停戦を結ぶ所まで出ている。だが、我々は人間だ。魔族に頭を下げるなどあってはならんのだ!どうか皆一緒に戦ってほしい、頼む。」


そういうと王様と王子は揃って頭を下げる。


(気にくわないな…)


私はそれを見て思わず怪訝な顔をしてしまった。


(停戦を結ぶ国があるという事はまず、魔族は話が通じるということだろう。それなのに魔族なんかに頭は下げたくないから戦うって…。それも異世界の人間まで巻き込んで、頼み込んではいるが上から見下ろす位置にいて頭を下げるなど馬鹿にしているとしか思えない。)


私はこの国は信用ならないと思った。



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