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異世界召喚とかマジか
真っ暗な住宅街を俯きがちに歩く1人の女がいた。
着ている服はヨレヨレで背中まで伸びる黒髪は疲れからか艶を失っている。
私は堂山 里香 24歳。
高卒で入ったサービス残業当たり前のブラック会社で働いている普通の社会人だ。
「うふふ…今日は終電に間に合った…」
いつもならそのまま朝を迎える事など当たり前の毎日の中で終電に間に合い、家に帰れるなど奇跡に近い事であった。
こんな真夜中に女1人で歩いているなど不用心にも程があるがそんな事も考えられないほど疲れ切っていた。
「早くお風呂に入りたい…」
里香の頭の中は一刻も早く家に帰りたい。それだけである。
家へ続く静まり返った道をひたすら歩いていると
「えっ?何?!」
地面が急に光り出し下から里香を激しい光が照りつける。
そのまま光は増していき、余りの眩しさに目を瞑ると光は里香を飲み込んでいきそして光がおさまるとそこにはもう誰もいなかった。