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俺氏、スライムのうわさを聞く

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。

おそらく

幻獣の中で、一番情報を持っていないのは巨大スライムだろう。

彼は一人、宍道湖に浮かんでくつろぐ。


そんな彼には、一つ確信があった。

無根拠な確信。


『スライムだから、僕最強』


理屈ではない。

彼の中では一つの真理であり、全く疑いのない事実だった。

そう、彼の中では。


だが彼は静かにたたずむ。

そのため、今では出雲大社にお参りした後、巨大スライムの写真を撮るのが流行っている。


もちろん政府は、危険かもしれないので近づかないように注意喚起しているが、民衆は気にしていない。

インターネットで『安全な幻獣』として紹介されているのを皆が信じているのだ。

そしてその『安全な幻獣』という紹介をしてる人も根拠が有って言っているわけではない。

なのにグーグルで出てきたその言葉を疑う人が少ないのだ。


根拠はないのに。


だから今日も観光客が詰めかけていた。


たしかにいつもなら安全だった。

しかし今日の観光客はちょっとした地雷を踏む。


修学旅行できていた中学生の二人。

田淵君と飯沼君


「おい、幻獣最強は何だと思う?」


「やっぱ一番大きいリバイアサンじゃないの?」


「いやいや、グリフォンでしょ。飛ぶし強そうだし。」


「飛べて強いなら、ドラゴンだって最強だろ。」


スライムにその言葉を聞かれてしまった。

スライムは身をくねらせて、その中学生に接近した。


「こぽこぽこぽ(君たち!幻獣最強はスライムに決ってるじゃん!)」


いきなり岸に向かって接近してきた巨大スライムに、観光客たちは大パニック。


民衆の慌てぶりに、巨大スライムも慌てた。


「こぽぽぽぽぽ(まって、僕は悪いスライムじゃないよ!)」


当然言葉は通じない。


奇怪な音を出しながら寄ってくる巨大スライムから逃げようと、ドミノ倒しになった民衆。

この日、86人もの重軽症者を出した。


翌日の新聞で、このことは大々的に報道され、対策を怠った政府は大きく批判を浴びることとなる。


しかし、新聞は真実を報道していなかった。


見出しには『巨大スライム、理由なき攻撃性を発揮』と書かれていたが、実際は理由がある。

さらに、『巨大スライムは知性がないので一定の刺激に反応するのでは』という大学教授のコメントも掲載されていたが、これも間違い。


巨大スライムが暴れたのは理由があり、知性も人並みに高い。

だからこそ、一部の者を除いて、巨大スライムの次ぎの行動を全く予測できていなかった。


巨大スライムは考える。

『最強を探しに行くぜ』と。


次の日、宍道湖から姿を消す。

目指すは、観光客が言っていた他の幻獣がいる場所へ。


だが、どっちに行けば幻獣が居るかわからない。

なので適当に移動を始める。


巨大スライムは、停止モードになると高さ3メートル。直径8メートル。

だが移動時は不定形になる。


猛烈な速度で湖を飛び出し移動を始めた。

周りはパニックになる。


だがそんなことは気にしてはいられない。


彼は行かなければいけないのだから。

スライムが最強だと証明するために。




********



ドラゴン和明は、麻田副首相の屋敷でゴロゴロ。

亜里香(10歳)の部屋でくつろいでいた。


となりで、ゴロゴロしているフェンリル薫が尻尾でパシパシたたく。


『ねえ和明さん、亜里香ちゃんが学校に行ってる間は暇ね。暇すぎて辛くない?』


『いいや。今までい忙しかったから、こうやって無職ニートを楽しむのも悪くないぞ。暇を楽しんでるから俺は問題なしだ。』


フェンリル薫はむくりと起き上がり、前足でドラゴン和明をパシパシたたく。


『遊ぼうずら。ねえ、遊ぼうずら。』


その前足を、尻尾で軽く払うドラゴン和明。


『いやだよ、薫さんすぐ噛むんだもの。俺は静かにしたいの。』


しかし、ゴロゴロするドラゴン和明に、しつこくパシパシ犬パンチ。


『ケチケチしなさんなよ。私は退屈に堪えられないんのだよ。お願いだからー。おーねーがーいーだーかーらー。』


『薫さんウゼー。しかたないなあ。ちょっとだけだぞ』


もぞもぞと亜空間からトランプを出す。

そして、ふわふわと空中で昼寝をしている、フェアリー熊代をつかんだ。


『はいはい、熊代さんもこっちに参加して。薫さんと遊ぶよ。』


『ふわー。なんじゃ、ひとが昼寝を楽しんでおるというのに。』


『文句は薫さんにいってくれ。俺も被害者の一人にすぎないんだから。』


そして、トランプを配ろうとしたとき・・・


バタン!

部屋の戸が勢いよく開いた。

戸を開けたのは亜香里の母である、麻田朱美だった。

気弱そうな顔に、セレブな服装が微妙にちぐはぐな女性だ。



「ドラゴンさん、すいませんが急ぎでお願いがあるのですけどいいかしら。」


『急ぎ?もちろん問題ないけどどうしたんだ?』


「いま夫に、巨大スライムが暴走しているという連絡が来たのです。それが前みたいにこちらを襲ってこないか心配でして。巨大スライムの場所を探ってもらえないかしら。」


フェンリル薫がシュタっと前足を上げる。


『おっしゃ、では薫さんが探してしんぜよう。黙って座ればピタリと当たる。むむむ、、、はい見つけました!』


その言葉にフェアリー熊代が飛び上がって動揺した。


「薫ちゃんに探知できるという事は、関東まで来たという事じゃな!どこに向かっておるのじゃ。」


『えっと、いま東名高速を使って時速120kmくらいで移動しているから、30分以内には23区にインするね。』


朱美の顔が青くなる。

屋敷を襲撃された記憶がよみがえったのだ。


「あ、あの、大丈夫でしょうか?」


質問されたが、ドラゴン和明たちも答えを知らないので困る。

フェアリー熊代が、やれやれという表情で朱美の肩を叩いた。


「まあ慌てるでない。まずはワシが高速飛行で会いに行ってくるわい。会って話を聞いてくれば何かわかるじゃろう。」


麻田朱美は、フェアリー熊代の小さい手をとりペコペコ頭を下げた。

「ありがとうございます。ありがとうございます。どうかよろしくお願いします。」


頷くと、フェアリー熊代は窓から飛び出す。

東名高速に向けて。




巨大スライムは、高速道路を走る。

まるでタイヤのように転がって。


出来たらリバイアサンかドラゴンに出会いたいと思いつつ、勘で進んでいる。


(僕が主人公だから、絶対に出会えるはずだ。)


理屈はない。

理屈抜きの思い込み。


そんな思い込みで無根拠に転がっていると、いきなり転んだ。


ずざざざー


転がっているので転ぶわけがない。

しかし転んだ。

混乱しながら、ぽよんと停止して周りを見ると、


目の前に小さな女の子が浮いていた。

人よりもはるかに小さい。

背にはトンボのような羽がついている。

フェアリー熊代だ。


巨大スライムはピンときた。


『君はもしかして、小さい妖精に見えるけど実は魔王の一人とかでしょ。』


ちょっと混乱するフェアリー熊代。

「おぬし、何を言っておるのじゃ?ワシは普通にフェアリーじゃろ。」


『魔王じゃない?じゃあ妖精女王?』


「おぬしも相当に面倒くさいヤツのようじゃのう。ワシはただのフェアリーじゃ。それ以上でも以下でもない。それよりも聞きたいことがあるのじゃが良いか?」


明らかにきょとんとしたスライム。

『えっと、なにかな?』


「おぬし、こんな勢いよく転がってどこに行くつもりじゃ?」


するとドヤ顔が返ってきた。

『僕より強い奴に会いに。』


「答えになっておらぬわ。どこの場所に向かっておるのじゃ?」


『直感と運命に従って。』


「うわー、本当に面倒な奴じゃのう。・・・そうじゃ、もしよければワシが転移魔法で希望の場所に連れて行ってやれるぞ。どこか希望はあるかのう。」


『おおおお!転移魔法きたこれ。じゃあ四天王最弱から倒したいのでソコソコ強い奴の場所に送ってくれるかな。』


フェアリー熊代は『四天王最弱』の意味が分からず腕を組む。


「うーむ、おぬしの言葉は分かりににくいのう。もっと具体隊的な説明を頼む。」


『しかたないなあ。・・・とりあえず戦力的に弱そうな幻獣のいる場所に送ってくれるかな。それを倒して、徐々に強い奴に挑戦していくから。』


「幻獣最弱は、おそらくワシじゃ。」


『じゅあ勝負だ、妖精女王!』


「なんでそうなるんじゃ!」


スライムは急に飛び掛かってくる。


フェアリー熊代は素早さを利用してサッとよけると、影移動のスキルでスライムを飲み込んだ。

影に落ちながらスライムは叫ぶ。


『ちょ、なにこれ!まって、ちょっとま・・・』


ずぶずぶと陰に飲み込まれてスライムは消えていった。


フェアリー熊代のいたずらからは、誰も逃れられない。


強制転移のいたずらで、スライムは遠くの別の影へ飛ばされた。

何処の影に飛ばされたのかは、フェリー熊代自身にもわからない。

咄嗟に適当に飛ばしたので。


スライムを消した影を見つめてフェアリー熊代はため息1つ。

「はあ、なんだったのじゃ。わけわからんわい。」


やれやれという顔で、フェアリー熊代はステルスを発動して麻田邸に帰るべく飛び立った。


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